未知なる羊との出会いを、アイスランドで

アイスランドラム✕ワイン+シングルモルトウイスキー

バーチのチップでスモークしたモモ肉のハム。アードベッグ アン・オーとともに。アードベッグが蒸留所を構えるアイラ島のオーの岬にちなんで名付けられた、アン・オーは、10年ぶりのアードベッグの新定番商品。アードベッグ特有のスモーキーな香りと繊細な甘さが、なめらかでクリーミーな質感のテクスチャーの中に溶け込んでいる

TE WAHI in ICELAND

そういうわけで、今回、WINE-WHAT!?がアイスランドに持ち込んだのは、羊肉といえば、のニュージーランドから、クラウディー ベイのピノ ノワール。しかも、深みがあり、骨格、タンニンともにしっかりした、果物で例えればダークフルーツのような、リッチなピノ ノワール、「テ ワヒ」。そして、スコットランドのウイスキー、アードベッグの10年ぶりの新商品「アン・オー」、チョコレートモルトとよばれる、焙煎したモルトをつかう、グレンモーレンジィの「シグネット」の3本。ワイン1、ウイスキー2だ。

まず、先述のハムを筆頭に、あらゆるアイスランドラムと相性抜群だったのが、「アン・オー」。アードベッグのウイスキーのなかでも、3種の樽の原酒を、ゆっくりとなじませて生み出す「アン・オー」は、アードベッグらしい力強さがやや影をひそめ、スムーズな舌触りと味わいが特徴。スモーキーさ、甘さも感じられ、アイスランドラムの特徴とぴったりとあう。アイスランドの人々も、もうこのまま、仕事をやめて、ラムとアン・オーを楽しんで1日を終わりたい、と漏らすほど、いつであろうとアイスランドラムとアン・オーがあわされば、ゆったりと上質な時間が流れはじめる。

一方で、「シグネット」は、より複雑で、繊細な味の、生に近い調理のラム肉料理にあう。なめらかな舌触りとともに、口にふくんだ時にやさしくひろがるラム肉の味を、チョコレートモルトの深みが助長する。つけあわされる野菜にもあうので、ウイスキーでありながら、積極的にメインディッシュにあわせてゆきたくなるほどだった。

クラウディー ベイ「テ ワヒ」。セントラル オタゴの「その場所」の風土を表現するワイン。ブドウはピノ ノワール。官能的で甘くリッチな果実の香り、濃縮されたふくよかな味わい、鮮明な酸味としなやかなタンニンが調和し、複雑な余韻が長くつづく。写真のテ ワヒのすぐ後ろには、大地の切れ目があり、この場所から、アイスランドは年に数cmずつ、広くなっている

ワイン代表の「テ ワヒ」は、というと、アイスランド人に絶賛された。どうやら、クラウディー ベイはアイスランドのワインのプロには知られていない存在のようで、アイスランドの名門ホテル「ホルト」併設のレストラン「ギャラリー」は、レイキャヴィークでも最高のフランス料理店で、ワインリストも膨大だけれど、知る人ぞ知る存在だった。また、ホテル ヒルトンのレストランで、世界の名ヴィンテージワインも揃え、最高のアイスランド料理のレストランなどとも称される「VOX」では、賛辞が絶えなかった。

ただ、個人的には、アイスランドラムとの相性だけでいうのならば、いささか「テ ワヒ」はパワーがありすぎる。「テ ワヒ」にあわせるのならば、もう少し、火を強めに入れて、アイスランドラムがもつ力強い味わいを引き出してもいいだろう。

ニュージーランドの先住民族、マオリ族の言葉で「その場所」という意味の「テ ワヒ」は、マールボロから南に600kmほど、ニュージーランドの南島の一番南にあるセントラル オタゴ地域のピノ ノワールから造られる。そこは、温暖なニュージーランドにあって、標高が高く、つまり寒く厳しい土地で、ブドウは果実のうちに、エネルギーを凝縮させる。

アイスランドラムもまた、エレガントな肉に、つよい大地のエネルギーを凝縮させているように感じる。幸いにも、株式会社OZが、飲食店向けにも一般向けにも、アイスランドラムを販売しているので、日本の家庭でもいま、アイスランドラムは食べることができる。家庭で楽しむ場合、あまり難しいことを考えず、塩コショウしてフライパンで火を入れるだけでも、その美質は充分に理解できる。まな板も包丁も部屋も、羊くさくはならないだろうけれど、食べると赤身の肉から豊潤な香りが解き放たれるはずだ。あたかも、エネルギーが口のなかで解かれ、花開くように。これは「テ ワヒ」に似ている。

そもそもアイスランド自体が、ユーラシアプレートと北アメリカプレートのつなぎ目にあり、両プレートは互いに引き合っているため、年に数cmずつ、国土は広くなっているという。寒冷な土地でありながら、大地の下には熱い地球がある。間欠泉を指す英語「Geyser」の語源もアイスランドのGeysirという場所に求めることができ、そこでは大地のエレメントを宿して青い色をした熱湯が数分おきに噴き上がるのだ。エネルギーの凝縮と開放のダイナミズム。それがアイスランドのテロワールだ。

上の「テ ワヒ」の背後にあるプレートとプレートが引き合う、大地の切れ目

観光地化されている、Geysir。水温は100℃ちかく、触ればやけどする


クラウディー ベイ、アードベッグ、グレンモーレンジィのお問い合わせ先

MHD モエ ヘネシー ディアジオ株式会社
電話|03-5217-9731

URL|http://www.mhdkk.com/

アイスランドラムのお問い合わせ先
株式会社OZ

電話|03-5876-4092

e-mail|ichimura@oz-corp.jp

URL|http://www.oz-corp.jp

Facebook|https://facebook.com/oz.island.lamb

この記事を書いた人

WINEWHAT
WINEWHAT
YouTubeInstagramでも、コンテンツ配信中!
フォローをお願いいたします。

Related Posts

PAGE TOP