あのロマネ・コンティを生み出す、フランス・ブルゴーニュ地方の、ボルドーのカベルネ・ソーヴィニヨンと双璧をなす、なのに、栽培家泣かせの気難しいブドウ品種について、ワイン・ジャーナリストの柳 忠之がやさしく解説します。

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ルビー色のきまぐれB型ブドウ

ピノ・ノワールは世界でも最も有名にして高価なワイン、ロマネ・コンティを生み出すブドウ品種。そしてそのロマネ・コンティの畑があるワイン産地こそ、神に祝福された土地、フランス・ブルゴーニュ地方のコート・ドールだ。

ブルゴーニュ地方の銘醸赤ワインはほぼ例外なくピノ・ノワールからつくられ、ラフィットやマルゴーなど、ボルドー・ワインの骨格を形成するブドウ品種であるカベルネ・ソーヴィニヨンと双璧をなす。

ところがこのピノ・ノワール、カベルネ・ソーヴィニヨンとはかなり性格が異なる。まず栽培面では、こんなに気難しいブドウ品種はないといわれるくらいの栽培家泣かせ。29万ヘクタールで世界一の栽培面積を誇るカベルネ・ソーヴィニヨンに対し、ピノ・ノワールはその3分の1にも満たない8万6000ヘクタールにとどまるのがその証拠である。

世界を俯瞰すると、ワイン産地は概ね温暖な地域に集中している。これは晩熟なカベルネ・ソーヴィニヨンに好都合な反面、熟期の早いピノ・ノワールは加熱しやすく好ましくない。それに加えてピノ・ノワールは果皮が薄く、密着型の果房だから、病気にかかるリスクも高い。ゆえに栽培には特別に気をつかう。

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ワインづくりも同様。カベルネ・ソーヴィニヨンなら、ある程度適当につくってもそこそこのワインが出来上がるが、ピノ・ノワールだとそうはいかない。つねに細心の注意が要求され、大量生産には向かない品種。だから、まともなピノ・ノワールのワインを探し求めれば、どうしても値が張ることになる。

仕上がったワインのスタイルも、カベルネ・ソーヴィニヨンとは別物といってよい。ものによっては黒じゃないかと思えるくらい濃厚な色調のカベルネ・ソーヴィニヨンに対して、ピノ・ノワールはきれいなルビー色をしている。ピノ・ノワールの入ったグラスをすかして、向こうが見えないことはまずあり得ない。

若い時に感じられる香りを果実に限定すれば、カベルネ・ソーヴィニヨンはブラックベリーやブラックチェリーといった黒系の果実だが、ピノ・ノワールはラズベリーや赤スグリなど、赤系の小さな実を持つ果実を感じることが多い。

味わいの違いはとりわけ顕著で、ピノ・ノワールは酸味が強く、タンニンの渋みは柔らか。酸味が果実味の影に隠れがちで、渋みの強いカベルネ・ソーヴィニヨンとは正反対である。力強さよりもむしろフィネスやエレガンスが、ピノ・ノワールの真骨頂だ。

それからもうひとつ言っておかなければならない大事なことは、比較的に質の安定したカベルネ・ソーヴィニヨンに対して、ピノ・ノワールは当たり外れが大きいという事実。カベルネ・ソーヴィニヨンが堅実なA型とすれば、ピノ・ノワールは気まぐれなB型といえるだろう。

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WINE-WHAT!? 編集部
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