さる10月24日(木)、明治屋が直輸入するベルモット「チンザノ」のマーケティング責任者アンドレア・ネリ氏の来日に伴い、東京・銀座6丁目のBAR保志でメディア向けカクテルセミナーが開かれた。

 

サヴォイア家御用達

アンドレア・ネリさんはこの10年カンパリで「イタリアのアイコン」を担当している。カンパリ、アペロール、そしてチンザノの3ブランドが「スリー・スター・アイコン」で、カンパリで10年働いていたネリさんがチンザノに転職したのか? と内心思ったのですが、そうではなくて、チンザノは1999年にカンパリ傘下に入っていた、ということをネットで検索して知りました。そうだったんですねー。

ブランドとしてはチンザノがもっとも古く、2017年の今年で創業260年! カンパリは1860年、アペロールは1919年がそれぞれ創業で、これらイタリアのアイコンは現在、3つともカンパリグループに属している。同グループにはワイルドターキーほか、ウィスキーのブランドも多数持っていたりするので、イタリアンアイコンというくくりを社内でしているのだろう(以上は記者の推測です)。


1707 
カルロとジョヴァンニのチンザノ兄弟の父ジョヴァンニがサヴォイア家からトリノで販売用のブランディを生産する許可証を得る。

1757
「マスターディスティラー(蒸溜所)」の称号をもらい、トリノ小さな店から地元のハーブ、スパイス、ワインを組み合わせたアロマティックワインの製造・販売を開始。


チンザノは「オールドガイだけど、決して古いわけではない。伝統と歴史とともにありながら、明るい未来に向けて現代的なヴィジョンを持ち、新しい消費者に向けて活動している」とネリさんは、BAR保志のカウンター越しに語った。ネリさんのお話をまとめると、以下のようになる。

チンザノは、1757年、カルロとジョヴァンニのチンザノ兄弟が北イタリアの古都トリノの中心に小さな店を開いたの始まりで、1776年にサヴォイア家の御用達となる。サヴォイア家というのは、1860年のイタリア統一前までピエモンテ地方を治めていた名家でありまして、19世紀の初め、チンザノはこのロイヤルファミリーからスパークリングワインをフランスのシャンペンに対抗してつくるように依頼され、ピエモンテのモスカートを用いて甘口のスパークリングを生み出した。


1840
サヴォイア家から、世界を席巻していたフランスのシャンパーニュに匹敵するワインをイタリアで、と求められ、スパークリングワインを生産。

1887
この年の12月8日と9日に「チンザノ家の有名なベルモットワイン」という初の広告をリヴォルノの「テレグラフォ」紙に出す。


ベルモットはこの頃、トリノを拠点とする5つのファミリーによって、すでにつくられていた。チンザノのホームページには、1786年にベネデット・カルパーノによって発明された、とあるけれど、ともかくチンザノのベルモットがもっとも大きな成功を納めた。いずれも赤で、フランスで白のエクトラドライが誕生するのは数年後のことだという。

19世紀の終わり、チンザノとマルティーニは世界最大のべルモットブランドだった。1878年から1922年にかけて、ジュゼッペ・ランピーノというモーレツ・セールスマンがいて、彼はチンザノをカバンに入れて世界50カ国以上、北米から南米、アジアまで歩き回った。航空路線もインターネットもない時代だというのに、さぞかしタイヘンだったでしょう、とネリさんは同情を禁じ得ないようだったけれど、旅行が趣味だったのではないか、と記者は内心思った……。

1950年代から80年代はベルモットにとって黄金時代だった。マルティーニがF1のスポンサーにつけば、チンザノはバイクのグランプリ・レースを応援した。90年代から2000年にかけて、チンザノは大きな落ち込みを経験する。マルティーニがベルモットという文字をパッケージから消し、技術的にベルモットとは呼べない方向に舵を切ったのもこの頃のことだ。

1999
カンパリに買収されたことで、ブランドとしては復活。新生カンパリとしてミレニアムを迎え、現在ベルモットのブランドとして世界第2位になっている。


かくして、チンザノには苦難の時代もあったけれど、今、ハッピーエンドを迎えている。数年前、ベルモットはカムバックした!

きっかけは、バーテンダーがクラシックなカクテルに興味を持ち出したことで、ベルモットに再び注目が集まったのだ。しかも、彼らの関心はより高品質なベルモットに向いているという。


チンザノ ベルベット ロッソ
白ワインをベースに各種のハーブ、スパイスなどをブレンドした甘口ベルモット。このほか、ビアンコ、エクストラドライ、オレンジの天然フレーバーを加えたオランチョというのもある。

チンザノ ベルモット 1757 ロッソ
創業当時の伝統的な製法で少量を生産。よりハーブ感が強い苦味があるけれど、後に引かない。本国にはあるビアンコも早晩日本発売され、1757シリーズとして充実していくことになるだろう。

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WINE-WHAT!? 編集部
WINE-WHAT!? 編集部
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