南アメリカ大陸最大の面積と経済を誇るブラジルは、赤道をまたいで広がる世界最大の熱帯雨林のアマゾンを抱える国でもある。そんな国でワインがつくられている! しかもクール・クライメット系の。未体験のひとには驚愕のブラジルワイン事情。

画像 : DRINK OF BRASIL

ブラジルの大手ワイナリー、サルトン社のブドウ畑

味わいはフレッシュで軽快

ブラジルといえば、赤道が国内を走る国。日本では、暑い国、というイメージがあるかもしれない。けれどもそれは、ブラジルの一側面に過ぎない。日本の22.5倍もの面積があり、人間の背景もさまざまなこの国は、環境的にも文化的にも多様性に富むのだ。

ワイン用ブドウの主な産地は、ウルグアイに近いリオグランデ・ド・スル州。とりわけ、セラ・ガウシャという山のなかの地域が、ワイン用ブドウの産地として名高い。

現在でこそ、バイーヤ州とペルナンブコ州という、赤道にほど近い平野部もブドウ生産地となり、シラーやマルベックといった品種を育てられるようになったものの、ブラジルワインの基本は、セラ・ガウシャ、カンパニア・ガウシャといった冷涼な産地を擁するリオグランデ・ド・スル州であり、品種はシャルドネ、リースリング、マルヴァジア、そして赤ワイン用品種であれば、ピノ・ノワールといった冷涼気候を好む品種だ。

ゆえに、その味わいもフレッシュで軽快。ウルグアイに近いこともあって、タナも育てられているけれど、タンニンの強い、重心の低いワインを想像するのであれば、それは、真逆だといえる。

ブラジルのワイン造りは、16世紀にポルトガルからもたらされたとされている。

とはいえ、その後すぐ、ポルトガル王室がブラジルでのワイン造りをやめる決断をしてしまったので、実質上のスタート地点は、19世紀に、イタリアの、特にヴェネト州からの移民が持ち込んだワイン文化。前述のセラ・ガウシャは、ドイツ、イタリアにルーツをもつ人々が多く暮らし、ワインのみならず、建築や食も両国の影響が強い。しかし、このころのワインは、まだアメリカ系品種から造られる、テーブルワインが主だった。

1878年、リオグランデ・ド・スル州のイタリア人の植民村でアントニオ・ドメニコ・サルトンがワイン造りを始めたことがサルトン社の始まり。

評価の高いスパークリングと白

ファインワイン造りがはじまったのは、1970年代。国外の大手ワイン生産・販売企業がブラジルに進出して、ヨーロッパのブドウ品種を育てるようになったのがきっかけだ。とりわけ、白ブドウを中核に、スパークリングワイン、白ワインの産地としてスタートして現在に至っているので、今も、スパークリングと白の評価が高い。そして、ワイン文化が花開くと、文化的にイタリアやドイツにルーツをもつ人々が営む、地元のワイナリーも成長していった。その成長はいまも続いていて、前述のカンパニア・ガウシャもまだ若い産地。

さらに北のサンタ・カタリーナ州も、新たな産地として、ブドウが栽培されはじめている。生産量は世界第14位。南半球では5番目。2016年に雹の影響で生産量が下がった以外は成長している。このあたりの細かな事情については、別立てのフェルナンド・ペルジガォン駐日ブラジル大使館 通商・投資部部長に譲ることにして、ここでは、ヴィンテージごとの差が少ないのも強みだと言い添えるにとどめたい。

では、なんで日本ではまだ、あまりブラジルワインを見かけないのか。それは、いくら生産量が伸びているといっても、南半球の生産量上位4カ国は、アルゼンチン、オーストラリア、チリ、南アフリカと、100万トンを上回る量のワインを造る国々で、かたやブラジルは30万トン弱にとどまるから。そして、消費量の90%以上が国内消費だからだ。500ヘクタールあまりの自社ブドウ畑を持ち、国外の仕向先は24カ国に及ぶ大手のサルトン社ですら、輸出用は全生産量の10%未満にすぎない。

とはいえそれは、ブラジルにはワインの文化があることの証左でもある。飲んでみれば、あなたもきっと「え? ブラジルってこんなワインを造ってるの」と、驚くはずだ。もちろん、いい意味で。

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WINE-WHAT!? 編集部
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