国際ホテルジャーナリスト、小原康裕のワインの都ボルドー視察の旅。最終回は、ボルドーを代表する高級ホテル、珠玉の3軒を紹介する。
LES SOURCES DE CAUDALIE 〜Martillac〜

「レ・スルス・ド・コーダリー」は、「Small Hotels of the World」加盟の旗艦ホテルで、フランスホテル最高峰の格付け「パラス」の認定を去年授与され、改めてその実力を世界に知らしめた。広大なホテル敷地内に白鳥の泳ぐ池、コテージスタイルの客室棟、室内プール棟などが点在している。
ヴィノセラピー・スパでアンチエイジング
ボルドー郊外マルティヤック地区にあるワイナリー「シャトー・スミス・オー・ラフィット」の敷地内に、ブドウの恵みを最大限活用したスパ施設を持つラグジュアリーホテルがある。
その名は「レ・スルス・ド・コーダリー」。日本語では“コーダリーの泉”と訳せる。
ブドウに含まれるポリフェノールがもたらすアンチエイジングや抗酸化作用などの特性を活用して誕生したスキンケアブランドで有名だ。コーダリー社が独自に開発したワイン+セラピーを組み合わせた“ヴィノセラピー”は商標登録され、『コーダリー・ヴィノセラピー・スパ』で体験できる。
コーダリーはスモールホテル・オブ・ザ・ワールド加盟の旗艦ホテルで、フランスホテル最高峰の格付け「パラス」の認定を去年授与され、改めてその実力を世界に知らしめた。広大なホテル敷地内に白鳥の泳ぐ池、コテージスタイルの客室棟、室内プール棟などが点在している。
特筆すべきはホテル内に2軒のレストランがあること。
メインダイニング「ラ・グラン・ヴィーニュ」はミシュラン2ツ星を獲得。カジュアルレストラン「ラ・ターブル・デュ・ラヴォワール」と共に、食事、ワイン、スパと三拍子揃ったリュクスな滞在を堪能できる。
Château Cordeillan-Bages 〜Pauillac〜
17世紀の教会を改築した建物
アメニティーはエルメス
ボルドー・メドック地区、ポイヤックに位置する「シャトー・コルディアン・バージュ」は、ルレ・エ・シャトーに加盟するリュクスなブティック・ホテルだ。元々は17世紀に建てられたカルトゥジオ修道会の教会を改築した由緒ある建物である。
シャトー・ランシュ・バージュのオーナー、ジャン・ミッシェル・カーズ氏が所有し、ダイニングルーム脇のテラスから品種別に区分けされたブドウ栽培も見られる。
ホテル館内は気品ある趣で、落ち着いたライブラリー、複数のサロン、芝生に囲まれたオープンエアのプール、フィットネスなど充実している。
客室はアーバン・コンテンポラリーのデザインで、バスルームのアメニティーはエルメスを使用している。
ダイニングはかつてミシュラン2ツ星を獲得した「レストラン・コルディアン・バージュ」のほかに、ホテルから徒歩数分の場所にあるバージュ・ヴィレッジの一角に、ホテル提携のビストロ「カフェ・ラヴィナル」も用意している。
バージュ村周辺はポイヤック南部の有力シャトーが集まっており、レンタル自転車で近隣のシャトー巡りもお勧めだ。
コルディアン・バージュは好立地が魅力の珠玉のホテルと言えよう。
Hostellerie de Plaisance 〜Saint-Émilion〜
サンテミリオンの中心で
2ツ星のメインダイニング
地元のシャンタルとジェラール・ペルス夫妻が、サンテミリオンの歴史を担ったと言われるシャトー・パヴィ。そのペルス一族による経営のホテルが、ルレ・エ・シャトー加盟の「オステルリー・ドゥ・プレザンス」である。
ホテル館内はモダンな意匠でリノベーションされ、客室もコンテンポラリーデザインで統一。バスルームも清潔でアメニティはフェラガモを使用している。
メインダイニング「ラ・ターブル・ドゥ・プレザンス」は、ミシュラン2ツ星を獲得した、地元でも人気のガストロノミー・レストランである。
オステルリー・ドゥ・プレザンスの魅力は何といってもロケーションであろう。サンテミリオン中心部の広場に立地し、観光案内所も至近距離にある極上のブティックホテルだ。サンテミリオンの村自体が世界遺産に登録されており、中世の面影が色濃く残る街並みと一面に広がるブドウ畑の景色を楽しめる。
ホテルは由緒あるモノリス教会の一枚岩上部に建ち、付属した鐘楼が正面玄関の前にそびえ立つ不思議な空間を体験できる。敷地内のテラスからは赤茶色の屋根で覆われたサンテミリオンの全景が遠望でき、このテラスで味わうワインは旅の良き思い出となろう。