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「ジンファンデルのゴッドファーザー」の「レイヴェンスウッド・ワイナリー」

カリフォルニアのサステイナブルなワイナリー訪問その10(最終回) よい畑ほど美しくはないもの

カリフォルニア固有の品種といっても過言ではないジンファンデル。そのジンファンデルで名声を誇るワイナリーがレイヴェンスウッドだ。
樹齢130年近いジンファンデルが、驚くべき生命力をもって実をつける。

カバー・クロップのいろいろな使い道

ベッドロック・ヴィンヤードの1888年に植えられたジンファンデル。万が一のために灌漑設備はあるが、いっさい水を与えずに育てられている。

「ジンファンデルのゴッド・ファーザー」と呼ばれる、「レイヴェンスウッド・ワイナリー」のジョエル・ピーターソンさん。

1888年に植えられたジンファンデルの区画を案内しながら、「よい畑ほど美しくはないものさ」と曰う。

たしかに畝間には草がぼうぼう。もちろん、これらの植物はカバー・クロップであり、考えがあって生やしっぱなしにしているのだ。

「今年みたいに雨が多い場合はカバー・クロップの蒸散作用で土の中の水を抜いたほうがいい。反対に干ばつの年には水分を保つために、カバー・クロップを早めにすき込んで土に混ぜる。カバー・クロップにはいろいろな使い道があるね」

このジンファンデルの古木も、ジョエルさんが手にいれるまでは化学薬品のせいで、すっかり生命力を失っていたそうだ。
 

そこでまず、がちがちに固まっていた土を掘り返し、次に1ヘクタールあたり5トンの堆肥を施した。そしてライ麦や大根などのカバー・クロップを植えて土壌の流亡を防ぐと同時に、それをすき込んで養分にしたところ、ブドウの樹が若返ったという。
 

またこのジンファンデルのすぐ横には、ジョエルさんが発見した、カリフォルニアでは絶滅しつつある珍しい品種も栽培されている。
 

南西フランスの品種とされるカステやサヴォワの品種であるモンドゥーズ、それにグルナッシュの古いクローンなど。

 

珍しいブドウ品種もいくつか栽培している。こちらはカステ。かつてフランス南部で赤ワイン用につくられていたが、フランスでも絶滅危惧種になっている。

ジョエル・ピーターソンさん。1976年にレイヴェンスウッドを設立。現在はブドウ栽培農家のコンサルタントに勤しむ。

それらのブドウの樹をよく見ると、針金の先に妙なものが刺さっている。

その正体はアイリッシュ・スプリングというブランドの石鹸だった。マタンザス・クリークのラベンダーと同じ理由で、鹿がこの臭いを嫌い、寄り付かなくなるそうだ。
 

まさにブドウが収穫された畑を前に、2014年のベッドロック・ジンファンデルがグラスに注がれた。ジンファンデルというとジャムのように濃厚で重たいワインを想像しがちだが、このワインはきれいな酸味がフレッシュさを誘う。じつに調和のとれた味わいであった。

 

鹿除けの秘策。アイリッシュ・スプリングという石鹸の臭いを鹿は嫌う。

ジョエルさんの愛車はテスラ・モデルS。さりげなくエココンシャス。

現地試飲テイスティング・コメント by 柳 忠之

左から1、2、3。輸入元はコルドンヴェール。

ベッドロック・ジンファンデル・ソノマ・ヴァレー 2014
ジンファンデル77.1%、プティット・シラー7.8%、カリニャン7.6%、アリカンテ・ブシェ7.5%。1885年植樹の古木も含む。フレンチオークの小樽(新樽40%)で19カ月熟成。集中度が高く凝縮したプラムにチョコレート。きれいな酸味のおかげで重々しさは感じられず、フレッシュな後口。

ベッローニ・ジンファンデル・ロシアン・リヴァー・ヴァレー 2014
冷涼なロシアン・リヴァー・ヴァレーの単一畑、ベッローニ・ヴィンヤードのジンファンデル。25%は他の様々な品種の混植混醸。フレンチオークの小樽(新樽25%)で19カ月熟成。新鮮で熟したプラムやラズベリーの華やかなアロマ。きれいな酸味を纏い、エレガントな味わい。

オールド・ヒル・ジンファンデル・ソノマ・ヴァレー 2014
ソノマ・ヴァレーの単一畑、オールド・ヒル・ヴィンヤードのジンファンデル。ベッローニ同様、25%は他の品種の混植混醸。フレンチオークの小樽(新樽30%)で19カ月熟成。ロブストという表現がもっとも似つかわしい、凝縮感に富み、タンニンもパワフルなワイン。その迫力に打ちのめされる。

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