ソムリエ、石田博氏にペアリングの極意を伝授していただくコーナー。料理との相性を楽しむペアリングはワインの醍醐味。家庭でもその日の献立に合わせてペアリングを楽しみたいと考えるワイン好きは多いと思う。でも、そんな時に、どう選べばいいのか悩んでしまうと言う人も多いのではないだろうか。石田氏の目の付け所や発想法をオンライン体験していただき、参考にしていただければと思う。言ってみれば初心者のための、ペアリング事始めシリーズ、第九回目のはじまり。

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魚に白、肉に赤という常識から離れるのも、
ペアリングの醍醐味

桜肉と牡蠣
 

一口食べて驚く。軽やかだ。この爽やかな香りはどこから来るんだろう。

「桜肉と牡蠣」は新鮮な馬肉をタルタル仕立てにし、牡蠣の旨味を凝縮させたペースト状のコンディメントとともに味わう冷菜。秘密はこのコンディメントに使われているオリーブオイルと散らされたハーブ。

写真を見ていただくと、白い身が見えると思うが、これはタテガミ(たてがみが生えている馬の首の部分の肉)。少しコリコリとした食感と甘みがアクセントになっている。

さて、この料理に何を合わせてくるのだろうか。

「魚には白、肉には赤という常識から離れてみるのも、現代のペアリングの醍醐味と、L’aubeを開いてみてから実感しています。なにしろ料理がますます自由な発想から生まれるようになっているのですから」

ジビエと合わせるポイントは、ワインに含まれる乳酸

「この春のメニューのスタートを飾る料理には赤ワインではないなと。フレッシュなロゼでは桜肉の赤身の風味を流してしまう。白なら何がいいんだろう?と悩んでいると、以前、鴨肉を半生に炙った料理をいただきながら『乳酸がジビエと合わせるポイント』という話で盛り上がったことを思い出しました。乳酸は赤ワインにも含まれますが、そのフレーバーがより顕著なのはマロラクティック発酵を行った白ワインです。そうなるとシャルドネ。コース料理のスタートワインとなるので冷涼気候産地のフレッシュ感があり、木樽の風味は抑えめなものということで、このワインにしました」

出てきたのは、ベルグストロム オールド・ストーンズ シャルドネ。オレゴンのプレミアムワインとして評価の高いシャルドネだ。野生酵母で発酵させているので風味に奥行きがあり、桜肉のコクに負けるない。

「オレゴンはアメリカの牡蠣の名産地で、以前訪問した際、さまざまな種類の牡蠣の食べ比べをさせてもらったことがありました。これもオレゴンを選んだ理由の一つです。余談ではありますが、オレゴンではKumamotoという種類の牡蠣がポピュラーです。熊本からタネを輸入して広まったそうです」

 
オレゴン・シャルドネ

「桜肉といえば熊本、そんなところでもつながっています」

なるほど、さすがのペアリング。背景の話も含めて、感動の味わいだった。


 
石田博氏
 

石田博プロフィール

合同会社Soupless代表、レストランローブ ソムリエ、社団法人日本ソムリエ協会 副会長。
1969年生まれ。数々の国内ソムリエコンクールを優勝。2000年には、第10回世界最優秀ソムリエコンクール第3位。2011年 厚生労働省 現代の名工、2014年11月 内閣府 黄綬褒章受章。同年 第7回全日本最優秀ソムリエコンクール優勝。2015年アジア・オセアニア 最優秀ソムリエコンクール優勝。2016年第15回世界最優秀ソムリエコンクール セミファイナリスト。

 
 

RESTAURANT L’aube
レストラン ローブ


東京都港区東麻布1-17-9 アネックス東麻布2F
TEL 03-6441-2862
contact@laube.tokyo
http://www.restaurant-laube.com/

今橋英明シェフ

今橋英明シェフ


 

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この記事を書いた人

WINE-WHAT!? 編集部
WINE-WHAT!? 編集部
「なんでこんなにうまいんだ!」


「フランスやイタリアの真似をして、たんにコピーをつくったところで尊敬は得られない。自然とどう関わるか」


「ワインも生きている。ブドウも土も、どれも」


「大事なのはひとの問題なんです」


「マニフィーク」



日本のワイン界のレジェンド、麻井宇介と彼の意志を継いだ若者たちの物語
10月20日公開 映画「ウスケボーイズ」より