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ドミニク・ブシェ トーキョー料理長 厚東 創(こうとう・はじめ)、はじめて岩手に行く(後編)

続・新しい食材との出合いを求めて

エーデルワインの次に高橋葡萄園を訪れた。今回のワイナリーめぐりには、盛岡のワインバー「アッカトーネ」のオーナーソムリエ、松岡宰さんにも同行してもらった。

「岩手県東部はかつてのアジア大陸の東端にあたり、日本では例外的に古い地質で、4億園前にも遡ると言われているんです」と松田さん。だからワインにもおのずとミネラルが強く感じられるのだとか。

高橋葡萄園の栽培醸造責任者、高橋喜和さんのワインは、まさに岩手の水の味を連想させる。切れ味のいい、透明感の高い酸がとても魅力的だ。

駆け足でワイナリーを巡り、最後に鈴木敦之さん、紀子さんが営む農家兼パン屋のファームフレアズに。就農わずか3年目という敦之さんがつくるハーブや、多品種少量生産の西洋野菜に、「露地栽培でこれだけ力強く濃い味が出せるんですね」と厚東シェフはびっくり。

「普通はビニールハウスでつくるところを、岩手の自然の中で厳しく野菜を育てている。だから、日本のユトリ野菜にはない力強い味になっている。すぐにでも店で使いたい……」と呟く。

わずか100gの種から栽培をはじめ、現在は800kgも収穫するというスペルト小麦も秀逸な味わいだ。

「現場でなければわからないことが、本当にたくさんありますね」。

岩手の食材、生産者たちを巡った旅のあと、厚東シェフの料理は、どう変わっていくだろう……。

DAY TWO PM

PM02:00 高橋葡萄園

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オーストラリアへワイン留学した高橋喜和さんが設立。1996年から植栽を始めた。初ヴィンテージの2012年は2500本。年生産量5000本という希少さ。「おいしいです。日本ぽい、丁寧さが伝わってくる。大量生産ではなく、ひとりでブドウを育ててつくっているワインならではの繊細な味でした」と厚東シェフ。

PM03:20 自園自醸紫波ワイン

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2003年に設立された紫波フルーツパーク内にあるワイナリー。自社栽培を中心に、紫波町産ブドウでワイン造りを行う。そば打ちやピッツァの石窯焼き体験などもできる公園施設内にある。

PM04:45 ファームフレアズ

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農家兼全粒粉パン屋さん。無農薬の西洋野菜も販売している。「本来の味がする!」と厚東シェフも感動。

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写真左
紫波町の古民家を改築したお店。2階をカフェとして開業している。

写真中
紫波町の4カ所の畑で、小麦、野菜、ハーブ、豆類など合わせて約130種類を栽培する鈴木敦之さん。IT系企業を脱サラし、岩手に来てから農業を始めたチャレンジャーだ。

写真右
パン作りを担う鈴木紀子さん。滋味深いパンは、よーく噛みしめたい味だ。小麦はすべて自家栽培・製粉。店内には全粒粉のこうばしい香りが漂う。

PM06:50 アッカトーネ

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ソムリエの松岡宰さんのお店で盛岡の人気ワインバーにかけこむ。写真のピザにはブドウの葉が使ってある。ワインバーでブドウの葉を載せたピッツァ、というのはマニアック。

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2010年に誕生した岩泉町産ヤマブドウでつくったワイン「宇麗羅」。鍾乳洞の龍泉洞で半年から3年間熟成される。龍泉洞内は年間10℃前後で安定している天然のワインセラー。貴重なヴィンテージは「フルーティで、おいしかったっす」

厚東 創(こうとう・はじめ)

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ドミニク・ブシェ トーキョー料理長
1984年、北海道札幌市生まれ。
青山「ビストロ ブノア」勤務後、渡仏。
帰国後、銀座「ベージュ アラン・デュカス 東京」を経て、2013年7月より現職に。(写真:太田隆生)

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