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クラウディー ベイを造る人 ジム ホワイトさんはこんな人

ヒルトン東京お台場の「シースケープ テラス・ダイニング」にて

ジム ホワイトと日本ワイン

「こうして日本に来られるのも、あのワインのおかげですよ。私は幸運だ……」

「ジムさんは本当に日本がお好きなんですね。年に一度は日本にいらしてますよね」

「仕事では、ね。2月にスキーをしに白馬と野沢に来ていますよ」

「どうでした?」

「きれいなところですね。でもニュージーランドのセントラル・オタゴっぽい感じもしたんです。セントラル・オタゴにもスキーができる場所はありますし」

「長野も涼しいですが、セントラル・オタゴは、あの「テ ワヒ」の、ピノ・ノワールの産地ですから涼しいんでしょうね。でも夏は結構暑いとおっしゃっていませんでしたっけ?」

「テ ワヒ」は、酸味とタンニンがやさしくまろやかにとけあった味わいのなかに、凝縮されたパワーを秘めたワインだ。これまた注がれたニューヴィンテージの2015年は、まろやかで、ほのかな甘み、うまみに酸味がアクセントをくわえるバランスが絶妙だ。実に高級感がある。2015年の気候は、大きな波乱はなかったようだけれど、エレガンスのなかにも熱っぽいエネルギーを感じる。

黒のラベルに金の文字。見た目も特別な「テ ワヒ」。こちらが最新、2015年ヴィンテージです

「夏はかなり暑くなりますね。でも冬だと-10℃あたりまで冷え込みます。海から遠くて、寒暖差が大きいんです。クラウディー ベイの、マールボロの「ピノ ノワール」の畑のほうは、とても乾燥しているのが特徴ですが、気温は夏で30℃を少し越えるくらい。冬は寒くても-2℃くらいですね。海の水はいつでも冷たいです」

「海のおかげで安定しているわけですね」

例年よりは寒暖の差が大きかったという2015年ヴィンテージの「ピノ ノワール」。ピンとさわやかな酸味が特徴的だった。13%は全房発酵というから、それと、35%新樽というフレンチオークの影響か、ハーブやオーク、そして土のような風味も感じられる。「テ ワヒ」とは性格がだいぶ違う。

charcuterie platter

「ピノ ノワール」とは、シャルキュトリーなんかもいいかもしれない。右の写真は、江戸前アナゴのフィッシュ&チップス。大雑把に言えば天ぷらです

「長野のワインは飲みましたか?」

「今年の冬に来たときはスキーばっかりで地元のワインは飲みませんでした。その前に来たときには山梨のワイナリーにいったんです」

「甲州、試しましたか?」

「甲州は印象的でしたね。ほかにも国際品種のいろいろな山梨のワインを飲んで、でも、個人的に一番好きだったのが、長野のブドウを使ったものだったんです。それは、クラシカルなストラクチャーがあって、個人的に、冷涼な気候の土地で育ったブドウを使った優れたワインだと感じたからです。山梨、北海道は有名ですが、長野ももっともっと良くなると期待しています」

WINE-WHAT!?はこれを特集せよ

「前回も相談させていただきましたが、日本の食べ物とワインとの相性をさぐる企画は、おかげさまでWINE-WHAT!?の人気企画です。ジムさんだったら、次はどんな企画がいいとおもいますか?」

「福岡に行きたいとおもっていて、今回、ちょっと早く日本に来ちゃったんです。事前にネットで調べて、とんこつラーメンと、めんたいと、モツ鍋を食べるべし、という結論に至って、福岡で、めんたい、を初体験してきました。しかも、オリーブオイルがかかっているものを食べて、これとシャルドネとの相性がすごくよかった!」

「3つ全部食べたんですか?」

「バーで手品をやっているのに出会って、すっかり楽しんでしまったり、焼き明太子を屋台で食べたりしていたら、モツ鍋を食べるタイミングを失ったのが悔やまれます。とんこつラーメンは朝食に食べたのですが……」

「朝食に!? それで、めんたいとシャルドネ。そのこころは?」

「オーク樽の風味がするワインは、うまみがあります。以前も言いましたが、出汁との相性がいいとはずっとおもっていたんです。この理屈はめんたいでも通用しますね。それから、魚の味噌焼きというんでしょうか。あれもシャルドネと合う。ピノ・ノワールもいいんです。互いを高め合うというのでしょうか。ある種のピノ・ノワールは、日本の食の、うまみを引き出してくれます。このうまみが、日本食とワインとのペアリングの鍵ですね。こんなことは日本に来なければ、ほとんど考えもしなかったことだとおもいます。ニュージーランドの食事に、日本食にあるようなうまみの要素を見つけ出すのは、簡単ではありません。日本に来たことで、私のワインの引き出しが増えたんです。やっぱり、日本に来られてよかったです」

WINE-WHAT!?もジムさんに出会えてよかったです。

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