メインをクライマックスにするためのペアリングとは?

蕪と土佐鴨
 

蕪と土佐鴨は、レストランローブ定番になりつつある、メイン前の箸休め的な、ほっとする料理。主役は鴨ではなく、蕪。新鮮な蕪を、鴨の旨みがぎゅっと凝縮したスープ仕立てのソースで楽しむ。まず蕪のとろけるような柔らかさに驚き、次にソースの旨みに驚く。

そもそも鴨は、ワインとの相性がよい食材だ。カベルネ、メルロー、シラー、ピノ・ノワールと幅広く合わせることができる。しかし、この料理の後に続くメインディッシュのことも考えると、あまりしっかりしたものを出すわけにはいかない。メインをクライマックスにするために作るコース中のメリハリは、石田流ペアリングの極意のひとつでもある。

「そこで、ここはピノ・ノワールを合わせることにしました」と石田氏。「鴨と蕪と聞いて、すぐに思い付いたのはアルザスです。アルザスというと白ワインのイメージが強く、実際に多くは白なのですが、料理は肉を使ったものが多いのです。豚肉が有名ですが、鴨もあります。そして蕪もよく登場するのです」。

カナダのピノ・ノワールと言う意外性

と、ここまで聞いて、なるほどアルザスか、と思っていたら、石田氏が出してきたのは、なんとカナダ・オンタリオ州のピノ・ノワール。メインをフランスワインにするので、ここはフランス以外のワインにした方が、全体の流れをよりドラマチックにできると考えたようだ。「アルザスのような冷涼気候で、森のイメージがある産地がいいと考え、そこで頭に浮かんだのがカナダでした」。

近年カナダからは素晴らしいワインが生まれている。歴史が浅い産地ではないし、品質向上も著しい。

実際、お店ではカナダというとアイスワインくらいしか知らないと多くのお客様に驚かれるという。こういった発見の楽しさもペアリングの醍醐味だろう。

「今回はオンタリオ州の湖畔のブドウ畑、ナイアガラ ペニンシュラのものを選びました。それもアルコール度12%に満たない『しなやかな』ピノ・ノワールです。鴨に合わせるなら、もっと強いものがよいでしょう。しかし今回の主役は蕪です。鴨の旨みをたっぷり吸って、やわらかい口どけの蕪の味わいを圧倒しないワインが相応しいのです」

そしてこの『しなやかさ』が、メインへの最高の繋ぎ役を果たしてくれるのだ。

 
ナイアガラペニンシュラのピノ・ノワール
 
 
石田博氏
 

石田博プロフィール

合同会社Soupless代表、レストランローブ ソムリエ、社団法人日本ソムリエ協会 副会長。
1969年生まれ。数々の国内ソムリエコンクールを優勝。2000年には、第10回世界最優秀ソムリエコンクール第3位。2011年 厚生労働省 現代の名工、2014年11月 内閣府 黄綬褒章受章。同年 第7回全日本最優秀ソムリエコンクール優勝。2015年アジア・オセアニア 最優秀ソムリエコンクール優勝。2016年第15回世界最優秀ソムリエコンクール セミファイナリスト。

 
 

RESTAURANT L’aube
レストラン ローブ


東京都港区東麻布1-17-9 アネックス東麻布2F
TEL 03-6441-2862
contact@laube.tokyo
http://www.restaurant-laube.com/

今橋英明シェフ

今橋英明シェフ


 

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この記事を書いた人

WINE-WHAT!? 編集部
WINE-WHAT!? 編集部
「なんでこんなにうまいんだ!」


「フランスやイタリアの真似をして、たんにコピーをつくったところで尊敬は得られない。自然とどう関わるか」


「ワインも生きている。ブドウも土も、どれも」


「大事なのはひとの問題なんです」


「マニフィーク」



日本のワイン界のレジェンド、麻井宇介と彼の意志を継いだ若者たちの物語
10月20日公開 映画「ウスケボーイズ」より