株式会社キュアテックス会長 藤代政己

同じテーブルにつこう

キュアテックスはセントラル・キッチンとして日本では初めて、マレーシアイスラム開発局(JAKIM : ジャキム)のハラル認証を受けた。写真は、そのジャキムのシラジュディン氏から認定書を授与される藤代氏。後ろはマレーシアはセランゴール州のアミルディン知事。右隣はマレーシアのパートナーで5ツ星ホテルオーナーのソー氏。また日本にはMPJA というハラル認証機関があり、このときの会場となったTHE GRAND GINZA は、キュアテックスのセントラル・キッチンと協業でMPJAのハラルフレンドリー認証を取得している

ハラル対応の価値

キュアテックスは市場を最初から国内に限定していない。機械の会社として、ASEANやインドにもパイプをもち、和紙繊維も輸出している。

「和紙繊維を輸出するにあたって、そして和紙繊維の事業を支える意図もあって、和紙も日本の伝統的なものだからと、おなじ日本の伝統のもの、工芸品やお茶、お酒、食も一緒にPRするようになり、販路開拓も手伝うようになりました。徐々に、これも成長して、いまでは一つの事業です」

特に藤代は、海外で拠点としていたシンガポールで、裏表がなく、決断もはやい華僑のコミュニティとは気があった。だから、恩返しをしたい、というおもいがあったというのだけれど

「日本の食はハラル対応しやすいのに、なぜしていないのか、という問題に気づいたんです」

現在、キュアテックスは、熊本県・上天草にハラル認証を受けたセントラル・キッチンをもち、食材を調理・加工して、全国に出荷している。それらのほとんどは真空パックされていて、湯で温めるだけで使える。

キュアテックスのセントラル・キッチンは東南アジアの料理だけでなく、和食・和食材にも対応している。提供しているレストランやホテルで調理されたものではなく、すでに調理した状態で届き、解凍するか、温めただけ。というのがにわかに信じられないほどの見た目で、鮮度や味でも、ハラルではない料理との差異は感じ取れない

世界には現在16億人以上のムスリムがいて、それはつまり、人間の4から5人にひとりがムスリムということになる。当然、日本に来る観光客のなかにもいて、場合によっては日本では食事に不自由し、タッパーに入れた弁当を公園で家族で食べている、ということもあるのだそうだ。

キュアテックスのハラル食品をつかえば、飲食店がハラル対応する際に、食材はもとより、調理場も認証を受けなくてはならない、という障害がなくなる。

「その食材がキュアテックスのシートで育った食材になるのが理想です」

ハラルはワインと相性が悪いのが残念だ、と筆者がこぼすとーー

「ごくわずかな違いで、ムスリムと別々に生きていくのでしょうか。私はそういう時代じゃないとおもう。ムスリムだから、着くテーブルが違う。それでいいのでしょうか。日本に来てくださって、日本人と一緒に楽しめる場所で、相手を尊重しあうのがおもてなしではないでしょうか。桜がきれいだとおもう気持ちに、宗教は関係ないとおもう。ワインを飲む人が飲まない人と一緒に食事できるように、ムスリムの人も、そうでない人も、一緒に楽しんで、ビジネスの話もできる。そういう日本になってほしいんです」

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