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コート・ド・セザンヌのブラン・ド・ブラン シャンパーニュ L.B.N.が登場

シャブリか? ブラン・ド・ブランか? それは問題か?

株式会社カクヤスが運営する、ワインと花を組み合わせたギフトを提案するセレクトショップ「CORK-WINE&FLOWER-」に、「ベージュ・アラン・デュカス東京」の初代総支配人も務めたソムリエ 渋谷康弘氏がセレクトしたシャンパーニュ、「L.B.N.」が登場した。2種のブラン・ド・ブランを中核に、和食とのペアリングを狙う。5月末、来日した、L.B.N.のコマーシャルディレクター アントワーヌ・カパロス氏を交えての、東京は芝のザ・プリンス パークタワー東京内の日本料理店「芝桜」でのランチにて、WINE WHATはL.B.N.のシャンパーニュを体験してきた。

日本に来たのはこのときが初めて、という、L.B.N.のコマーシャルディレクター アントワーヌ・パカロス氏

和食にシャブリもいいけれど……

寿司、刺し身に限らず、和食にシャブリ、というのは鉄板の組み合わせである。キレのよい酸味に加え、上質なシャブリともなると、旨味や苦味といった要素も加わり、そのうえ、和食に使われる食材とのNGな組み合わせ、というのもほぼない。

さらに、ワインを合わせるとなると、それなりに高級な和食であることも多く、そういうときに「格」という点でも、シャブリ、特にプルミエ・クリュなどといった“役”までついてくれれば、まったく申し分ない。

そんな話はWINE WHAT onlineでも、寿司とワインのマリアージュ徹底検証ー冬の陣ーなどでやっているけれど、このほど、CORKと組んで日本にシャンパーニュ L.B.N.を持ち込んだ渋谷康弘氏には、そこはシャブリもいいけれど、ブラン・ド・ブランでもいいではないか、あるいは、ブラン・ド・ブランのほうがいいのではないか、という提案がある。

言われてみれば、そうだ。シャンパーニュ、といえば、それはもうワイン業界でもトップのブランド。そのなかでも、ブラン・ド・ブランとくれば、それは“役つき”であって、シャンパーニュにおいては貴重なシャルドネ、その上質なものを適切に醸造し、十分な熟成を経たもの、であるはずだ。シャブリが良くてシャンパーニュのブラン・ド・ブランがダメ、という理由はあるまい。

協同組合の高品質シャンパーニュ

かくして、白羽の矢がたった、L.B.N.(LE BRUN DE NEUVILLE ル・ブルン・ド・ヌヴィルの頭文字をとってエル・ビー・エヌと読む)とはいかなるシャンパーニュか。

創業は1963年と、シャンパーニュとしては最近。マルヌ県はセザンヌのそば、ベトン村が本拠だ。エペルネからだと南に約40km。シャンパーニュのなかでは、南にある。畑はそのベトン村の周囲、コート・ド・セザンヌに約150ヘクタール。土壌はシャンパーニュならではのチョークで、コート・ド・セザンヌらしく主にシャルドネを栽培する。88%がシャルドネで11%がピノ・ノワールだという。なぜ、畑の面積がこれほど広いのかというと、L.B.N.は創業者のほかは、26人のブドウ栽培者が共同で立ち上げた組織だから。いわゆる、協同組合なのだ。現在は170ものブドウ栽培者が、L.B.N.に加わっている。このブドウの造り手たちが、L.B.N.のオーナーなのだ。

シャンパーニュ地方は、その畑のおよそ7割を小規模なブドウ栽培農家がもっているにもかかわらず、シャンパーニュの生産と販売の約8割は大手メゾンによる、という特徴をもつ。

L.B.N.に参加する造り手たちもまた、大手のシャンパーニュメゾンにブドウを納める、あるいはブランドのプライベートレーベルを手がける、など、といった影の存在でもある。

そんな彼らが、自分たちのブドウの実力を知らしめようと造り上げるのがL.B.N.のシャンパーニュなのだ。

長い熟成期間

このほど日本に登場したのは、「L.B.N. ブラン・ド・ブラン ブリュット」、「L.B.N. ブラン・ド・ブラン エクストラ・ブリュット」、「L.B.N. テンダーロゼ」の3種類。

いずれもノンヴィンテージで、最初のブリュットがスタンダードな商品となる。興味深いのは、熟成期間が6年と長く、主調を成すのは2013年のブドウだ、ということ。ソレラ方式のリザーブワインが20%。ドザージュは8g/リットル。ステンレスタンク発酵100%で、マロラクティック発酵はしているものとしていないものとがあるという。

いっぽうのエクストラ・ブリュットのほうは、総生産量35万本程度というL.B.N.において、2万本程度しか造られていない特別なワインだけれど、リザーブワインの比率、ステンレスタンクの使用、マロラクティック発酵をしているものとしていないものがある、というあたりはブリュットと共通。ドザージュは4g/リットルになり、主たるブドウの収穫年は、2014年。よりフレッシュに仕上げるため、ブリュットよりエクストラ・ブリュットのほうが、新しいブドウなのだ。

ちなみに、主調を成すワインのヴィンテージ、リザーブワインの比率は、そのときどきでかわるので、最新情報はホームページを参照してほしい、とのこと。このデータはあくまで筆者が体験した、5月末時点でのものだ、というのをご了承いただき、参考程度にしておいていただきたい。

いずれにしても、瓶内熟成期間が長い。

そこからくると思われる熟成感がより感じられるのは、ブリュットのほう。にがみや泡立ちなど、食にひっかかりそうな要素が、和食と合いそうで、和食を狙う、という打ち出し方は頷ける。いっぽうの、エクストラ・ブリュットはよりキリッと爽やか。低い温度で楽しむのが、高級感があってよいように感じられたので、サービススタッフがきちんとワインの面倒を見てくれるお店向けか。

ロゼは、2015年のブドウを主体として、シャルドネとピノ・ノワールがおよそ半々のアッサンブラージュ。とはいえ、50%程度のピノ・ノワールを3:2にわけると2はスティルワインだ。スティルワインは、除梗したピノ・ノワールをタンクにいれて、自重で潰して発酵をはじめさせる、カーボニック・マセレーションで造っているそう。タンニンが少なく、色はしっかりとついているのは、そのせいだ、ということで、さわやかな味わいながら、香りにはちょっとイチゴのような甘い感じがある。これもまた、和食には色々と合わせられそうだ。

左から「L.B.N. ブラン・ド・ブラン エクストラ・ブリュット」、「L.B.N. ブラン・ド・ブラン ブリュット」、「L.B.N. テンダーロゼ」。ブリュットとロゼには、ハーフボトルもある、というもの独特

大手メゾンではなく、協同組合でも低価格ではなく、ノンヴィンテージで、ブラン・ド・ブランで、熟成期間が長い。なるほどユニークであり、そして、高級な和食と、という作戦も理にかなっているようにおもわれる。

シャブリか、ブラン・ド・ブランか。うーん。どうしよう? お金持ちの悩みだ!

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