現当主、ドミニク・ル・グエンさんの次男にあたるタンギーさんだ。タンギーさんはボーヌの醸造学校を卒業。ドメーヌ・パンシオでの修行を終え、半年前に帰ってきた。
新世代といわれたドミニクさんもすでに歳。そろそろ次の世代にドメーヌを渡す準備に入らねばならない年齢だ。ドミニクさんがワイン造りを始めたのは歳の時と遅い。以前の職業はフランス空軍のメカニックで、ラグビーの試合で知り合ったユドロ家のひとり娘、ヴァレリーさんと結婚。年に軍を退役し、ドメーヌを継ぐ決心をしたという。
就いだ当時はわずか5000本しか元詰めしておらず、ドメーヌではほとんどのブドウをネゴシアンに売却していたが、今は引く手数多で足りないほど。それもドミニクさんがめきめきと腕を上げ、素晴らしいワインを造るからにほかならない。
「自分の醸造スタイルが固まったのは2007年あたりでしょうか。初めの数年は手探りでした。色を出そうと盛んにピジャージュしたら、タンニンの渋さまで出ちゃって。これはまずいと、こまめに試飲しながらピジャージュするようにしました」。
手狭になったセラーを近年拡張。ますます勢いにのるドメーヌへの新世代ご帰還だ。かつてドミニクさんがそうであったように、息子のタンギーさんも悩みもがきながら成長していくに違いない。