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アンデス山脈が生んだ肉食ワイン、「テラザス」の誘惑

ビーフとアルゼンチンワインのマリアージュ試飲会レポート

その名もビーフワイン

アルゼンチンは、自らを世界で一番ビーフを愛する国と言っているそうなのだが、一人1年あたり約60kgを消費するという。これは日本人のお米の年間消費量に匹敵する。つまり、ほぼ毎日食べないと、この量を年間に消費することはできない。ちなみに、日本人のビーフ消費量は年間6kg。

最近、そのコストパフォーマンスの良さで注目を集めているアルゼンチンワインは、香り高く力強いのが特徴だ。その味わいはビーフ料理によく合う。もしかしたら、ビーフに合わせるために造っているのではないだろうか、とさえ思う。

そんなアルゼンチンワインの代表とも言えるのが「テラザス」。「ビーフワイン」との異名を持つ。
テラザスのワインは、アンデス山脈の麓で造られる。アンデス山脈が海の影響を完全に遮断してくれるので、ブドウ栽培に適した気候の一つである、大陸性気候を実現している。

そのテラザスが、どれだけビーフと相性がいいのか、熟成肉で有名なレストラン、東京・西麻布「カルネヤサノマンズ」で、ビーフとテラザスとのマリアージュを楽しんできた。

カルネヤサノマンズは、肉系イタリアンの雄「カルネヤ」のオーナーシェフ高山いさ巳さんと、今話題の熟成肉(ドライエージングビーフ)の日本のパイオニア「さの萬」が出会って生まれた、美味しいビーフのためのレストランだ。

レゼルヴァ トロンテス2015×牛タンのポッリート

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アルゼンチン固有のブドウ品種「トロンテス」を使った、華やかな香りと爽やかな果実味の白ワインだ。高山シェフが合わせたのは「牛タンのポッリート チュミチュリソース」。ポッリートとは茹で料理のこと。つまり牛タン煮。チュミチュリは、アルゼンチンでは定番のソースでパセリとニンニクのみじん切りを、塩、オリーブオイル、ワインビネガーなどで和えたもの。高山シェフはマンゴーのビネガーを使ったと言っていた。そのせいだろう、ほんのり甘い。トロンテスも甘い香りが特徴なのだが、共鳴し合っている感じ。

レゼルヴァ マルベック2013×牛肉のタルタル

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アルゼンチンの代表的なブドウ品種と言える「マルベック」を使った、コクと酸味のバランスがいいワインだ。合わせた料理は「牛肉のタルタル 柑橘の香りを漂わせて」。マルベックも甘い香りが人気のワイン。シェフはミルキーと表現したが、ブラッドオレンジを使った甘みのあるソースで、そのマルベックの甘さに合わせている。タルタルは、噛み応えをしっかりと残した粗みじんで、その食感がワインを飲むペースを速めてもいる。つい、ワインをお代わりしてしまった。

レゼルヴァ カベルネ ソーヴィニヨン2013×熟成牛の3種盛り

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アルゼンチンのカベルネソーヴィニヨンは、総じて香り高く力強い。テラザスも例外ではない。ひと口目のインパクトの強さが印象的だ。それでいて後口は優しい。このワインに日差しを感じたというシェフは、ピクニックをイメージした「熟成牛の3種盛り(プレザオラ、クロケッタ、サンドウィッチ)」を合わせてきた。プレザオラを食べてワインを飲むと、不思議なくらいにワインを甘く感じる。マリアージュが成功している証拠だ。クロケッタの旗といい、ピクニックという発想といい、シェフの遊び心に感服する。

シングル ヴィンヤード ラス コンブルエルタス マルベック2011×牛肉の煮込み

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レゼルヴァは、2つのヴンヤードのブドウを合わせているが、こちらは単一畑のブドウを使っている。しかも単一品種なので希少性の高いワインだ。ダイナミックで厚みを感じる味わいだが、まろやかで飲みやすい。うまい。一口飲んで、口の中に広がる香りを感じながら、これはビーフに合わないわけがないと口に出してしまっていた。「牛肉の煮込み 燻製ピメント風味」との相性は抜群。ピメントとは燻製したパプリカのパウダーだそうで、かすかな薫香もマリアージュのアクセントになっていた。

シングル ヴィンヤード ロス アラモス カベルネ ソーヴィニヨン2012×熟成牛ステーキ

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パワフルでボリューム感もあるが、単一畑のせいだろうか、エレガントさもあって優しい飲み口だ。シェフの用意した「さの萬熟成牛のステーキ もみじのソース」と合わせると、ふくよかさも広がる。日本一とも言われるさの萬の熟成肉は、さすがに味わい深い。牛肉は、熟成されることで肉質が柔らかくなり、うまみ成分のアミノ酸が増えるのだそうだ。表面を乾燥させることで、余分な水分が飛び、旨味と香りが内側に凝縮される。ワインの旨味と肉の旨味が掛け合わされて、満足感は相当高い。カルネヤサノマンズとテラザスに感謝。

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