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寿司 とワインのマリアージュ徹底検証ー冬の陣ー(ドの巻)

続・ニッポンのエンタメ伝統料理はキリストの血を受け入れられるか?

検証4 赤貝

ネタ解説
夏場は卵を持ち、殻も厚くなるためもっとも旨いのは、やはり冬。より肉厚になり、サクサクするような独特の歯触りがよりしっかり楽しめるうえ、いっそう甘味を増す。一見すると淡泊と思われがちだが、貝類特有のコハク酸の旨みに鉄分を思わせる味わいが、合わせるワインを決定する要因となる。

食感と鉄分がカギ!

意外に赤ワインがマッチ

 一見すると、さっぱりした味わいでストライクゾーンが広そうな赤貝だけれど、そんなに簡単に攻略できるか否か。我こそは! のマリアージュ発見をした方、挙手をお願いします。

松木 はい、私が先陣を斬ります! ワインは、「アルタ・モーラ・エトナ・ロッソ」。これは柳さんがセレクトしたアイテムですね。

 品種はネレッロ・マスカレーゼ。ピュアでしっかりしたミネラルがあり、濃すぎないところを重視しました。富田さんが2種シチリアを選んでいるのに産地を重複させてしまって申し訳ないが……。いや、ここはバランスよりマリアージュ優先でしょ。単にウッカリしただけですけれど(笑)。

フードライナー

クズマーノ
アルタ・モーラ・エトナ・ロッソ2015

●生産国/地域:イタリア/シチリア
●品種:ネレッロ・マスカレーゼ100%
●価格:2,800円

【柳 忠之 推薦コメント】 
濃厚な赤は難しいので、ピュアでミネラルがある品種、ネレッロ・マスカレーゼを選択。単純な発想ながら、魚介と合わせるにはワインに「ヨードと塩味」があることがカギになる。この「ワインと土地の密約」が寿司ネタにどこまで通用するかを検証したいです。
検証担当:松木リエ

松木 ちょっと一筋縄でいかない貝類ならではのコハク酸の旨みと、ワインの軽やかながらストレートに斬り込んでくる鮮度感のあるクリアなタンニン。互いの苦&渋い味わいがリンクしませんか?

 うんうん、赤貝がほのかに持つ鉄分のニュアンスが生きてくるね!

松木 ちょっと血みたいな感じがアフターに残りますよね。

太田 そう、サビみたいな。エトナワイン特有のフローラルで華やかなニュアンスが最後にふっと香る感じもとてもいいですね。

 あと、テクスチャーも関係しているんじゃないかな? 赤貝って肉厚だし、質感が緻密でサクサクするような心地よい歯ごたえがある。このワインも引き締まった構成を持っているから、咀嚼時のパワーバランスにおいて、安定した均衡が保たれる。味わいと質感双方からのアプローチ。

富田 スミマセン……これ、自薦アイテムなんですけど、「マンサニーリャ・パサダ [パストーラ] エンラマ」と合わせてご意見をうかがってもいいでしょうか?

千商

アントニオ・バルバディージョ
マンサニーリャ・パサダ [パストーラ] エンラマ

●生産国/地域:スペイン
●品種:パロミノ100%
●価格:1,836円

【富田葉子 推薦コメント】 
まず、鉄分が少なく生臭さが出にくいパロミノ種。熟成期間が長く、アモンティリャードに近い「パサダ」なので、発酵調味料である醤油ともうまく調和してくれると思います。シェリーが持つ塩の香りもプラスに働いてくれるのは間違いないと思っての推薦です。
検証担当:太田賢一

 シェリーの伝道師、富田さんのご意見なら大歓迎、やりましょう! こういうとき、酒精強化ってやっぱり圧倒的に強いよね。

富田 そうなんです。熟成に由来する深みがあるので、コハク酸ともうまくマッチしてくれる。

太田 生臭さを助長させないことと、ドライ感も大事なポイント。ネタの風味をしっかり広げる役割と、キュッと引き締める両方をこなせてしまう。ちょっとズルいなぁっていうくらいシェリーの可能性って広いんですよね。

富田 ありがとうございます! 普及に力を尽くす立場として、我がことのように誇らしく感じます(笑)。

 こうして試してみると、貝類=白ワインと限定してはいけないなって実感しますよね。

太田 今回は赤貝が持つ鉄分のような風味がカギでしたね。しかも、寿司単体で食べているときより、合わせるワインによってよりネタの個性が際立ってくるのが面白い。これが寿司とワインを合わせる醍醐味なんだなって再認識できました。

一同 さすが、まとめ上手!

太田 前回(WINE-WHAT!? 2017年10月5日発売の№19「ワインとお好み焼特集」)から続投のテイスター任命なので、いろいろと鍛えられた結果です(笑)。

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