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豚タンのコンフィに合うワインとは?

料理から探る マリアージュ・メソッド vol.5 六本木・けやき坂【ローダーデール】

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今回は六本木・けやき坂にあるカジュアルフレンチ「ローダーデール」の豚タンのコンフィ、グリビッシュソースとセロリの葉のサラダ添えでマリアージュを検証します。

豚タンのコンフィの香ばしさとグリビッシュソースの卵黄のコクと白ワインヴィネガーやケッパー、マスタード等のしっかりした酸味、そしてセロリの清涼感がポイントで、ソースと肉の風味、酸のフレッシュな印象が残る味わいです。

ひとつめのワインは、フランス・ロワール地方からシュナン・ブランでつくられた「ヴーヴレ・ムスー」。この品種でつくられたワインは、常に花の蜜のような風味を持ち、豊かな口当たりと明確な酸がある後味になります。

スパークリングなので、酸はよりフレッシュで伸びがあり、ソースの後味に残る明確な酸ときれいに同調します。また、卵黄由来のコクに対応できるだけの味わいの豊かさをワインが備えているので、全体の構成やバランスがよいのです。

新世界のワインでも面白いマリアージュが生まれます。オーストラリア・アデレードヒルズの「エス・シー・パネル プロント・ビアンコ」。ソービニヨン・ブラン、リースリング、ピノ・グリという新世界ならではのブレンドでつくられるこのワインは、ピュアでアロマティックな果実感が、ソースに入っているピクルスやケッパー、セロリの葉のサラダのような清涼感のある野菜の風味とぴったりです。

オーストラリアの温かい環境が与える柔らかな味わいは、ソースのコクに負けることなく寄り添い、スッキリとこの料理を食べたい時にはとてもオススメです。

もし赤ワインで楽しむとしたら、軽やかで酸味のある味わいがピッタリです。きれいな果実感だけでなく、少しスパイシーな風味があると、よりよいでしょう。たとえば、ガメイやピノ・ドニスなども面白い。なかでもジュラ地方の「トゥルソー」。軽やかなスタイルの中に、スパイス感とタンニンの存在を少しだけ意識させるこの品種の特徴は、今回の料理によく合います。

この料理は、豚タンの脂質や油性に対し、ソースが中和的バランスをとっています。泡、白、ふたつのワインは、ソースのコクにワインを合わせて楽しみましたが、赤ワインの場合は、ソースの邪魔をしないようなレベルの凝縮度のものを選び、ソースの酸に同調させつつ、フレーバーは余韻に残る肉に合わせる感じです。そうするとソースの風味をより生かすことができます。コンフィにすることで少しスモーキーなニュアンスがあることから、ワインにもスパイス感があると、アロマの繊細なところまで同調感を出せます。

これから暑くなる季節。酸味を効かせた料理を選ぶ機会も増えてきます。その酸味を、ワインのスタイル次第で同調または中和といった具合にバランスを整えることが、マリアージュをつくる上で大事なひとつの要素となります。

今回の3銘柄

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  • ドメーヌ・ヴァンサン・カレム ヴーヴレ キュヴェ・テ NV

    生産国 : フランス
    地域 : ロワール

    シュナン・ブランは辛口から甘口、スパークリングまでつくれる万能品種。自然と共存しながらつくることを大事にしているヴァンサン・カレムのワインは白い花の蜜や花梨のニュアンスが豊かに広がりながらも、酸がフレッシュな辛口。

    マリアージュ結果
  • エス・シー・パネル・ワインズ エス・シー・パネル・プロント・ビアンコ 2012

    生産地 : オーストラリア
    地域 : 南オーストラリア

    ソーヴィニヨン・ブラン、リースリング、ピノ・グリという新世界ならではのブレンド。ステンレスタンクでの製造により、柔らかい味わいの中に果実感がピュアでアロマティックに表現されている。

    マリアージュ結果
  • ドメーヌ・マルヌ・ブランシュ コート・デュ・ジュラ トゥルソー 2012

    生産国 : フランス
    /地域 : ジュラ

    軽やかでスパイシーな風味を生み出す、この地の地品種トゥルソーによってつくられている。生産者は2008年よりスタートした若手だが、ピュアでチャーミングでありながらも強さを持った素晴らしい味わい。

    マリアージュ結果

大越メソッド 基本アプローチ5カ条

① 五味を合わせる
五味とは、酸味、甘味、塩味、苦味、うま味のこと。料理とワインの2つの要素の中でバランスよく五味が整う時に、双方の風味が味わい深く感じられる。
② 味わいの同調
ワインと料理の五味の中でも特に酸味、甘味、うま味を同調させる。互いのボリューム感や強さに合わせて同じ風味同士を同調させ、一体感を出して味を引き立てる。
③ 味わいの中和
五味や刺激(渋味、辛味)の中でやや強い個性に対し、対の関係にある味わいを合わせて個性を緩和させ、中和することで、風味を心地よく残す。
④ フレーバーを合わせる
とても重要で、頻繁に使用される考え方。ワインと料理の双方が持つフレーバーや香りを合わせて一体感を生み出すことで、いずれも長い余韻、風味を楽しめる。
⑤ テクスチャーを合わせる
やわらかいワインにやわらかい料理、暖かい料理に冷やしすぎていないワインなど、温度や食感などでテクスチャーを整えると、マリアージュ効果がさらに上がる。

この記事を書いた人

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大越 基裕
1976年4月24日 北海道札幌市生まれ
バーテンダーからサービス業界に入る。ワインに魅せられて渡仏を決意、帰国後2000年にソムリエになる。ワインバーで勤めた後2001年に銀座レカンにソムリエとして入社。様々なコンクールや実践で経験を積んだのち、更にワインの奥深さを知るために、再び2006年より2年半渡仏。帰国後2009年より銀座レカンシェフ・ソムリエとなる。

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