ライブ感溢れる職人の握り技と多種多様な美味。日本が世界に誇るエンタメ美食カルチャー「寿司」。この領域を攻略せずに、ワインラヴァーを名乗れますか? 
WINE-WHAT!?が実施した徹底検証 ブの巻 のつづきの検証篇です!
全11種類の寿司ネタのうちの前半戦をまずは公開。ヒラメ昆布〆、スミイカ、車エビ、赤貝、かつお等に合うワインとは?

取材協力:「すしざんまい本陣」
東京都中央区築地4-4-3 tel.03-5565-3636
http://www.kiyomura.co.jp

検証1 ヒラメ昆布〆





ネタ解説
味わいが淡泊なだけに、寿司職人や店それぞれの仕事振りと個性が現れるネタ。「すしざんまい」では、一度塩で〆て昆布で挟み、じっくり旨みを添わせる手法を採用している。もっとも脂がのるのは冬季。ペアリングの際は、やはり白ワインをチョイスするのがオススメ。なかでも主張の強すぎない品種と好相性だ。



繊細さと造り手の技、

互いの重量感が相乗する

キスヴィンワイナリー

キスヴィンワイナリー
キスヴィン甲州 レゼルヴ2015

●生産国/地域:日本/山梨県
●品種:甲州
●価格:3,181円

【松木リエ 推薦コメント】 
「澱とともに熟成させたワインと合わせると、魚の臭みが出にくい」の法則から、シュールリーの甲州です。収穫を遅めにしているので、果実のボリュームと旨みがあるタイプ。マロラクティック発酵により乳酸のニュアンスが、シャリのニュアンスとも合いそう。
検証担当:柳 忠之



 まずは味覚がフレッシュなところで、淡泊かつ繊細な味わいの代表格、ヒラメの昆布〆から検証をスタートしたいと思います。僕は「キスヴィン甲州 レゼルヴ」との組み合わせを推します。さて、このワインは松木さんセレクトでしたよね?



松木 はい、旨みとコクの甲州です。実は、個人的に研修としてワイナリーを訪問したり、醸造にも携わっていまして何度もテイスティングをしている経験上、ちょっと自信があるセレクトなんです。ブドウを遅めに収穫し、樽を使ってシュールリー、少しマロラクティック発酵もしているワインです。魚介の臭みを強調しないために、シュールリーはカギとなるんじゃないかなって予測して選びました。



鈴木 なぜシュールリーが重要になるんでしょうか?



松木 一般的に、澱とともに寝かせたワインはシーフードと合わせたときに臭みが出にくいといわれています。甲州ワインはこの方法を採用しているものが多いですからね。



 その話、後半に登場する魚卵カテゴリーでより深く検証していきましょう。さて、ヒラメも甲州も、互いに淡泊。でも、それぞれに昆布で〆たりシュールリーだったりと、造り手から側からの繊細な主張とも言うべき、ひと手間のアプローチを施すことで深みと旨みを引き出していますよね。それが非常にいい感じに相乗したので、思わず本日一番の高評価を出してしまいました。皆さん試してみて、いかがでしょう?



鈴木 何とも旨いじゃないですか! 今回は、検証すべきネタが11種もあるのでテイスター各々が総当たりでは気力・胃袋容量的に持たないから採用した割当制のマリアージュ検証ですが、柳さん、こんなにイイ思いしてたんですね(笑)。


一同 うん、これは美味しい組み合わせ!



松木 ネタとワインの旨みの重量感がぴったり。互いに淡いけれど繊細な旨みが潜んでいて、双方のストラクチャーも合っていますよね。



富田 ストライクじゃー、って感じですね。



太田 うーむ。確かに、ピタピタッときます。重量感って結構大切なポイントじゃないでしょうか。あと、あまり意外性はないかもしれませんがロジャーグラート「カバ ブリュット・ナチュール レゼルバ」も合うと思いました。泡モノのさわやかさやキレで口中リセットするだけではつまらないけれど、熟成によるこなれた旨みがうまく作用しています。



富田 さようさよう。



三国ワイン

ロジャーグラート
カバ ブリュット・ナチュール レゼルバ2014

●生産国/地域:スペイン/ペネデス
●品種:チャレッロ40%、マカベオ30%、パレリャーダ25%、シャルドネ5%
●価格:2,500円

【柳 忠之 推薦コメント】 
まず、香りがニュートラルで邪魔をしないこと。そして瓶内二次発酵によるアミノ酸成分がネタの旨みを増幅させてくれることに期待。新鮮な生の魚介が対象なので、糖分を添加したタイプより、ブリュット・ナチュールの方が重量感のバランスが取れると思います。
検証担当:太田賢一



 カバってそもそもニュートラルで余計な爪痕を残さないから、淡泊なネタとのマッチング狙いで選びました。でも、熟成感と素材の旨みっていう効果も十分な効果を発揮していますね。



松木 そういった意味ではシャンパーニュもいいと思いますが、まずは手ごろな価格で試してみたいなら、カバからスタートするのがいい。





太田 無難な意味ではなく、やっぱりヒラメなら白ワインがアタリですね。赤ワインだとどうしてもタンニンの主張が際立ってしまう。



富田 もう、タンニンしてください。



 その通りだね。さらに単調に終わらせないためにヒラメを昆布で〆たり、甲州ならシュールリーなど、技によって旨みをプラスしているっていうことがポイントになります。



【注】シュールリー Sur Lie(仏)
発酵終了後、発生した澱を取り除かずにそのまま発酵容器底部に残し、ワインと一緒に数カ月保存する。これにより、複雑味、旨味を引き出す製法。ロワール地方、ペイ・ナンテ地区のミュスカデ種や、日本の甲州種でよく用いられる。





この記事を書いた人

WINE-WHAT!? 編集部
WINE-WHAT!? 編集部
「なんでこんなにうまいんだ!」


「フランスやイタリアの真似をして、たんにコピーをつくったところで尊敬は得られない。自然とどう関わるか」


「ワインも生きている。ブドウも土も、どれも」


「大事なのはひとの問題なんです」


「マニフィーク」



日本のワイン界のレジェンド、麻井宇介と彼の意志を継いだ若者たちの物語
10月20日公開 映画「ウスケボーイズ」より