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寿司 とワインのマリアージュ徹底検証ー冬の陣ー(ウの巻)

続々・ニッポンのエンタメ伝統料理はキリストの血を受け入れられるか?

検証8 金目鯛

ネタ解説
黄金色の目を持ち、赤い色をしているためにこの名前がついたが、真鯛や黒鯛などとは異なる種類に属する深海魚である。夏に産卵期を迎えるため、もっとも旨いのはやはり冬季。白身でクセは少ないが、しっかり脂がのっていることから、ワインと合わせるとテイスター陣も驚きのリッチなマリアージュが完成。

素材から野性味を引き出す

個性的マリアージュが成立

 これぞ冬の贅、金目鯛の登場です。見るからにいい感じに脂がのっているなぁ……。ツヤツヤのプリップリですよ。

松木 賛否が分かれるかもしれないけれど、ぜひ「ピトス・ビアンコ」を試してください! 金目鯛の優等生的な風味の裏に潜んでいる野性味を呼び起こしてくれるというか、ワインがソースのようにリッチに働きます。これは単に合うのではなく、マリアージュと呼べる素晴らしさだと思います。

太田 優等生が急にカラコン入れちゃって、ヤンキー化した感じですかね? なるほど! 急に金目鯛にツヤっぽさ、艶めかしさが出てくる。

 僕ね、中学が有名なヤンキー校だったのよ。高校入学後に、出身校を言うと「えっ!」って言われるほど。男子は生え際に剃り込み、女子はズローっと長いスカートでね。

鈴木 それは柳さんもヤンキーだったって話につながるわけではないですよね(笑)。

 ご心配なく! 脱線したけど、これいいじゃない! ほわーっと、ほわーっと醸し醸されて互いにいっそう香り立つよね。あ、わかりにくい?(笑)。

松木 そうそう! 魚介が苦手な人はNGだと思いますが。ただ、ネタのクセをさわやかさやキレの良さで封じるみたいな組み合わせって、おもしろさに欠ける気がするんですが、どう思いますか?

鈴木 そもそも、生臭さと魚介が持つ風味を混同してはいけないでしょう。よほど鮮度に問題があるなら話は別だけど。ま、それだと、寿司としてアウトだし。

 確かに、何でもかんでも「打倒、生臭さ」みたいな発想に寄る傾向はありますよね。僕は生臭さに関しては寛大な方で……。いや違うな、誤解が生じてしまう。香りって個性だから。互いの個性を生かしながらぶつかることでダイナミックなマリアージュが成立する。マリアージュ検証のテイスター陣と同様で、キャラ立ち上等ですよ。

鈴木 キャラ立ちといえば、ボットゲイル「アルザス ゲヴュルツトラミネール」もいい組み合わせですよ。推薦した太田さん、けっこう攻めてきましたね! こちらも個性同士がぶつかって、新しい味になる。プラスαがあります。

ヴァンパッシオン

ボットゲイル
アルザス ゲヴュルツトラミネール2014

●生産国/地域:フランス/アルザス
●品種:ゲヴュルツトラミネール100%
●価格:3,020円

【太田賢一 推薦コメント】 
イメージしたネタは、ねっとりクリーミーで濃厚なウニの風味。また、噛めば噛むほどシャリの甘味が表に出てくることも考慮。遅摘みしたブドウを使用した、口中に残糖分が残るタイプを選びました。品種とネタの強い個性同士が響き合うマリアージュ狙いです。
検証担当:鈴木文彦

太田 品種由来の要素はもちろんですが、遅摘みが特徴の造り手で、ふくよかな残糖を感じます。握りだとシャリを咀嚼した時の甘味が外せない要素なんじゃないかなと。

鈴木 ついネタばかり考慮してしまうけれど、構成比率だったらシャリが多いですからね。とはいえ、金目鯛ってそれほど主張の強い素材というイメージはなかったけれど、これだけ個性のあるワインを受け止められるっていうことも驚きです。

 先入観を持つことがどれだけマリアージュの幅を狭めてしまうかって痛感しますよね。無難に逃げない勇気の先に新たな感動がある!

太田 深い! マリアージュ検証からついに人生訓に到達しました。

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