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あの有名ワイナリーはどうサステイナブルか?

コノスル(CONO SUR)編

ワインを選ぶ際のキーワードとして、「オーガニック」「サスティナブル」などの考え方が、急速に存在感を高めている。その背景には、美味しさやラベルのカッコよさ、コストパフォーマンスの高さなど、今までよしとされてきたワインに関する直接的な要素に加えて、地球環境の保全や人びとの間の不均衡の是正など、世界規模での広い視座がある。そうした消費者の姿勢をあらわす言葉が「エシカル」。
美味しいことは大前提。ワインを飲みながら世界を思う。生産者の取り組みやこだわりを知り、また自らも社会的責任の一環として、ワインをチョイスするのがこれからのカッコいい大人のスタンダードなのである。
というわけで、WINE WHATは、有名ワイナリーの取り組みをご紹介します。このページでお話するのは、「自転車ラベル」に秘められた壮大な志、コノスル(CONO SUR)です。
コノスル葡萄畑 

コストパフォーマンスが高くしかもオーガニック―― はほんの入り口

コストパフォーマンスワインというジャンルが認知されるまでは、安いワインはイコール、不味いワインだと思 われていた。その偏見を打ち破ったひとつの突破口が「安くて、美味しいチリワイン」。コノスルは、その代表格である。

コノスルといえば、オーガニックで有名だ。

畑には一畝ごとに下草が残されている。害虫は、ナチュラルなその下草を好んでぶどう樹を離れるのだが、そこが放し飼いにされている1500羽の鵞鳥の餌場となる。ぶどう樹にたかる虫除けには、幹にニンニクと油を染ませたバンドを巻く。

畑の周囲に植えられたピーターという植物の葉が、巻きつけに必要な紐や枝の剪定時に使うワイヤー代わり。大きく長い葉を縦に裂くと、頑丈な繊維が取れるのである。肥料にはブドウの絞り粕を発酵させたコンポストを使用する。これをティーパック式の袋に積めて貯水槽に沈め、栄養分を抽出した水をドリップ方式で畑へ。絞り粕はまた、土へと還る。自然が大きな円環を描くように、ワイナリーにも自然な循環ができあがっている。

ラベルに描かれた自転車は、その志向の象徴である。

このワイナリーでは、農場内の移動は基本的に、環境に優しい自転車が用いられる。作業員はもとより、醸造家や農場責任者に至るまで例外なく、自転車で移動するのだ。

排気ガスを放出する自動車は極力使わない。そうした環境への配慮が滲み出たラベルは世界に広く普及し、その意味も人びとに膾炙されている。

「コストパフォーマンスが高いうえ、オーガニックでもある」と。

コノスル葡萄畑に放飼の鵞鳥 

オーガニックの根幹にあるもの

しかし、オーガニックであることは、コノスルにとってはひとつの手段でしかない。1993年、チリのラペル・コンチャグアヴァレーのチンバロンゴに設立されたコノスルは、スタッフもまた若く、時代感覚に鋭敏だった。若者たちは早くから持続可能の危機意識を持ち、早々にワイナリーの進むべき方向性をサスティナブルに定めていった。さまざまな取り組みは、いずれも、持続可能な営みを続けていくための手段なのだ。

そもそもコノスルとは、「南の円錐」という意味で、「南向きの円錐の形をした南米大陸から、世界に向けてニューワールドワインの魅力を発信していこう」という志をあらわしたもの。

インテグレーテッド・ヴィンヤード・マネージメント(自然なサイクルに従った有機農法の一種)がはじめられ たのは1998年のこと。2007年には、カーボン・ニュートラル・デリバリー・ステータスを獲得。これは、製品輸送時に排出する二酸化炭素を、毎年更新されるカーボン・ニュートラル・デリバリー・ステータスによって相殺する仕組みだ。

また2012年からは、葡萄畑の侵食、土壌の管理、栄養、農業用化学物質、エネルギーなど、ワイナリーとボトリングプラントに関わるエネルギーの節約、水の管理、汚染予防、廃棄物管理など、社会に関わる、倫理、環境、労働環境の質、共同体、マーケティング、消費者への歩み寄りなど、の3区分からなる、ワインズ・オブ・チリが提供するサステナビリティー・コードを取得。2013年後半には全ての区分において認証を得ている。高品質なチリワインを世界に認知させ、経済的持続を促進し、地域に秘められたポテンシャルを発掘し、かつそれを生みだす環境の保全を図る。私たちの身近にある自転車ラベルのワインが果たしている社会的責任は、雄渾にして壮大だ。

コノスル

コノスル オーガニック カベルネ・ソーヴィニヨン/カルメネール/シラー


 

サスティナブルについてもっと知りたいという人はこちらをお読みください。
「サスティナブルワインのある生活」

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