「ブルゴーニュで会いましょう」で会いましょう by 南原竜樹

これは家族愛と崖っぷちビジネス映画です

《冷徹の虎》の目批評

ぼくは、「007」とか「ミッション・インポッシブル」とかは大好きだけれど、この手の映画はまったく観ない。アクション映画はよく観ます。緊張感、お腹のなかがいやあな気持になるような緊迫感がちょうどいい刺激で、飛行機のなかで6本続けて観たりする。往復で、だけど。

その点、『ブルゴーニュで会いましょう』は、まったくぼくの趣味じゃなかった。

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沈黙の中に閉じこもる、不器用な父親を演じるのはフランスの名優ジェラール・ランヴァン。

「家族という名の大地に実るのは、幸せをもたらす1本のワイン」

「家業のワイナリーの倒産危機に、バラバラだった家族が再び集まったーー。
自然豊かな美しきフランス・ブルゴーニュ地方を舞台に、受け継がれる愛と絆を描いた感動作」

というような映画だから、つまりまったく期待していなかった。

ところが、ものすごく面白かった。ハラハラドキドキの連続で、アクション映画なみに心が縮む。いやあな感じが続くんです。

もちろん家族愛の映画という見方もできる。でも、この映画はそもそもワイナリーを1年で再建しないといけないという「崖っぷち」に主人公が立たされるビジネス映画でもある。

主人公のシャルリは20歳で家を出て、ワイン評論家としてパリで大成功をおさめる。実家がブルゴーニュの家族経営のワイナリーで、そこで育った彼の舌と知識は本物だったから。

ところが、父親のワイナリーが破産状態になっていて、7日以内に後見人を見つけないと、日本の銀行と、長年のライバルの名門ワイナリーに買収される事態になっている。

それを知ったシャルリは悩む。もし彼がみずから後見人となって再建に失敗したら、ワイン評論家としての名声は地に落ちて、ニセモノ扱いされてしまう。どうするか。子ども時代の幸福な思い出がよみがったりして、もちろん勝負をかける。

まず在庫は山のようにあって、それをさばかないといけないんだけど、そこで彼はちょっとえげつないことをやったりする。
でも、利用できるものは利用するのがビジネスだとぼくは思っているから、彼のやり方に共感する。

飲食の会社を買収して、その買収資金を日本の銀行から借りて、6カ月以内に借り換えできなければ、せっかく6カ月の間、投資してそのお店を立て直そうとやってきたことが全部ダメになる。残すところ、あと10日。あちこち駆け回って、あと4日。ようやく借り換えできたのがちょうど180日目・・・そんなことをやっているぼくにしてみると、フツウの人は家族愛のほうが気になるのかもしれないけれど、どうしても主人公のビジネスに関心がいってしまう。

ビジネス優先で家族をおろそかにしてしまうのも、なんだか身にしみてわかったりもする。

「努力するか、後悔するか」

どっちをとるかといえば、主人公のシャルリ同様、ぼくは努力するほうをとっている。自分でいうのもなんだけど。

そんなわけで、ビジネスマンが見ても、この映画は見応えがある。
主人公が追い詰められるとドキドキする。完全にシャルリの気持になっちゃう。

シャルリはワイナリーを立て直すために、それまでやっていなかったブドウの自然農法に挑む。
テイスティングは一流だけど、ブドウ栽培もワインづくりもまったくの素人なのだ。

せっかくブドウが順調に育ってきたのにヒョウが降ってきたりする。一難去ってまた一難。
ブドウを守るためにカバーをかけたりするのだけど、ワインは出来上がってみないと、味はわからない。
重要なのは収穫のタイミングで、シャルリは何度も迷いながら、最後は隣の畑のおねえさんがその時を教えてくれる。

アクション映画のドキドキとは違うんだけど、興奮した。しめった空気みたいなものが心に降りかかってくる。
見終わったあと、ものすごく面白かったーー。オススメです。

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もちろん隣のおねえさんとのロマンスもあります。

『ブルゴーニュで会いましょう』 あらすじ

20歳の時にブルゴーニュを離れ、パリで著名なワイン評論家となったシャルリ。
順風満帆な人生を送る彼のもとに、ある日、実家のワイナリーが倒産の危機だという話が飛び込んでくる。
久しぶりに帰郷し、ワイナリー再建を決意するも、長い間疎遠になっていた父親と衝突してばかり。
「ワイン造りは家族で行うもの」と信じる父親は、家を出て行った息子を許すことができない。
シャルリは頭の固い父親が疎ましい。
しかし、ワイナリーを失うことは実家を失うこと。
ふたりはぶつかりながらもいつしか互いに手を取り合い、家族に幸せをもたらす最高のワインを作り出そうとする・・・。

寡黙な父を演じるのは、『そして友よ、静かに死ね』(2012)等に出演し、フランスを代表する俳優ジェラール・ランヴァン。
父に反発しながらも、ワイン造りに情熱を傾けていく息子には、俳優/監督としても高い評価を受けるジャルリ・レスペール。
彼らを見守る女性たちにアリス・タグノリー、ローラ・スメットら、フランス映画界の多彩な俳優たちが物語を紡ぎます。

本作を観た後はきっと、愛する誰かと食卓を囲みたくなるはず。
この秋必見の味わい深い映画です。

11月19日(土)、Bunkamura ル・シネマほかで全国順次公開!
『ブルゴーニュで会いましょう』
© ALTER FILMS – TF1 FILM PRODUCTIONS – SND 
配給:クロックワークス/アルバトロス・フィルム

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南原竜樹
南原竜樹
名古屋〜東京〜沖縄をめまぐるしく移動しながら、いくつものプロジェクトを同時進行させる超人ビジネスマン。「冷徹の虎」の異名をもつ。最終目標は世界制覇だ! 

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