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ワインで遊べる、ワインが学べる!

目、耳、鼻をフル稼働して楽しむワインのテーマパーク

ワイン文化の要を担ってきたフランスのボルドーに、新たな名所が加わった。ユネスコ世界文化遺産に登録されたボルドーの歴史的建造物とは打って変わった、メタリックな外観。そこは、ボルドーだけでなく世界中のワイン情報が集結するワイン総合文化施設「ラ・ シテ・デュ・ヴァン」だ。流れるような形状は、グラスのなかで揺れるワインや、施設のすぐ脇を悠々と流れゆくガロンヌ河の渦をモチーフとしている。施設の中身は、常設展示スペース、ワインショップ、レストランなどなど。年間来場者数 万人以上を見込んでいるが、まずは建設工事を長年見守ってきたボルドーっ子たちが真っ先に足を運び、スタートは上々とか。

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細かい区画ごとに分かれる畑「クリマ」を表現したという、常設展示の入口。え、蜘蛛の巣にしか見えな……いや、クリマ、クリマです、はい。ここで渡されるのが、イヤホン付きのハンディ・ツール「トラベル・コ ンパニオン」。日本語に設定してもらい、いざ出陣!

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ワインにまつわる神話や歴史を解説するルート上には、古代のワイン容器のレプリカ展示や、紙芝居風のスタ イルでコミカルに展開するコーナーあり。19世紀に建てられたシャトーを木材でミニチュア再現し様式別に紹介するスペースは、プラモデル好き必見 ?!

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年に3回ほどコンテンツが変わる、企画展示スペース。記念すべき初の展示は、「ラ・シテ・デュ・ヴァン」 公式フォトグラファー、イザベル・ローゼンバウム氏の作品展。着々と進んでいく、「ラ・シテ・デュ・ヴァン」 建設工事の全貌が捉えられていた。

常設展示のテーマは〝ワインの多様性〟。とはいえ、小難しい顔をしたワイン愛好家ばかりが集まるわけではない。インタラクティブな仕掛けが盛りだくさんの展示は、ワインの知識ゼロでもすんなり楽しめてしまう。さらには子供向けにラベル画やコルクをテーマとしたワークショップなども開催され、家族揃っての訪問も大歓迎なのだ。

次のバカンス旅行先はぜひ、ボルドーも候補に。「朝は世界遺産の旧市街を散歩し、昼前にはラ・シテ・デュ・ヴァンへ入館、展示を見てお土産も買って、夜は街のワインバーへ」。ワイン三昧の1日って最高!

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「トラベル・コンパニオン」を展示物の脇にマークされている丸いシンボルへかざすと、シャトーのオーナー、醸造家、栽培家、ワイン評論家、ソムリエ、シェフなどが登場し、ワインについてトークを開始。 立て続けにアレコレ聴くと、視点の違いが際立ってくる。

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フルーツ、スパイスなどワインの香り表現に使われるものを、自分の鼻で実体験。エアポンプを握ってガラスのドームに空気を送り込むと、ホルン状の鉄管口から香りがフンワリ。パイナップルの缶詰、クッキーのほか、古本や皮手袋といった変わり種も用意されている。

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最後は8Fの展望スペース「ザ・ベルヴェデール」へ。グラス1杯分の試飲が常設展示入場料に含まれている。35メートルの高さからは、ガロンヌ河とボルドーの街並みを一望。頭上には数千のボ トルがひしめき、10メートルのオーク・カウンター上には世界のワインがズラリ。

展示コーナー以外もワイン尽くし

「ワインとは何か?」との疑問に真っ向から取り組んだのが、「ラ・シテ・デュ・ヴァン」の正体だ。3000m²の展示空間では、様々な視点や分野からワインを満遍なく掘り下げている。イギリスのバーチャル・デザイン集団「キャッソン・マン」によるビジュアルの巧みさで、世界中のワイン産地を旅したような気分にさせてくれるし、ひと通り観て周った後には、ワインの文化的価値、物質としてのワインをすんなり理解させてもくれる。なにしろ、全てのブースで聴けるオーディオを繋ぎ合わせると 10時間に及ぶとか。情報量がハンパ無い。

一時はイギリス領であったことから、対外へのワイン貿易を強く意識し、同時に諸外国の文化や人を受け入れる土壌が培われてきた、港町のボルドー。「ラ・シテ・デュ・ヴァン」は、ボルドーに生まれるべくして生まれた象徴的な総合施設なのである。

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「ラ・ブティック」はワイン関連グッズ店。本、オープナー、ワイン用バッグ、ワイン柄のエプロン、ブドウのエッセンスを用いた化粧品など、どれもお土産向け。入場料ナシで出入りできる1F入口近くなので、展示鑑賞の時間がない人もココだけ覗いてみては。

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ワインショップ「ラティチュード20」では、約90カ国から集められた800種ものワインがぐるりと店内を取り囲む。ところどころにノートパッドが設置され、ニーズに沿ったワインを簡単に検索できる。日本ワインは当然として、スウェーデン産なんて珍品まで揃う。

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ワイン初心者向け、子供向けなど数々の有料ワークショップを用意。事前にネットで申し込むか、当日に空席があれば飛び込み参加も可能。250席の多目的ホールもある。サッカーのユーロカップ2016開催時には、試合生中継を観ながら対戦国のワインを飲む会場に。

イベントも続々、ボルドーは世界最大のワイン観光都市に

ボルドーのワインイベントといえば、2年に一度開催されるワインと美食の祭典「Bordeaux Fête le vin ボルドーワイン祭り」が有名だ。ちょうど第10回目の節目を迎えた2016年の開催日は、6月23~26日の4日間。ガロンヌ河沿いの会場内には産地やメーカーごとのワイン・ パヴィリオンが立ち並び、試飲パスと専用グラスを手に立ち寄っては様々なワインを注いでもらう観客で賑わった。試飲以外にも、ワイン講座、樽製造の実演、ライブ演奏、ワイン騎士団の行進、と内容は盛りだくさん。また、毎晩11時からはボルドー商工会議所の壁を使ったプロジェクションマッピング、11時半からはフランスのトリコロールをあしらった花火が打ち上げられ、世界各国から集まったワインファンを喜ばせていた。

このほかのイベントとしては、「メドックマラソン」も見逃せない。毎年9月に行われ、日本人も多数参加。給水ポイントならぬ給〝ワイン〟ポイントが人気で、選手は思い思いの仮装姿でワインを身体に補給しつつ、ブドウ畑の脇を走り抜ける。

逆に、あえてイベント時の混雑を避けるのも悪くない。ボルドーには前述の「ラ・シテ・デュ・ヴァン」のほか、旧ワインセラーを改造した「ワインとネゴシアン博物館」があり、街中には「ワインバー・ストリート」と呼ばれるほど店が集結しているエリアも。いつ訪れたとしても、ボルドーではワイン旅行を十二分に満喫できるのだ。

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