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アジアからやってきたジャーナリストのために、ワイナリーの建物の前に色とりどりの488スパイダーが並んだ。

ボルゴ・コンダ

フェラーリ488スパイダーの国際試乗会はイタリア北部のエミリア=ロマーニャ州にあるワイナリーが宿泊地になっていた。2014年にオープンした「ボルゴ・コンダ」というワイナリー&リゾート・ホテルで、フェラーリの本拠地モデナからアドリア海側の東に130㎞ほど走った丘の上に建っていた。到着したのは夜10時近くで、日本組のみなさんと一緒に「コンダ」のロゼと赤を味わいながら、私だけステーキ400gを平らげた。ロゼはサンジョベーゼ100%、赤は95%だけれど、渋みがなくて飲みやすかった。

朝起きると、丘にぶどう畑が広がっていた。建物の外に出ると日本の冬のような寒気が大地を覆っている。この地、プレダッピオの丘は2000年以上も前からサンジョベーゼが育てられているという。ぶどう畑の収穫や手入れに関するルールが制定されたのは1383年。ワインづくりの長い長い伝統がある。

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ワイナリー内にあるレストランにコンダ・ブランドのワインが並ぶ。

朝9時試乗スタートの1時間前になると、広いぶどう畑に爆音がこだました。いずこかのガレージにしまわれていた色とりどりの488スパイダーが姿を現し、次々と建物の前に並べられた。1台だけでもありがたいのに10台もある。私たちはこれから2人1組で1台に乗り、あらかじめ設定された190㎞のコースを交代でぶっ飛ばすのだ。

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458の改良版である488のインテリアは、先代のそれを基本的に引き継ぐ。

ステアリングに設けられた赤くて丸スターター・ボタンを押す。ブオンッという爆裂音とともに背後の3.9ℓV8ツインターボ・エンジンが目を覚ます。屋根を開けていると、頭上を爆風が通過する心持ちがする。ヴァフォンッ! 最初に空砲を一発射ってドライバーの気分を盛り上げると、V8エンジンは静かにアイドリングを始める。

ステアリングの根元から生えたパドルの右側を1回手前に引く。ギアがローに入る。アクセルをやさしく踏む。自動的にパーキング・ブレーキが解除されて動き始める。フェラーリをドライブするときは、いつだって緊張する。ギアボックスはデュアル・クラッチ式7段オートマチックである。ワイナリーの前の道路は未舗装だけれど、乗り心地の快適なことに驚く。20インチという巨大なタイヤを履いているのに、その存在を感じさせない。電子制御サスペンションが素晴らしい仕事をしている。

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背景は、海抜600mの断崖絶壁の上につくられた要塞都市サン・レーオ。

この記事を書いた人

今尾直樹
今尾直樹
ワインが初めてうまいと思ったのは、1990年代の初め、某フランスの自動車メーカーの国際試乗会でした。パリからTGVに乗ってディジョンまで。駅からドライブ開始で、途中、休憩ポイントに醸造所が設定してあって、そこに寄るたびに試飲するのです。ブルゴーニュ、ピノ・ノワールという単語を知りました。最高にハッピーな試乗会でした。昔はヨカッタ。