いまや世界を席巻する和食のシンボル、寿司と、キリストの血、ワインとのマリアージュはいかにして成立するのか、あるいはしないのか!?
ワインラヴァー必読! WINE-WHAT!?が実施した徹底検証 ブの巻 ドの巻 につづく完結篇の幕が開く!
なお、テイスター紹介はブの巻
をご覧ください。
取材協力:「すしざんまい本陣」
東京都中央区築地4-4-3 tel.03-5565-3636
http://www.kiyomura.co.jp

検証6 中トロ

ネタ解説
築地市場の初競りで「すしざんまい」が最高級マグロを落札するのは、もはや正月の風物詩。独自に生け簀を所有し、稚魚を肥やす蓄養を行うことで、安定したクオリティのまぐろを提供している。なかでも中トロは、合わせるワインによって脂の印象ががらりと変わり、和牛のような風味を醸すとの意見も。
赤ワインではない?
衝撃の組み合わせ!!
太田 道産子にとって、魚介関係は生きていくのに欠かせない活力源。あと、個人的に月に2~3回は「すしざんまい」しているんです。何しろレストラン勤務なので遅い時間帯に食事することが多いんですよ。営業時間が長いから、深夜ごはん難民の救世主ですよね。ラーメンよりヘルシーでしょ、と自分に言い聞かせつつ。
太田 「マンサニーリャ・パサダ [パストーラ] エンラマ」であります。シェリーと寿司って、もはやテッパンじゃないかと。中トロのボリュームに酸化熟成の旨み成分が重なり、余韻のビターさが脂をすっきりさせてくれる。
富田 太田さんに「テッパン」と言ってもらえて嬉しい! マンサニージャのなかでもこれは熟成期間が長く、スペイン語で「過ぎた」を意味するパサダというカテゴリーにあります。マンサニージャは生物学的熟成なので、基本的に酸素から守られてつくられるのですが、パサダはフロール(産膜酵母)の影響がやや弱まり、少しだけ参加熟成のニュアンスが出てくるので、深みが増して中トロのボリューム感と抜群に合いますね。
柳 あれ、脂ののった青魚や赤身には赤ワインって決め打ちしたのは誰でしたっけ(笑)。風味にボリュームやインパクトのある酒精強化や白の可能性、しかもシャブリと中トロってセンセーショナルです。論じるだけじゃなく、体感してこその大きな収穫でした。