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ワインの故郷、ブルゴーニュ その4-1

ドメーヌ ノーダン・フェラン(Domaine Naudin Ferrand)

ブルゴーニュ・オート・コート・ド・ニュイ Bourgogne Hautes Côtes de Nuits
ブルゴーニュ・オート・コート・ド・ボーヌ Bourgogne Hautes Côtes de Beaune
Domaine Naudin Ferrand

ドメーヌ ノーダン・フェラン

http://www.naudin-ferrand.com/
ドメーヌ ノーダン・フェランのクレール・ノーダンさん

クレール・ノーダンさん

祖父の時代のワインは、これからのワイン

クレール・ノーダンさんは1994年に、一族のドメーヌを受け継いだ。ワイナリーがあるのはオート・コート・ド・ニュイとオート・コート・ド・ボーヌの境界線上といっていいマニという場所で、畑もブルゴーニュ・オート・コート・ド・ニュイとブルゴーニュ・オート・コート・ド・ボーヌ両方のアペラシオンにまたがっている。

オートは高いという意味で、いずれも畑は、丘にある(高度は平均280〜450m)。この近くで有名なアペラシオンは、コート・ド・ボーヌ側にあるコルトンおよびコルトン・シャルルマーニュだけれど、ドメーヌ ノーダン・フェランの位置はそこよりも北だ。

「1961年から、2つのAOCにまたがっています。それで不便を感じたりはしていません。そういう場所ですし、ニュイとボーヌでは、やはりできるワインが違いますから」

地質的にはコンブランシアン、白泥灰土。鉄分の含有量などで差が出てくるというけれど、それよりもノーダン・フェランを特徴づけるのは、SO2(亜硫酸塩)だ。通常のラインナップでも、SO2の添加量はごくわずか(最終的に50㎎/ℓ程度になる)。さらに花の名前がついた、少し高級なラインではSO2をボトリングのときにごくごく少量(同35㎎ /ℓ程度)くわえるだけなのだ。全房での樽発酵、ノンフィルター等、極めてナチュラルな造りをするのも後者のライン。

SO2 は、二酸化硫黄のことで、ワインの場合、酸化防止剤として、伝統的に広く使われる。またワインのなかにも自然に、微量が存在する

「これは祖父の代では、普通のワインの造り方でした。そして、私はこれがこれからのワインの造り方でもあるとも感じているのです」

このラインはクレールさんが1999年に試験的に生み出した。というのは、クレールさんは偏頭痛持ちで、その原因はSO2にあると考えていたのだけれど、あるとき、SO2無添加でもワインを造れると聞いてテストしてみたところ、たしかに頭痛がおきない。さらに、ワインからは花の香りがした。そこで、これを通常のラインアップとは別に用意することにして、白は2002年から、赤は2003年から商品化したのだった。

いまやノーダン・フェランではこちらのラインのほうが主力。ワインの味は、基本的には酸がしっかりとしていて、清涼感がある。これはクレールさんの狙いで、あえて収穫は早めに行い、ワインを重たくしないようしているそうだ。

ドメーヌ ノーダン・フェラン

白い扉をあけるとテイスティングルーム

ドメーヌ ノーダン・フェランのワイン

縦に長いラベルがSO2を極力使わない花の名前のついたライン

白は、通常のラインでも甘い果物の香りや花の香りが感じられる。いっぽう、赤のほうは、やや塩を含んだ香ばしい穀物のような香りを後味に感じるのが印象的だった。

もっとも、このドメーヌらしいな、と筆者が感じたのは、ミヨゾティス(ワスレナグサ)という名のブルゴーニュ・オート・コート・ド・ニュイの赤(ピノ・ノワール)。タンニンも酸も、きちんとあって、そのバランスがよく、複雑でしっかりとしたワインながら、すーっと抵抗なく飲めてクリアだ。

「ブルゴーニュ・オート・コート・ド・ニュイとブルゴーニュ・オート・コート・ド・ボーヌはいずれもフレッシュさのバランスが大事だと考えています。酸がきちんとあって、アルコールは軽め。5から10年の熟成
のポテンシャルは持っているとおもいますが、しばらく寝かせないと飲めない、とか15年寝かせて飲み頃、というようなワインではありません」

2016年は、この地でも天候の影響から生産量は少なく、いまはもう在庫がほぼない。2015年が中心の試飲となったけれど、2014年のほうが、クレールさんの普段のワインに近いという。

「2018年は、オーガニックで全量栽培できましたし、楽しみな年です。ただ、2015年がそうだったように、温暖化していますから、夏、かなり暑くなるのは、今後、避けられないかもしれません。そんななかで、自然な農法、SO2の無添加、そして飲みやすいワインであること。これは現在の料理の傾向や人々の趣味趣向にもあっているから人気があるのだとおもいます。私のワインがこれからのワインといったのはそのためです」

クレールさんはそうまとめたあと、子供を学校に迎えに出かけていった。そう、彼女は子育てする母親でもあるのだ。そんなところもまた、現代的だなぁと、すっかり日が暮れたマニで、軽やかな酔いを感じながら、筆者はおもうのであった。

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