標高3000mで満天の星空観賞

山の朝は早い。早朝に自宅を出発し麓の駐車場で路線バスに乗り換え、登山の起点となる広河原を目指す。バスに揺られること約1時間、おそらく自らハンドルを握れば楽しいであろう山道も、乗客の立場では堪える。この道はマイカー規制が敷かれており、走ることは叶わないのだが。

午前9時に広河原に到着し身支度を整えたら早速登山開始。標高3000mの山小屋を目指し、総計16㎏のザックとともに標高差1500mを登る。久々の登山であったこともあり一抹の不安を覚えながら、また翌日無事に降りて来られることを祈りつつ登山道入り口の吊り橋を渡った。

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しばらくは川沿いに樹林帯の中を歩く。鳥のさえずりや虫の鳴き声が気持ち良く、はるか遠くに見える山頂へ足を進める原動力となってくれる。2時間ほどで雪渓が現れる。はずが今年は雪が少なかったせいか上部に一部雪が残る程度であった。この日は快晴で、炎天下の登山となったが時折吹く風が冷たく心地いい。東京では考えられないことである。休憩を何度か挟みつつ更に3時間以上歩き、登山道の脇に高山植物が姿を見せ始めるとまもなく本日のゴール、北岳肩の小屋に到着だ。

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夕方になるにつれ天候が悪化し一時は雨にも降られたが、日が沈みあたりが暗闇に包まれると霧の合間から満天の星空を見ることができた。夜空に広がる吸い込まれそうな星空にぼんやり浮かぶ天の川、ほんの一瞬煌く流れ星。日頃の煩悩など全て忘れさせてくれる。荷物の関係で一眼レフカメラを持ってこられなかった事を少し後悔しつつテントに戻り、眠りについた。

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翌朝起きてみると霧はすっかり晴れ、南アルプスの山々がきれいに見えた。空気が澄んでいるためか遠くに見える稜線の木や山肌の色が鮮やかだ。この日は山小屋にヘリで荷揚げが来るため早めのテント撤収が求められており、そそくさと山頂へ往復したのち前日登ってきたルートをたどり下山の途につく。登りに比べて心拍数こそ上がらないもののあまりの傾斜に膝が笑う。お昼過ぎ、無事下山し麓の吊り橋を渡ると前日に渡ったばかりのはずであるのに降りてこられた安心感からか懐かしい気持ちになった。バスが来る時間までしばらくあったので、川へ降りて疲労のたまった足をアイシングすることに。真夏の太陽の下、雪解け水をたっぷり含んだ冷たい水を浴びるのは今回の登山の最高のご褒美であった。

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冨田成俊
クルマと共に過ごす豊かなライフスタイルを提案。スポーツカー、ドイツ車を中心に試乗レポートを執筆する一方で運転技術への関心も高く、各メーカーのドライビングイベントへ参加する傍らレーシングカートも嗜む。

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