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新型ロールス・ロイス・ファントムはなるほどTHE BEST CAR IN THE WORLD!?

ヴィンテージ・ワインがもっとも似合うクルマが現れた

‘THE BEST CAR IN THE WORLD’といえば、イギリスのロールス・ロイス。この、およそ100年間にわたって富と名声の象徴であり続けてきた世界最高の自動車メーカーの旗艦ファントムが14年ぶりに生まれ変わった。ヴィンテージ・ワインとこれほど似合うクルマはありませんぞ。

 

アーキテクチャー・オブ・ラグジュアリー

「1925年のデビュー以来、ロールス・ロイス・ファントムは世界でもっとも影響力があり、もっともパワフルな男たちと女たちに選ばれてきました。

それゆえ、結果的にファントムは歴史のもっとも決定的な瞬間につねに立ちあってきました。

ロールス・ロイス物語の次のチャプターを始めるにあたり、新型ファントムはグローバルなラグジュアリー産業の行く道を指し示します。

それは偉大なる美とパワーの創造物であり、富と人間の達成点の比類なき象徴です。それはわれわれのお客様の個人的な欲望を抱きしめるアイコンにして芸術作品でもあります」

以上は、新型ファントムのプレスリリースの冒頭に書かれた、ロールス・ロイス・モーター・カーズ社のCEO、トルステン・ミュラー・エトヴェシュ氏のことばだ。

イギリスをはじめとする世界の王室が公用車として使い、エルヴィス・プレスリーが乗っていたこともある。ジョン・レノンがサイケデリックなカラーリングに仕立てることによって、反権威主義のアイコンにもなった。

ということなのですけれど、ともかく新型ファントムⅧの写真を見ていただきましょう。

一見すると、先代、2003年に登場したファントム(今後はⅦと呼ばれることになる)のマイナーチェンジ版? ともとられかねないけれど、どっこい中身は全面刷新されている。ロールス・ロイスの象徴たるパルテノン・グリルもより高くなっていて、「スピリット・オブ・エクスタシー」と呼ばれる天女さまのようなマスコットの位置は約1インチ、天に近くなっている。先代と並ぶと新型の天女さまが見下ろすことになる。

というのは些細なことでありまして、なにより重要なのはオールアルミのスペースフレーム、骨組みが一新されていることだ。もうすぐ登場するロールス初のSUV、カリナンや、現行モデルではBMW7シリーズのプラットフォームを使っているゴースト(ファントムよりちょっと小さいロールス・ロイス)、ゴーストの2ドア・クーペであるレイス、そしてレイスのコンバーチブルであるドーンの新型にも使われることになる。

プレスリリースにはこう書いてある。「他のいわゆる高級車メーカーが量産車メーカーとプラットフォームを共有することで規模の経済を実現しようとするのとは全く反対に、アーキテクチャー・オブ・ラグジュアリー(豪華な構造)による本当の少量生産にこそ真のラグジュアリーの未来があるとロールス・ロイスは結論を出しました」

なるほど。ロールス・ロイスは数を追い求めない。いや、数を追い求めないどころか、少量生産に未来を見出した。機械式アナログ時計のような方向にいくことで、自らを「世界最高の自動車」というカリズマチックな、ライバルなき世界に向かわせる決断を下したのである。じつに興味深い試みといえる。

モデルラインナップとしては、先代同様、ホイールベースのスタンダードと長いのの2種類がある。後者は従前通り、エクステンデッド・ホイールベース、EWBと表記される。

EWBは基本的にショーファー(運転手)付きで乗るクルマで、オーナーはもっぱら後席の住人となる。その後席からの眺めというのは下の左ごとくのはずで、運転席からの眺めは下の右のごとくになる。

ショーファーたるもの、後ろに人を乗せているときは振り返ったりはしないのがフツウだから、つまり彼が見ている車内の景色はもっぱらこんな感じのはずだ。

すっごいですね〜。高そうですね〜。なんせ、”THE BEST CAR IN THE WORLD”である。いう方にもそれなりの覚悟がいる。

「マジック・カーペット(魔法の絨毯)」と表現される乗り心地は、ステレオ・カメラで前方の道路状況を把握し、電子制御のエア・サスペンションを予測的に調整することによって、より向上しているという。ホンマでっか? 「トラスト・ミー!」とアラジンなら叫ぶところです。

フロアが二重構造になっていて、そこに遮音材が詰め込まれている。ダッシュボードにアナログ式の時計を装備しており、かつてロールス・ロイスで使われた表現されたことにちなんで、「車内で聞こえる最も大きな音がこの(時計の時を刻む)音であるという事実には頷かざるを得ません」とリリースにある。コチコチコチコチコチ……。ホンマでっか? 現代のアナログ時計は大変静かですけど……。「トラスト・ミー!」。少なくとも、遮音材だけで130kg使われていて、先代より10パーセント静かになっているという。

こちら上左は、助手席前のグローブボックスのアート作品を、後席の住人の視点で眺めているといった態の図です。「ザ・ギャラリー」というコンセプトのもと、助手席前のダッシュボードを文字通り、ギャラリー・スペースーー作品を飾る場所とするものなのだ。中国の画家の風景画とかドイツの前衛作家だとか、磁器メーカーによる陶器のバラの茎だとかがすでに用意されている。なんと、まあ、ビックリ。ファントムⅧは自動車でありながら、プライスレスな、工芸というより芸術そのものを内側に取り込もうというのである。

上右は、後席をなめながら、「スターライト・ヘッドライナー」と呼ばれる天井をちらりと見ている図だ。LEDがいっぱい付いていて、屋内にして星空を眺められる。構図的に見て、もしあなたがオーナーであったら、乗る前に靴を脱ぐべくしゃがむか、靴ひもを直すかしたときに見える景色であろう。あなたがサブリナのお父さんだったら、クルマのお手入れをしているときに見る景色ということになる。

最後に紹介するのはファントムⅧのスケッチ画とされる作品である。アール・デコを思わせるスピード感あふれる画風がニクい。ファントムⅧのライバル、あるいは同族は自動車ではなくて、ヨットであり、プライベート・ジェットである、ということをさりげなく(でもないか)表している。

21世紀の格差社会だからこそ、「日の名残り」の前のようなクルマが現れたということでありましょうか。なんせ日本市場で軽く5000万円を超える超高級車である。どなたか、何かの間違いでニュース子を後席にご招待していただけましたなら、ヴィンテージ・ワインじゃなくてもいいです、ギムレットを1杯、私のために用意してくださると、うれしいです。

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