でっかいどー、ホッカイドーは、ポテトだけじゃない! ここ10年で、新しいワイナリーも続々と誕生。日本ワインの北の雄として、存在感をますます増している。世界も注目する、日本のワイン産地を巡る旅に出かけてみよう!

高台にあるヒロツヴィンヤードからは余市湾が見える。



余市のブドウが北海道産ワインの評価を高めてきた

日本でワイン産地と呼べる地はどこか。

山梨はもちろんだが、欧米のように垣根式ブドウ畑が丘陵地を埋めつくす北海道の余市町は、まさに世界水準のワイン産地だ。冬はブドウ畑が一面の雪原となり、垣根の支柱だけが頭を出す景観は北海道ならではのもの。余市はワイン産地として世界との共通性と独自性を併せもつ。

暖流の対馬海流の先端が流れ込む余市湾に面し温暖な余市は、果実栽培が盛んで「北のフルーツ王国」と呼ばれてきた。ところが、1970年代後半、果樹生産の主力だったリンゴの価格が大暴落。この危機に7軒の農家が集まり、1981年、「ワイン」の勉強会を立ち上げる。そして、ワイン専用種の垣根栽培に着手した。

1983年にはサッポロビールが農家5軒と専属契約を結び、苗木を提供、一気にワイン用ブドウ栽培が広がった。今では町内のワイン専用種の栽培面積は130ヘクタール余。これは、日本最大のブドウ栽培面積を誇る北海道全体の約3分の1(収穫量は約2分の1)を占め、さらに拡大中だ。

香りが華やかで清涼感溢れる味わいのケルナー、和食に最適な酸と渋味の調和がとれたツバイゲルトレーベ、そしてピノ・ノワールと、余市のブドウが北海道産ワインの評価を高めてきた。

2008年、長らく「ココファーム」の栽培責任者だった曽我貴彦さんがピノ・ノワールを造るには余市以外はないと、町内2番目となるワイナリー「ドメーヌ・タカヒコ」を登地区に創業。やがて曽我さんのように自らが栽培から行うワイン造りを目指す人たちが登に集まり、次々とワイナリーを起こした。昨年はカルディを展開するキャメル珈琲の関連会社「キャメルファーム」がワイン醸造を開始した。

登は余市町の中央を流れる余市川右岸の丘陵地で、左岸の丘陵地には「オチガビ・ワイナリー」、海外での醸造経験の長い平川敦雄さんの「平川ワイナリー」があり、アサヒビールが今年開いた畑も右岸にある。余市町内のワイナリー数はすでに10社。今年は「モンガク谷ワイナリー」ができる。不動産業から転身し、今春から畑を開き始めた杉山哲哉さん(後述「杉山ヴィンヤード」)のように数年後の創業を目指す予備軍も少なくない。

La Fête des Vignerons à YOICHI(農園開放祭@余市)

冬の雪は多くとも、春から秋までは銘醸地ブルゴーニュと同等の温暖な気候と、長野や山梨に比べまとまった面積の農地を取得しやすいことから質の高いワイン造りを目指す人たちが余市に集まってきた。

余市の南側、仁木町も同様で、「ニキヒルズ・ヴィレッジ」が2015年に創業した。ブドウ栽培を始めた本間裕康さんはワイナリーに先立ちカフェをオープンした(後述「ル・レーヴ・ヴィンヤード」)。

ビジターを受け入れるワイナリーは少ないが、余市では毎年7月にはLa Fête des Vignerons à YOICHI(農園開放祭@余市)と題したワイナリーとブドウ農園の開放日がある。2月末の「ワインを楽しむ会」に参加すれば、雪原のブドウ畑を眺め、町内どころか道内外のワイナリーが余市産ブドウから造ったワインを存分に楽しめる。このイベントに参加できなくとも、農閑期なら対応してくれることもある。

「ドメーヌ・タカヒコ」とそこで研修した造り手のワインをグラスでだす「ジジヤ・ババヤ」、駅前の週末限定ワインバー「Y’nわいん」、余市と道産ワインの圧巻の品揃えを誇る登町の「余市サグラ」など、ワイン産地余市のアンバサダーといえる飲食店も登場してきた。

余市のワイン産地としての景観は栽培農家が作りだした。今はワイナリーが彩を与え、飲食店などがディティールを加えているところだ。SNSなどを通じボランティアを募るワイナリーやヴィンヤードも少なくない。ワイン産地としてまだ発展途上の余市、ただ訪ねるだけでなく、ボランティアとしてかかわってみるのも楽しい。



余市・仁木 ヴィンヤード&ワイナリーマップ



余市町HP(ワイン用)

仁木町HP(ワイン用)



Access Information





隣町同士の余市町と仁木町による連携ワインツーリズム事業

大好評の「余市・仁木ワインツーリズムプロジェクト スペシャルガイドブック」。上のマップは同書より特別に転載の許可をいただいた。改めてに謝意を表したい。
この冊子については余市町役場農林水産課 tel.0135-21-2123、あるいは仁木町役場産業課 tel.0135-32-3951に直接お問い合わせ下さい。





この記事を書いた人

WINE-WHAT!? 編集部
WINE-WHAT!? 編集部
我輩は「WINE-WHAT!?」である。名前は「WINE-WHAT!?」である。誰がつけたかとんと見当がつかぬ。

ワインホワット?

「WINE-WHAT!?」である。にゃ〜。