Mr. Dan Swincer
from Australia
オーストラリア代表 ダン・スウィンサー
東京で一堂に会したのは、パット・ヘンダーソン、パトリック・マターマン、そしてダン・スウィンサー。3人とも、生産国は違えどペルノ・リカール・ジャパンのファインワイン・シリーズを手掛ける敏腕ワインメーカーだ。
彼らは常に連絡を取り合い、最新情報を共有する。「お互い、扱っている品種も産地特性も違う。自分が新たな品種に取り組みたいと思ったときなど、すぐにアドバイスをもらえる関係なんだ」とダン。ダン自身は、ペルノ・リカール・グループの赤ワインを総合的に監修する立場にある。と同時に、オーストラリアのバロッサに拠点をかまえ、ジェイコブス・クリークとセント・ヒューゴに注力している。
まずはダンに、日本でもお馴染みジェイコブス・クリークの新アイテムについて聞いてみた。「スタインガーテン」というドイツ風の名前の通り、ドイツのモーゼル川沿いで造られるワインからインスパイアされたリースリングである。
「30年造り続けてきて、日本では今回が初お披露目。幾多の銘柄をリリースしてきたジェイコブス・クリークのなかでもトップ・レンジです」
オーストラリアのバロッサは温暖なイメージが強く、きっと果実味あふれるのだろうと予想して口に含むと、大きく裏切られる。やさしい味わいのワインが多かったジェイコブス・クリーク観を一気に覆すほど、洗練された酸を持つ辛口の仕上がりだ。
「バロッサのなかでも標高が高く冷涼なエデン・ヴァレーのブドウを使っています。もちろん補糖はせず、マロラクティック発酵もしません。畑のフルーツをそのままボトルに詰めたようなナチュラルさにあふれているでしょう」
いっぽう、セント・ヒューゴからファインワイン・シリーズの仲間入りを果たしたのは、オーストラリアの代名詞的品種であるシラーズのワイン。単一品種ながら複雑味を持つ理由について、「バロッサだけでも地質はさまざま。9つの違う区画から収穫したシラーズをブレンドし、まとめあげています」とダンは語る。
続けて彼は、“マイルストーン・ワイン“としての位置づけについても解説してくれた。
「マイルストーン、つまり人生の節目で飲んでほしい特別なワインです。2015年にお子さんが生まれたら、2035年、その子の20歳の誕生日に開けて飲んでいただけるような存在。もちろん、3年間セラーで寝かせてからリリースしていますから、すぐ飲んでもおいしい。ただ、古いワインがお好きな方なら、さらに10年ほど寝かせることをオススメします。スクリューキャップですから酸化しませんし、それでも色が少し淡くなって、熟成に一貫性があります」
シラーズの産地として世界的に知られているバロッサ。
「だから、このバロッサ シラーズは、まさにオーストラリアのショーケース。深い香りがあって、バランスもとれていて、ファンタスティックですよ!」