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ロース、カルビ、ハラミなど和牛焼肉9つの部位とワインの探求(前編)

永久保存版:ワイン・インポーターの専門家が難問に挑む徹底検証座談会

前段階の予想 赤の巻

波田 はい、まずは「ケン・ライト・セラーズ」のカーター・ヴィンヤードという、単一畑のピノ・ノワールです。オレゴンではトップの造り手ですね。造りよりもまずは土という人物。畑の場所はエオラ・アミティ・ヒルズにある西向き斜面で、午後の陽が当たり、果皮が硬く厚くなります。ケン・ライト自身、日本食が大好きで、自分のワインは和牛に合うと言い切ってるんです。ピノの旨味や酸が和牛の繊細な身質に合うと思って、選んでみました。

ーーピノの次にガメイですね。なにしろティボー・リジェ・ベレールですからね。

山下 はい、ニュイ・サン・ジョルジュを拠点に活躍するブルゴーニュのライジングスターですが、もともとボジョレーの学校で勉強してたので、ボジョレーのポテンシャルには昔から着目していたんです。これは樹齢60年から80年の古木を用いた「ムーラン・ア・ヴァン・ヴィエイユ・ヴィーニュ」で、ボジョレーで一般的なマセラシオン・カルボニックではなく、ブルゴーニュ流の造りをしています。

波田 ボジョレーとは思えないね。

山下 社内でブラインドテイスティングすると、ピノと言ったり、あるいはシラーと答える人が多いですね。ピンク色の花崗岩土壌なので、ミネラルやストラクチャーが強く出ます。これなら赤身系の肉にも、霜降りでもばっちりいけるんじゃないかと思って。

永松 僕が持ってきた赤はサンジョヴェーゼで、カベルネ・ソーヴィニヨンが20パーセント入ってます。産地呼称は「カルミニャーノ」ですけど、この「テヌータ・ディ・カペッツァーナ」では16世紀からカベルネ・ソーヴィニヨンを使っていたという、いわば、最初のスーパータスカンですな。

ーーそんな時代にカベルネが植わってたんですか?

永松 造り手本人はラフィットから苗木を持ってきたと言ってます。このワインをイタリアンだけに留めておくのはもったいなくて、フレンチにも食い込めると思うし、焼肉ならどんな部位とでも合うと思うんですね。

斎藤 酸がきれいだし、タンニンとのバランスがすごくいいですね。

ーー次はカベルネ・ソーヴィニヨンですね。

波田 はい、新入荷の「キャノンボール」です。ソノマ・カウンティ、メンドシーノ、ローダイからのブレンドですね。カジュアルなワインでナンバーワンになりたいと、2006年に設立されました。サンジョヴェーゼの次なのであまり感じないかもしれませんが、カリフォルニアにしてはけっこう酸があるんですよ。

一同 あるある。

波田 だから飲み飽きせず、一本きっちり飲めるし、スパイシーな香りも強いので、スパイスを使ったお肉とかホルモン系にももしかしたら合うんじゃないかと思いまして。

ーーここからガッツリ系が続きます。

斎藤 フランシス・フォード・コッポラですね。ソノマのブドウだけから造られる「ディレクターズ・カット・ジンファンデル」で、ジンファンデルの銘醸地、ドライ・クリーク・ヴァレーのブドウが使われています。ジンファンデルというとアルコール度数が16度もあって、ジャミーなワインが多いと思われがちですが、最近は食事に合うエレガントなスタイルが求められています。このワインもエレガント系の代表で、フレンチのソムリエさんからも高い評価を得ているんですよ。タンニンが柔らかいので、コンロの近くで熱気漂う環境でも、少し冷やし気味にしてあげると飲みやすく、もちろんつけダレの焼肉にも合うと思います。

波田 私が持参した3本目は、ワシントンの「ウッドワード・キャニオン・カベルネ・ソーヴィニヨン」です。ブレンドはカベルネ・ソーヴィニヨン87パーセント、プティ・ヴェルド11パーセント、カベルネ・フラン2パーセント。単一畑ではなく、ワシントンの銘醸畑ばっかりから集めたブドウで造られています。ワシントンのカベルネって強いイメージがあると思うんですが、このワインはグラスの中でどんどんまろやかになっていくので、食事を楽しみながら飲んでもらいたいと思います。13年ってワシントンはものすごく暑くて、ものによっては濃すぎて飲みづらいワインもある中、これは収穫を早めにしてブドウを完熟させつつ、糖度が上がりすぎないように気を使いました。だから上手にまとまっているし、ロースにはずばりこれでしょう(笑)。

ーー最後の1本はアルゼンチンのマルベックですね。

斎藤 初期のオーパス・ワンを醸造していたポール・ホッブスが、マルキオリ・ファミリーとジョイントベンチャーして興したヴィーニャ・コボスの「ブラマーレ」というシリーズです。ブドウは標高1000メートルを超えるウコ・ヴァレーで収穫され、他の産地にはない異次元の凝縮感があり、強い日差しのおかげでタンニンはこなれています。ガツンと来るけど緻密な感じ。もしかしたら、緻密な身質の和牛に合うんじゃないかなと思ってます。

ーーさて、それでは焼肉をつつきながら、ワインを合わせていきましょうか。(中編につづく

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