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グラフで知る2017年日本向けシャンパーニュ出荷量が世界第3位になった理由

シャンパーニュ委員会日本支部が発表したデータより

2018年3月18日にシャンパーニュ委員会が発表した2017年のシャンパーニュ出荷統計によれば、総出荷額は49億ユーロ(1ユーロ=130円として約5980億円)と過去最高を記録。日本は世界3位のシャンパーニュマーケットであることはすでにWINE-WHAT!?でもお伝えしている。それをグラフ化した資料が同委員会から送られてきた。右肩上がりの縁起物ということで、いま一度紹介します。

 

半分がフランスで消費される

3月に発表されたシャンパーニュ地方ワイン生産同業委員会(以下シャンパーニュ委員会)の統計によれば、2017年のシャンパーニュの総出荷量は3億731万本で前年比0.4%増、総出荷額は48億7372万9000ユーロ、四捨五入して49億ユーロで前年比8.5%増の過去最高を記録した。

このうち半分を占めるフランスの国内消費は1億5304万本。フランスの国内消費は20億7600万ユーロ、ザクっと丸めて21億ユーロと停滞(前年比、出荷量にして2.5%減、額にして0.4%減)した一方、輸出量は1億5347万本と前年比3.4%増、出荷額は27億9605万ユーロ、同28億ユーロ(前年比6.6%増)と好調で、これが過去最高の総出荷額につながった。

シャンパーニュ地方でつくられるスパークリングワインだけがシャンパーニュと呼ばれるわけだからブドウ畑の面積は限られている。ということは生産量はそう簡単には増えない。なのに金額ベースが増えているのは、より付加価値の高いシャンパーニュが売れたからだ。世界はなんせ、勝ち組と負け組にわかれている。というようなことはここでは触れないとして、ともかく過去12年でシャンパーニュの出荷金額は10億ユーロも伸びている。

1年前のデータをネットで探してみると、2016年のシャンパーニュの総出荷量は3億603万本で前年比2.1%減、総出荷額は47億1000万ユーロで0.6%減だった。その要因は、フランスの国内消費が量的にも金額的にも減少傾向にあるから、と分析されている。ケチ、もとい合理的なフランス人感覚として自国のシャンパーニュは高すぎる。スペインのカバやイタリアのスプマンテなど、あるいは新世界でつくられる割安なスパークリングワインが日常は飲まれているらしい。

肝心の2017年のデータである。シャンパーニュの輸出国第1位は、前年比5.9%増の2309万本のシャンパーニュを空けちゃったアメリカ合衆国(États-Unis)で、5億8600万ユーロをどんちゃん騒ぎにつかった。これは前年比8.5%増となる。量より金額の伸びの方が大きいことに注目だ。

2位は興味深い。飲んだシャンパーニュの本数は2776万本と超大国アメリカを上回る。なのに金額は4億1500万ユーロと下回る。アメリカより1億ユーロも安い値段で買って、アメリカよりも多くのシャンパーニュをガバガバ飲んでいる国。そう、イギリス(Royaume-Uni)である。さすがというべきではあるまいか。出荷量では前年比11%減、出荷額では5.7%減というところにシャンパーニュの高付加価値化は見て取れるけれど、だからこそ伝統的シャンパーニュ消費大国イギリスは、安くてうまいシャンパーニュ以外のシャンパーニュを、つまりそれはシャンパーニュとは呼べないわけだけれど、なんせシャンパーニュ好きなひとたちだからして、味さえよければそれでよい、とばかりに探し求めているのではあるまいか(たぶん)。

でもって、3位に躍進した極東の美しい国ニッポン(Japon)はというと、1287万本のシャンパーニュを夜の社交界で空け、3億6072万ユーロを泡のごとくに消えさせた。ま、おいしいのだから仕方がない。量にして前年比17.6%増、額にして同21.3%増!

日本市場におけるカテゴリー別の数量と金額のグラフ。プレスティージュは数量では9.6%なのに金額では28.4%を占める。さすがプレスティージュ!

100年に一度の経済危機、リーマンショックから右肩上がりで回復。2016年のマイナスは前年の在庫があったため。2017年は金額の伸びに注目だ。

プレスティージュはうますぎる

美しい国ニッポンはおよそ半分以下の本数のシャンパーニュをイギリスが払った金額のおよそ4分の3以上の金額で買っている。ということは、1本のシャンパーニュにイギリス人よりおおよそ1.5倍の円を支払っていることになる。”億り人”のあぶく銭消費!? いやいや、シャンパーニュメゾンのがんばりというべきでしょう。真にシャンパーニュの違いのわかる男が増えてきている、と解釈すべきです。WINE-WHAT!?も微力ながら貢献。これぞ男子の本懐です。

シャンパーニュ プレスティージュは うますぎる(字余り)

ちなみに4位はドイツ(Allemagne)で、日本よりちょっと少ない1228万本のボトルを空けて、1億9683万ユーロつかった。量は0.8%減、金額は1.7%と微増。ビール好きで、ケチ、もとい合理的なドイツ人ですらシャンパーニュの高付加価値作戦に引っ張られて、量は減らしているのに金額は微増、シャンパーニュ好きのイギリス人とだいたい同じクラスのシャンパーニュを飲んでいると推測される(あくまで筆者の推測です)。

縦軸は2017年の輸出金額に対する伸び。横軸は2005年と2017年の輸出金額の比較。円は金額の大きさを表す。

シャンパーニュ委員会の分析によれば、アジア諸国は数量で15.5%増、金額は19.2%増で、高いパフォーマンスを示した。なかでも中国、台湾、香港を合わせた中国圏(Monde Chinois)の出荷額は大きく伸び、26.7%増を記録。韓国は表にないけれど、金額にして39.5%増の大躍進を遂げ、年間消費本数が初めて100万本を超えた。

なお、イギリスへの出荷量と額が減ったのは、Brexit(英国のEU脱退)の影響という見方もある。

このような統計をつらつらと眺めて筆者が改めて思うのは、フランス国内のシャンパーニュ消費が落ち込んでいるという分析がホンマでっか、ということである。シャンパーニュの総出荷量のおよそ半分をこの国のひとたちは空けちゃっているのである。フランス人て世界に6700万人しかいないのに。もちろん観光で訪れた外国人が飲んでいることもあるでしょう。それも含めてシャンパーニュというのは、依然フランスの文化なのである(当たり前ですね)。

それにしても、いまの日本で前年比、金額で21.3%プラス、数量で17.6%プラスなどという右肩上がりの商品があるとは! 日銀の黒田総裁も見習ってほしい。シャンパーニュ人気の分析が待たれる。

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