ワインをアニメ風のキャラで紹介する

『図解 ワイン一年生』 小久保 尊・著

ピノ・ノワールちゃんは孤高のクイーン

カベルネ・ソーヴィニョンくんは、「まぎれもなく世界中で愛されるワインぶどう界の主人公的存在」。「ボルドーにおいては超高級な神にも化けるパワフルボディの優等生」である。キャラクター紹介には、「どんな役目もきっちりこなす優等生。渋味(タンニン)が豊富な赤ワインの王道」とある。

ピノ・ノワールちゃんは、もちろん「ブルゴーニュにおける最重要品種」。「土地の選り好みが激しい孤高のクイーン。偉大な【ロマネコンティ】をも生み出す好機で複雑な味わいは、ボクたちワイン〝痛〟たちの心を打ちすぎです!」。冒頭のキャラクター紹介では、「人を寄せつけない気品と美しさ。薔薇の香りに、赤いフルーツの味わい」とある。

そして、メルロー、シャルドネ、リースリング、ソーヴィニヨン・ブランと、全部で6種類の登場キャラの味を覚えてしまえば、「わりとすぐに好みのワインにたどりつけるようになります」。

ワインの品種をアニメのキャラ風に紹介するのは、簡単そうに見えて、アニメとワイン、両方をおさえたオタクでなければできない芸当ではあるまいか。著者はソムリエの資格をもつ1983年生まれのオーナー・ソムリエ兼シェフで、2011年に船橋市に最初のお店「ワインと肉 COQ DINER」を出している。本書の著者紹介には「日本一の庶民派ソムリエとして語る、ワイン案内の“ハードルの低さ”に定評がある」と書かれている。現場に立っているからこそ、ワイン入門したての、あるいはワイン入門前の若い人たちの実態がよくわかっているのだろう。でもって、いわゆるオタクであることも自認する。ま、この世代でオタクであることはフツウのこと、教養のひとつともいえるわけだけれど。

「ワインのことがわかっても、人生は変わりませんでした」の一文からはじまるあとがきにも、著者らしさが詰まっている。これこそオタク庶民派ソムリエらしい感慨であろう。

本書のような入門書こそ、日本のワイン文化の裾野を広げてくれるにちがいない。「ガールズ&パンツァー」だの「艦隊これくしょん」だのを生んだ日本ならでは。ますますオタクな、サブカル趣味満載のワイン本を著者にも、著者以外の書き手にも期待したい。って、誰が読むんだそんなの!? わ・た・し。

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