ネグロアマーロは大きく2つに分けられる
今回のワインはロゼ・スパークリング1本、ロゼ2本、あとは赤ワインだったのですが、ひととおり試飲を終えた後の各人の評価をみると、見事に点数がバラバラ。酸やタンニン、といった、誰であっても近い評価になるであろうと予想していた項目であっても一致しない、というのは、発見でした。
ただ、試飲後、感想を語り合う段になると、徐々にネグロアマーロが像を結んできます。それを林ソムリエの知見もお借りしながら分類すると以下のように大きく2傾向にわけられそうです。
典型的なネグロアマーロ
ネグロアマーロは、おもに育てられているプーリア州においては、買ってきてすぐに飲む、身近なワイン。南方のブドウなので、力強く、どっしりとしたワインになりがちというのは事実にしても、同時に若々しく、ベジタルな味や香りがあります。
今回、そのういったネグロアマーロのなかで、代表的な存在と言えそうなのは、TAGAROの「Seicaselle」。バランスが良くエレガント、と高評価を獲得しました。
現代的なワイン
イタリア南部の海に近い場所で育てられる場合が多いネグロアマーロはアルコール度数が高くなりがちなようで、くわえて、干しぶどうのような甘みが、香りや味から感じられるものも多くありました。仕向地の味の好みにあわせて、あえて、そうした特徴を強調している場合もあるようですが、ものによっては、品種、土地の個性の表現として、枝につけたまま、ブドウを完熟させるだけにとどまらず、干しぶどうのような状態にまで凝縮させる場合も。手間を惜しまず、表現を追求する、現代的な高品質ワインのための品種としても、ネグロアマーロはつかわれ、ネグロアマーロから、スーパープーリアと賞賛されるワインを造る生産者もいます。そういったスターには、フォロワーがあらわれ、結果的にプーリアのワインの進む道をきめてゆきます。
今回のワインでいえば、Gianfranco Finoによる「Jo Negramaro Salento」。ブラインドテイスティングでも、総じて高評価でした。ある意味では今回試したネグロアマーロのワインにあった要素がすべてこのワインでは表現されていながら、高いレベルでまとまり、決して重厚長大なワインではない、といったところが、試飲に参加しただれもが、高い評価をあたえた理由かもしれません。
そして、今回、もっとも評価が高かったといえそうなのが、Cantine San Marzanoの「Vindro Negroamaro」。ボリューム感のあるワインで、肉か、魚か、あるいはワインだけで飲むか、いつ、どんな風に飲むかには、諸説入り乱れたドラマチックな一本。
また、ロゼワインのフードフレンドリーさもネグロアマーロの特徴と感じられました。あまり低い温度にせずに味わうと、ロゼワインらしい、さわやかさ、軽やかさと、ネグロアマーロならではのしっかりとした甘みや独特の香りが共存します。特に魚や甲殻類、生のカキやウニ、料理ならば、カルパッチョなどと非常に相性がよさそうです。
以上がWINE-WHAT!?勢による、イタリア土着品種、ネグロアマーロの感想。ヴィーノハヤシでは、こんな話もふまえながら、どのワインが教材として、ネグロアマーロを知るのに好適なのか、最終的な判断をおこないます。WINE-WHAT!?もその結果を楽しみに待ちたいとおもいます。
まだ、参加チャンスあり。「イタリア土着品種研究会」は
こちらから
高評価を得たものの、「イタリア土着品種研究会」第6回の教材とはならなかった
Gianfranco Fino(ジャンフランコ・フィノ)「Jo (ヨ)」はWINE WHAT online shopにて販売中
今回の会場はーー