カレーとビールはよく合う。と私は思う。辛いカレーを一気に掻き込み、ビールで一息。辛さに火照った喉を潤してくれる。さしずめ、カレーのチェイサーと言ったところか。
向田邦子は、妹といっしょに赤坂に店を出したとき、実際に一口カレーをメニュー化したそうだ。その店は、もうなくなってしまった。向田邦子のカレー、食べてみたかったとつくづく思う。もっと早く知っていれば、と後悔してしまう。
だから他に、そんな店がないかな、とずっと思っていた。おいしいカレーのある居酒屋が。
そして、ついに別府で見つけてしまった。向田邦子の一口カレーは、居酒屋料理の中に、カレーを潜り込ませたわけだが、こちらは、堂々とカレーをメインにしている。カレー屋だけど、酒も飲めるし居酒屋風おつまみもいろいろあるよ、という感じ。そもそもの考え方は真逆な感じがするが、美味しいカレーと美味しい酒が楽しめる店であることには変わりはない。
ルート10のカレーは、いわゆる欧風カレー。どちらかというと甘口だと思うのだが、ちゃんと辛さも口の中に残る。私は、辛口にしてと頼んで作ってもらうのだが、これが、東京でたっくさん食べ歩いた有名店のカレーと比べても、決して負けてない。うまいのだ。
カレーの種類も豊富に用意してある。カレーを使ったおつまみもある。唐揚げにカレーをかけたメニューは、これまたビールによく合う。マスターに向田邦子の一口カレーの話をしたら、「それいいね」と早速ミニカレーをメニューに加えてくれたという嬉しい出来事もあった。
ドリンクが豊富なのも嬉しい。特に洋酒が豊富で、本格的なカクテルも飲める。美味しいワインがあるのも嬉しい。生ハムやラタトゥイユ、チーズなど、ワインに合うつまみも豊富にある。つまり、料理は本格的。決してカレーだけの店ではない。
別府に住んでいた時には、毎日のように通った。今も別府に行くと必ず寄る大好きな店だ。