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ワインについて私が知っている
2、3の事

シナダ ユイ

SNSを通して再熱した”ナチュールハント”

わたしのヴァンナチュール(=自然派ワイン)への愛が芽吹いたのは、インスタグラムの投稿を見返してみるとおおよそ2014年頃。

この頃は”持続可能な循環型農業”を取り入れた食やレストランを運営する会社に属していたこともあり、オーガニックや自然農法に対する興味や関心、リサーチも兼ねマーケットを渡り歩いていた。そこで目にすることがあったのがヴァンナチュール。どこも堅苦しくないスタイルでワインを提供していたし、五感で美味しいと感じた。出会う人の話や直感を信じ、”自然に作ったものが最上級”という信念まで持っていた。

その後2016年にヴァンナチュールに対する断片的な思い込みの数々をそれについて詳しく知るひとに聞く企画を立てたことで、お酒自体はその場の会話を楽しむための媒介の役割と再認識した。

そんなゆるゆると楽しんでいたヴァンナチュールを主役級に意識して収集しだしたのは、緊急事態宣言の最中だった。”おうち時間”の間にインスタ検索で見ていて心が明るくなったのがヴァンナチュールのエチケットだった。自由で縛りのないエチケットはアート(作り手の哲学が反映されたもの、という事らしい)そのものだったし、そのまま生産者さんのプロフィールに飛ぶ事もできる。軽く旅気分を味わえた。また、面白いのが前出のレストランを運営する会社でソムリエを務め、現在は北海道でワイン造りをしている遠藤さんと場所を問わずしてSNSでやりとりができたこと。味の好みやイメージを伝え、オススメの販売店を教えてもらい、わずかな外出時間に散歩も兼ねて買いにいった。

インスタで気になった、ということはほぼジャケ買い。それで満足だった。知識が浅い分どれも素直に感じるままに飲んだ。1本をゆっくりと、時には手作りチーズケーキ、また時にはタイ料理のヤムウンセン(こちらはテイクアウト笑)に合わせたり。そうやって色々嗜む中で、2020年の暮れに自分的にベストだなっと思ったのがJauma(ヤウマ)の白。

ヤウマ サンド・オン・シスト シュナン・ブラン
南オーストラリア州 マクラーレン・ヴェール

どんな場所に置いてあっても一目でナチュールとわかるエチケット。一度見かければ記憶に残るものだった。やっと手に取ったのは、自分にとって少々の奮発も大変だった激動の一年が”終わりよければすべてよしね!”と思えればいいと。味は記憶となるがナッツやハチミツ、チーズでいったらパルミジャーノのような穏やかさを含んでいた(優しくてふくよかで、芸術的な味と記してある)。そうしてまたインスタのメッセージやコメントで感想を、同じヴァンナチュール好きと共有しあった。

Jaumaはワインそれ自体で様々な味を味わえたので、映画をお供にしたことを記憶している。『恋する惑星』だった。ロマンチックに脳内がさらわれて、本当に余韻が残った。

最近になって自然派ワインを日本に広めた第一人者、故 勝山晋作さんの本を片手に「モルゴン」や「パタポン」といったオーソドックスなものも飲み出すように。どのワインにも背景があるのはもちろんのこと、作り手の状況も買い手の状況も常に一定ではなく、ゆるぎがある。自分なりに共感したり面白がれる部分を見つけることでますますその味わいが増すことを感じてきた。

勝山 晋作 著 『ヴァンナチュール 自然ワインが飲める店51』

まだまだ行きたいお店、飲みたい場所、買いたいワインがある。

2度目の緊急事態宣言で堪えなければいけないことがたくさんあるが、厳しい自然環境の中でぶどうを育てる生産者さんや我慢を強いられる飲食店さんを想い、晴れて飲みに伺える日を楽しみにしています。

この記事を書いた人

シナダユイ
シナダユイ
オーガニックコスメやサステイナブルなモノづくりの現場を追いかける「ナチュラルビューティーハンター」として活動。モデルやライターのほか、〈PLAY TOKYO〉のビデオグラファーとして動画製作も担当する。
Instagram @yuis96 / @naturalbeautyhunter131
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