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ワインの故郷、ブルゴーニュ その1-4

ヴィニ・ヴィティ・ヴィンチ(VINI VITI VINCI)

イランシー Irancy
Vini Viti Vinci

ヴィニ・ヴィティ・ヴィンチ

http://vinivitivinci.com/
vini_viti_vinci

ニコラ・ヴォーティエさん。ニコラさんが修復した搾汁機とともに。搾汁機は下にエンジンがついている

ワイン造りの哲学は「怠け者でケチ」

アヴァロンというイランシーから南に40㎞ちょっとの場所に、ヴィニ・ヴィティ・ヴィンチはある。ニコラ・ヴォーティエさんが2009年にはじめた醸造所だ。もともとはボジョレーでワイン造り全般を学んでいたニコラさんだけれど、98年から2008年までは、出身地でもあるシャンパーニュのトロワという都市でワインバーをやっていた。しかし自分のワインを造りたい、という思いはおさまらず、ブルゴーニュの自然派ワインの名人、フィリップ・パカレに師事して、現在の場所を居抜きで引き取って、ヴィニ・ヴィティ・ヴィンチを起こした。

ブドウの栽培にはかかわらず、収穫以降に専念する。現在は10農家、20区画のブドウを使い、おもたる産地は、ニコラさんが愛するイランシー。そのほか、ブルゴーニュ・クーランジュラ・ラ・ヴィヌーズという、ヨンヌ川を挟んでイランシーの西にある土地のシャルドネとピノ・ノワールも醸造している。

 穴の空いたボロボロの薄手のセーターを着てあらわれたニコラさんは、いかにも自然派ワインの造り手といった風体。ワイン造りの哲学も、「清澄もフィルターがけもしない。怠け者でケチであるべきだ」という。

発酵をおこなう施設は2011年にニコラさんがあらたに造ったもので、立ち並ぶ木製の大樽はピジャージュできるようにオープントップ。足踏みで行うこともある。

発酵用の木樽

発酵用の木樽。ピジャージュは赤ワインの仕込み時に行うもので、発酵させる際に発生する炭酸ガスの作用で液体表面に浮き上がった果皮や種を人の手によってかき混ぜること。使うときはこうは持ちませんが、ニコラさんが手にする棒を使ったり、樽の中にはいって、人間の体重を使ったりします

建物の前には、牧場で発見して買い取り、パーツを集めて修復したという古めかしい搾汁機があり、これが、弱い力でゆっくりと搾汁できて非常にいい、という。

ヴィニ・ヴィティ・ヴィンチの特徴は、セミカーボニック・マセレーションにある。除梗せずにブドウをタンクに入れると、重量で潰れたブドウから出たわずかな果汁がきっかけになって、自然にほとんどのブドウが粒の中で発酵しはじめる、という伝統的な発酵方法だ。しかも、この行程で、マロラクティック発酵も酵素の力で同時に起きる。ニコラさんによると最高でも24℃にしかならないというほど、低温で、長時間かけてなされるこの発酵の産物たる、エレガントなワインが理想だ。

ちなみに、この方法を取る場合、栽培時に化学的な薬剤を使われると、発酵が終わらないという問題が起きるから、ブドウ農家との信頼関係はとても重要だという。

果たして生み出されるワインは、イランシーの力強いイメージを裏切る繊細さ。

barrique

「樽の香りはいらない。欲しいのは効果」古樽を使い続け、現在、最古は1996年

「ピノ・ノワールは果実の味が重要だとおもいます。タンニンなら皮のではなく、梗由来のものが好き。また酸も強いとタンニンを感じやすくなる」という。

最後に試させてもらったイランシーのヴィエイユ・ヴィーニュだけが非常に力強いワインだった。これはニコラさんによればまだ若い。2009年がいま飲み頃を迎えているという。このワインは10年は熟成するのではないかといいながらも、「自分はまだヴィンテージを語れるほどの経験は積んでいない」とも。

その味わいは、独特の酸味と塩味があり、おそらく、やや味の濃い魚料理、ジビエのうまさを引き立ててくれるだろう。

vini viti vinci wines

試飲したワインは2015年ヴィンテージ。ラベルは友人のデザイナーによる。ワインと絵柄の関連性は薄い

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