• TOP
  • #WINE
  • カタシモワイナリー 日本のワイナリー・データベース Vol.4 

カタシモワイナリー 日本のワイナリー・データベース Vol.4 

大阪のグラン・クリュ! 歴史の厚みが違います

1914(大正14)年にワイン造りをはじめた日本のワイナリーの100年企業。4代目社長の愛と責任のある仕事ぶりに感動!

「外国と同じワインを造る必要はない!」。

日本各地のシャルドネをいろいろ比較していたら、最も印象的なワインはカタシモでした。多くのワインが優等生的でおもしろくない中で、カタシモには開き直った個性と、自身に裏付けられた完成度がありました。

この地でブドウ栽培4代目、ワイン造り3代目という高井利洋社長は、「外国と同じワインを造る必要はない。ここでしかできないワインを造る」と言います。

自信があって当然なのです。大阪の堅下は実は古くからのブドウ産地。ここには甲州と同系の、遺伝子的には4分の3がヴィニフェラ、4分の1が中国のヤマブドウという「紫ブドウ」が栽培されていました。

しかし樹勢が弱く、実も小さく、バラ房ゆえ、明治期に新宿御苑から移植された多産型の甲州が主力に。それでも旧大和川流域の砂地がブドウ栽培に適していたため、大正時代にはここが日本一のブドウ産地になっていたのです。歴史の厚みがあるのです。

カタシモワイナリーの合名山の畑に行くと、かつては石英の鉱山だったというだけあり、市街を見下ろす急斜面に石英がごろごろ。表土は30センチほどと極めて薄く、所々に母岩が露出し、樹齢100年や90年の甲州が自根で生き残っています。そして除草剤不使用・肥料なし。ここは確かにグラン・クリュです。

その味は独特で、一見強い自己主張の裏側に、常に静謐な気品と温かな色気が潜んでいることに感銘を受けます。ふっくらとした肉付きやしっとりと色気のある質感は、大阪の味以外の何ものでもありません。

大阪は水道の味さえ、頬にふわっとくる柔らかさと重心の低さが特徴。東京の水のいかり肩の形や固さとは正反対です。

「釀菜 松やま」で大阪近辺の肉や魚とカタシモワインの相性を試しましたが、ここでも大阪味の特徴は歴然。カタシモのワインは大阪のどんな料理とも本質的に合うようです。このさりげなくも深い相性! これこそ食の都・大阪の偉大さなのかもしれません。

カタシモワインは偉そうなふりをしません。本誌的な真面目さを笑いのくるんでいるかのようです。これも大阪です。デラウェアの瓶内2次発酵ワイン「たこシャン」がいい例です。ふざけた名前で話題になりましたが、技術的にも思想的にも極めてシリアス。社長自信、一度はソトで働き、家業と町のために帰ってきた人です。

「たこシャン」は、キロ30円で買いたたかれて生活が脅かされていた大阪府内のデラウェア農家を守り、ひいては大阪のブドウ文化を守るために造られたといっても過言ではありません。実際、商業的成功でデラウェアの価格はキロ150円に跳ね上がり、今年は更なる値上げを予定しているといいます。

なんと素晴らしい、愛と責任のある仕事でしょうか!

この記事を書いた人

WINEWHAT
WINEWHAT
YouTubeInstagramでも、コンテンツ配信中!
フォローをお願いいたします。

Related Posts

PAGE TOP