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会社員がベテランワイン専門家になるまでが見えるワインガイドブック

『ワイン迷子のための家飲みガイド』

ワイン&フードジャーナリスト 安齋喜美子さんによる『ワイン迷子のための家飲みガイド』が、集英社より出版されたので読んでみた。

『ワイン迷子のための家飲みガイド』 集英社 ¥1,600(本体)

安齋喜美子さんは、ワインの専門誌だけではなく、女性誌やライフスタイル誌などでも幅広く活躍している人物。ワインをわかりやすく、また、生活のなかの、さまざまなシチュエーションとともに描き出すことを得意としている、とおもう。

そんな安齋さんによるワインガイドブックは「私は出版社に勤める20代の会社員だった。ワインより洋服やバッグが欲しかった」という、実に個人的な話から始まる。

それから月日は流れ、いまや、押しも押されもせぬワインと食のプロ。ブドウ品種やワイン産地のことだったらいくらでも語れる。ところが、この本では、そんな解説も、私は、こうやってワインと出会った、こうやってワインを好きになっていった、ここがポイントだとおもっている、と、個人の視点からなされている。そして、実際にいま3000円台以下で買えるオススメのワインが紹介される。

仕事で会食が相次ぎ、体重が気になってきたために、ダイエットを決意し、3カ月で6kgの減量に成功したというエピソードなどは本当に見事で、そこで紹介されるのはスペインのスパークリングワイン『カバ』なのだけれど、そのときに彼女がどんなものを食べて、それになぜ、カバを合わせたのかが語られるたった2ページを「へぇ」と読むだけで、カバの基本をかなりおさえられてしまうのだ。

彼女と同じ意見になるかどうかは、人それぞれだとはおもうけれど「え?そうなの? ホントに?」とワインを手にとってしまったら、おもうツボ、なはず。

「ワインを飲んでみよう、ワインって面白い、そうおもう人をひとりでも増やしたい」

上品で物腰穏やかな安齋さんが、そう語るときには妙に熱くなることを、僕は知っているのだ。

この記事を書いた人

ムッシュ鈴木
ムッシュ鈴木
東京生まれ。信州人になりたいとおもっている。パリ大学でフランス文学の研究をしていた。果物の仕事をしてから、ワイン業界へ。

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