ルクセンブルクワインルートで目を引く崖に穿たれたトンネルの入り口。そこは共同醸造施設、カーヴ サン・マルタン(Caves St. Martin)で、それを所有するのはクレマン・ド・ルクセンブルクで知られるギャレス(Gales)だ。

ギャレス家の4代目当主イザベル・ギャレスさん

総延長1100メートルの坑道

ルクセンブルクワインルートの中間地点からちょっと南のところにあるレーミッシュという村の近辺には、モーゼル川に面した岩の絶壁がある。

そして、その絶壁には古いトンネルの入り口のような建造物がある。ここが共同醸造施設「カーヴ サン・マルタン」で、現役のヘッドクオーターもここに隣接する。

岸壁に穿たれたカーヴの入り口。ワインの販売所もこの中にある

このカーヴは1903年から1907年にかけて建設され、1919年、三畳紀の地層が露出したこの土地の石灰質の土壌がスパークリングワインに好適と考えた7人の男たちによって立ち上げられたそうだ。

トンネルの中に入ると、総延長1100メートルの坑道に、総数9万本のボトルと、樽が並ぶ。

ずらっと並んだ動瓶台。アッサンブラージュ後、最短でも11カ月、最長では24カ月熟成

壁面の内側がコンクリートタンクになっている。ルクセンブルクの大型ワイナリーでは現役で使われている。主にテーブルワインのリヴァネール用。一部のピノ・ノワールとシャルドネ以外はステンレスタンクで発酵・熟成する

壁面には、ルクセンブルクの大型ワイナリーにはおなじみで、フランスなどではなかなかみかけない、コンクリートの発酵槽(内部はポリエステルでコート)もある。小さなステンレスタンクでは、ワインが発酵し、タンクから伸びた管から聞こえるテテテテというリズムがトンネルに反響すると、その音はまるでワインのさえずりだ。

ステンレスタンクから管が伸び、発酵の状態がわかるのもルクセンブルクではよく見る光景

驚くべきはエリタージュ

年間少なくとも60万本程度は生産できるというこの施設を現在所有するのが、ギャレス家。1916年にニコラ・ギャレスという人物が起こしたワイナリー「ギャレス」を経営する一族だ。

ギャレスは家族経営の会社で、現在は4世代目となるイザベル・ギャレスが代表をつとめる。ギャレス家のワインはそもそもはスパークリングで始まっていて、今も主力はクレマン。カーヴ サン・マルタンでスティルワインとクレマンを造っているけれど、クレマン専用のモダンな新ワイナリーが2019年に稼働予定だ。

自社ブランドはこの「ギャレス」と「サン・マルタン」。それぞれのブランドは畑も歴史もちがうから、とキュヴェは分けているけれど、醸造長はアルノー・バウアーという人物が一人でつとめている。

ミネラルに富んだテロワールを反映しているという、おしとやかなスティルワインも魅力的ながら、驚くべきはギャレスの「エリタージュ」。リースリングとピノ・ブランがほぼ半々で、わずかにオーセロワが加わるというこのクレマンは、ギャレス家100年の歴史と伝統に忠実な、まさにエリタージュ(遺産)として造られたそうだ。

世界のどこでも上質なスパークリングワインとしてとおるであろう香りと味わいで、わずかに感じる香ばしさは樽香かとおもいきや、24カ月にわたる丁寧な熟成の賜物だそうだ。

これから、日本にも少量ながら輸入される予定があるので、その実力にたまげていただきたい。





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WINEWHAT
WINEWHAT
年末はこの1年の感謝を込めてシャンパーニュを開けまして。

キリスト教とは無関係でも開けまして。

正月は新しい1年の無病息災を祈って開けまして。

あけましたらおめでとうございます〜。