ワインと食材のもつ、1+1=2ならぬ1×1=xの、常識を超えた掛け合わせを徹底的に調べよう、というWINE-WHAT!?名物検証シリーズ第3弾「ワインと焼き鳥のマリアージュ」の始まりです。ちなみに、第1弾のお好み焼きはこちらを、第2弾の寿司はこちらをクリック。

「ワインと焼き鳥のマリアージュ」のルール

銀座の高級焼き鳥店「バードランド」を舞台にわさび焼きから手羽先まで9串を対象として、オールマイティに合わせられると思われるワインを1本、ひとつの串にピンポイントで合わせたいワインを1本、テイスター5名が、赤白、自由にセレクト。ただしロゼ、泡は禁止。

自身が選んだワイン2本と、ほかのテイスターが選んだワイン2本の計4本を、9串すべてに対して審査、採点する。

採点は、×=まったく合わない(0点)、△=合わないことはない(1点)、○=合う(2点)、◎=感動的なくらいぴったり(3点)、の4段階。評価の高い組み合わせは、全員で討論する。





テイスター紹介

和田利弘
銀座「バードランド」店主。1987年、阿佐ヶ谷で地鶏焼き「バードランド」を開店。2001年、銀座に移転した。16年、シャンパーニュ騎士団シュヴァリエに叙任されるほどのワイン通として知られる。



柳 忠之
ワインジャーナリスト。ワイン専門誌記者を経て、97年からフリー。本誌ではおもにペアリング企画のまとめ役のほか、ソムリエの石田博氏と新商品テイスティングを担当する。焼き鳥で好きな種類は、皮。



土田美登世
フリーの食記者、編集者。約80軒の焼き鳥店を紹介し、我が国における焼き鳥史をつづった『焼き鳥と日本人』(光文社)の著者。近著は自然派ワインの大家、勝山晋作氏との強調となる『アウトローのワイン論』(同)。



太田賢一
ソムリエ。銀座「エスキス」勤務。数々の名店でサービスを経験した後、オーストラリアに渡り、ワイン醸造の知識も深めた。現在、ワインスクール「レコール・デュ・ヴァン」講師も兼務。好きな焼き鳥は、ねぎま。



瀬川あずさ
株式会社食レコ代表取締役。「レコール・デュ・ヴァン」新宿校主幹講師。執筆や飲食コンサルティングなど、食やワインにまつわる仕事を通し、豊かなライフスタイルを発信している。好きな焼き鳥は、ふりそで。





テイスターによって選ばれしワイン10本はこれだ!

【オールマイティ部門】



1

イエア・ワインズ
アシルティコ・バイ・イエア・ワイルド・ファーメント 2016

産地:ギリシア/サントリーニ
品種:アシルティコ
4,166円/ヴァンドリーヴ
※2016年は終売。17年は4,200円。

自根で育てられた樹齢70~80年のアシルティコを、1000リットルのステンレスタンクと225リットルのオーク樽(フレンチ&アメリカン)、アカシア樽で醸造。自生酵母による天然発酵。



選者コメント
「焼き鳥とはいえ肉に合わせるのだから、ある程度のボディは必要。加えて、全串を通して楽しむにはフレッシュ感も欠かせない。そこで樽を使って自然発酵させた、サントリーニのアシルティコ。ただ、以前飲んだ時よりも今回は樽香が強めに感じられるのが懸念材料」(柳)





2

ヴィーニンガー
ゲミシュターサッツ・ニュスベルグ 2015
産地:オーストリア/ウィーン
品種:ヴァイスブルグンダー、ノイブルガー、ヴェルシュリースリングなど9品種。
5,000円/ヘレンベルガー・ホーフ

市街地を眼下に望むウィーン北部の丘の畑、ニュスベルグ。この銘醸畑で混植された9つの品種を混醸。貝殻石灰岩が風化した土壌で、ブドウの樹齢は50年。



選者コメント
「オールマイティなワインに求められる要素として、飲み疲れないことが挙げられる。加えて、余韻を引き締める苦味や酸のトーンの高さ。そのようなところを狙って選んだ。ブドウ品種も9種類。ブドウ品種のオーケストラのようなワイン」(太田)





3

大沢ワインズ
フライングシープ・サンジョヴェーゼ 2011
産地:ニュージーランド/ホークスベイ
品種:サンジョヴェーゼ
3,000円/大沢ワインズ

日本人の大沢泰造氏が55歳で一念発起。ニュージーランドの北島ホークスベイに土地を買い、2006年にブドウを植えた。このワインはサンジョヴェーゼに10%だけカベルネ・ソーヴィニヨンをブレンド。



選者コメント
「イタリアのサンジョヴェーゼと比較してすごく日本人オーナーらしい感性が入っていて、全体的に穏やかで滋味深く、余韻も和食と合うような旨味も感じられる。マリアージュの汎用性が広い」(瀬川)





4

ジャム・セラーズ
バター・シャルドネ 2016
産地:USA/カリフォルニア
3,500円/中川ワイン

カリフォルニア各地からブドウを厳選。低温でスキンコンタクトのあと、樽発酵、樽熟成。リッチで樽香も強め、トロピカルフルーツもばっちりの、典型的なカリフォルニアテイスト。



選者コメント
「ラインナップを見渡すと定番のシャルドネがない。柳氏に相談すると、どうせならコテコテのタイプにしましょうと。脂肪分の強い部位にはとりわけ相性よさそう」(土田)





5

ゲオルグ・ブロイヤー
テラ・モントーサ・リースリング 2015
産地:ドイツ/ラインガウ
品種:リースリング
4,590円/ヘレンベルガー・ホーフ

ドイツおける辛口リースリングの銘醸蔵。テラ・モントーサはラテン語で急斜面を意味し、この醸造所が所有する4つの特級畑のブドウをブレンドしている。伝統的な大樽を用いた発酵、熟成。



選者コメント
「リースリング単一の品種構成だけど、4つの特級畑のブドウをブレンドした複雑さが、どの部位、どの味付けの焼き鳥でも受け止めてくれるでしょう」(和田)





【ピンポイント部門】



6

エラスリス
カルメネール・アコンカグア・アルト 2015
産地:チリ/アコンカグア・ヴァレー
品種:カルメネール
3,480円/ヴァン・パッション

長い生育期間によって完熟したカルメネールを醸造。30%をフレンチオーク、70%をアメリカンオークの小樽で12ヶ月間熟成させている。新樽率は100%。



選者コメント
「山椒焼きに合わせるワインとしてチリのカルメネールを。カルメネールのスパイシーさ、ピラジン系のニュアンスが山椒とも合いそう。タレの柔らかな甘みにもバッチリ、のはず」(柳)





7

M.シャプティエ
ジゴンダス 2012
産地:フランス/ローヌ
品種:グルナッシュ、ムールヴェードル、シラー、サンソー
3,400円/日本リカー

ローヌの大生産者シャプティエ。ジゴンダスはローヌ南部のアペラシオンでグルナッシュ主体。ワインは一部を小樽で12~16カ月熟成させ、タンクのものとブレンド。



選者コメント
「つくねに合わせてジゴンダス。アタック柔らかく凝縮感があり。狙いは南仏由来のタイムやローズマリーなどハーブの香りを持ち合わせているので、つくねを西洋風のフレーバーにアレンジしてくれるのではないかと」(太田)





8

ラウル・ペレス
ウルトレイア・サン・ジャック 2015
産地:スペイン/ビエルソ
品種:メンシア
3,240円/ワイナリー和泉屋

鬼才ラウル・ペレスが造る最もスタンダードなキュヴェ。ビエルソの急峻な斜面で栽培されるメンシアから造られる。小石混じりの粘土質土壌で、樹齢は80~90年。



選者コメント
「レバーとの相性で提案。果実味が豊かで、タンニンが緻密、エレガントなワイン。レバーは食感滑らかで緻密な印象。食感の同調と、華やかな果実味も合うと思いました」(瀬川)





9

クラウディ・ベイ
マールボロ・ソーヴィニヨン・ブラン 2017
産地:ニュージーランド/マールボロ
品種:ソーヴィニヨン・ブラン
3,460円/MHD モエ ヘネシー ディアジオ

70年代、80年代、ソーヴィニヨン・ブランで大ブレークしたニュージーランドのマールボロ。その立役者がクラウディ・ベイだった。ハーブやパッション・フルーツなど、フレーバーが華やか。



選者コメント
「ワサビ焼きに合わせるワインとして選んだのはニュージーランドのソーヴィニヨン・ブラン。ハーブ系の香りが調和するのではないかと思って」(土田)





10

プラーガー
リースリング・フェーダーシュピール2016
産地:オーストリア/ヴァッハウ
品種:リースリング
4,400円/エイ・ダヴリュー・エイ

ドナウ川が流れるヴァッハウ地方。ヴァイセンキルヘン村で700年の歴史をもつのがプラーガー家だ。フェーダーシュピールはヴァッハウ独自の格付けで3階級の真ん中。



選者コメント
「ソリレスは塩焼きで皮もついていて、凝縮した肉。肉の美味しさを引き出す発想。フェーダーシュピールのほうが上級のスマラクトよりも和食には合いやすい。今、お店でグラスで出してるワイン」(和田)





この記事を書いた人

忠之柳
忠之柳
1965年横浜生まれ。ワイン・ジャーナリスト。ワイン専門誌記者を経て、97年に独立。専門誌からライフスタイル誌まで、安いのから高いのまで、大きなワイン愛で包み込む。