2018年11月。北半球ではブドウの収穫も一段落しつつある頃、WINE-WHAT!?の社長兼副編集長・鈴木は、ブルゴーニュにいた。しかもそれは、シャブリやコルトン、ニュイ・サン・ジョルジュにモンラシェ、といったブルゴーニュ特級畑のワインを取材するためではなく、ときに日本では、見落とされてしまう産地とそこでワインを造る人に出会うために。
bourgogne

そりゃあ、ワインといえばブルゴーニュを抜きにしては語れないわけで、ブルゴーニュで先祖代々のグラン・クリュ畑をもつドメーヌなんかに生まれようものなら、人生には文化的責任がのしかかってくるのだろう、と、新参のワイン雑誌社の社長をやっているぼくなどはおもうのである。しかし世界的に知られるグラン・クリュに格付けされている区画は、栽培面積にしてブルゴーニュ全体の約2%にすぎず、生産量では1%程度でしかない。つまり、ブルゴーニュというワイン産地の世界的ブランドは、残る99%のワインによって支えられているのではあるまいか? その疑問は、なんでブルゴーニュでは、何百年もワインが造られつづけているのか、という疑問にもなった。

3,000円のワインが3万本売れたとして、いくら手元にのこるのだろう。それは、農業、醸造、製造、販売という苦労に見合う報酬なのだろうか。上昇志向、拡大志向と無縁とはいえないにしても、一番でなければ意味がない、という価値観はここには向かないはずだ。もっとドメーヌを大きくしたい、リッチになりたい、などといっても、ブルゴーニュでは限界があるし、だいぶ気の長い話になる。ではなぜ、ひとはここでワインを造るのだろう。 返ってきた答えは、父のワインを継ぎたいから、自分ならこういうワインを造る、という思いがおさまらないから、その土地が好きだからーーたとえ、遠く離れ、若々しいワイン産地で経験を積んだとしても、ブルゴーニュに帰る、あるいはこの地でのワイン造りに挑戦する人はたくさんいて、この地のワイン造りの火は消えることがない。それどころか、いまもなお、発見、再発見されている産地もあるのだ。

ブルゴーニュにはひとを魅了する魔力があるのではないだろうか。この場所は、人間をして、ワインを造らせているようにも、感じたのだった。だからぼくは、ブルゴーニュはワインの故郷だ、とおもう。

約1週間の滞在のリポートから、そんなブルゴーニュの姿を描き出せたら、とおもう。 つい先だって、夕食のときに、一本のボトルをテーブルにおいた。それは、訪れたドメーヌの当主が、今回はテーマにあってないとおもったから出さなかったけれど、これも飲んでみてくれ、と言ってくれたものだった。その人の顔を思い浮かべながらあけたそのワインは、文化的背景をまったく異にする場所での食事すら引き立てた。そういえばブルゴーニュでも、テーブルの上にはいつもこの、なで肩ボトルがのっていた。当然、そこにあるべきもののように。

ワインが本来、居るべき場所はここだ、とおもう。ブルゴーニュのワインは、食卓に馴染む。やっぱりブルゴーニュはワインの故郷だ。













































この記事を書いた人

WINEWHAT
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年末はこの1年の感謝を込めてシャンパーニュを開けまして。

キリスト教とは無関係でも開けまして。

正月は新しい1年の無病息災を祈って開けまして。

あけましたらおめでとうございます〜。