てんとう虫の石川進之介が、美味しい食材との出会いと料理を紹介する連載企画。第4回目は、北海道と山ワサビ!

山ワサビくんと本ワサビさん

山ワサビくんに会いに行くまでの道のりは、長く険しいものだった。

いや、2018年の暮れに、僕が応援している北海道の出身とのことで「もっと多くの人に知ってもらいたい」と、彼のほうから僕に相談にきたので、出会い自体は自然な流れだった。彼はぶっ太くご立派だ。でもすりおろすと雪のようにふわふわで、味わいは複雑で上品。香りも良い。故郷は十勝だそうだ。

しばらく話を聞いて興味がわいた僕は、国外の畑だって見て回っているし、十勝だったら近いもの。馴染みの北海道だし、寒いくらいはなんてことないと、その場で山ワサビくんの畑への訪問を約束した。

そして、山ワサビくんを訪ねる前日のこと。

僕は札幌はすすきのの和食屋のカウンターで、仲間と酒を飲んでいた。料理長とあーだこーだ話していると、嫌な音が携帯から店内に響く。

「エッ、これって地震きちゃうヤツ!?」

数秒後上下にすごく揺れた。賑わっているすすきのが一変、静かになった。幸い、大惨事になる程ではなかったけれど、北海道は大きい地震続きだったから怖かった。

翌朝、芽室まで行く電車のチケットを買っていた僕は、少し早めに札幌駅へ向かった。電光掲示板を見ると行く先のエリア表記がない!? 何度か見て駅員に聞いたら「昨日の地震の影響で全線運休です」。エッ! 

とはいえ、旅のスキルが〝ちょっと〞はある僕は、その程度では動じない。バス、レンタカー、ヒッチハイク!? すぐさまプランDまで用意して、キャリーバッグをガラガラしながらバス乗り場まで行ったら、「全便満員です」。そりゃそうか。

よしッ 次はレンタカーだ。カウンターで交渉したら、「社用車で洗車していない車でしたら特別にお貸し致します」と女神が微笑んだ。以来、僕はこの女神レンタカーの猛烈ファンである。

車はなんとかGETできたものの、往路は幾度となく回り道をさせられるハードな雪道をたどることになり、2時間遅れで山ワサビくんの実家にたどり着いたのだった。そして彼は、苦労してでも会いにいってよかったとおもえるヤツだった。

十勝の山ワサビ畑にて

本ワサビさん(緑色)の知名度と比べると山ワサビくん(白色)はまだ本州ではあまり知られていない。ローストビーフに添えられているアレと言うと「あっ!西洋ワサビね」と気付いてくれる。ヨーロッパ原産で、ホースラディッシュ、レフォール、ワサビ大根、とも呼ばれている。

山ワサビ

辛味の強さでいえば、本ワサビより強い。土の中で繁殖するせいか辛味以外に芋やゴボウのようなまろやかさと甘味も感じとれる。また、価格も西洋ワサビのほうがリーズナブル。漢字で書くと「山山葵」。よく見ると山2つだな〜笑 

主生産地の十勝は低地土ともいわれ、肥沃な畑地。土壌は乾性火山灰土壌なので、とても水はけがよく山ワサビが立派に育つ。根を地下にしっかりとはり、大地の栄養をたっぷりと吸収しているのだ。また、十勝の日照時間の長さと昼夜の寒暖差もおいしい山ワサビ栽培に好適。原産地である北欧に似ているのだ。

どっさり収穫された山ワサビくん

すっかり山ワサビくんに惚れ込んだ僕は、みなさんにも知ってもらいたいと、各地のご当地グルメの飲食店へドアノックを開始した。北海道、東京はもちろん、北海道から大阪伊丹へ飛んで そこから車を走らせ福知山ー京丹後ー兵庫ー大阪。新幹線で広島へ。ついでに羽田から西中国・四国と飛びまわった。

そんな山ワサビくんが、今年3月、札幌のすすきので結婚式を挙げた。江戸(エド)前鮨ならぬ、蝦夷(エゾ)前鮨を披露する鮨屋のカウンターでの挙式だった。

「噴火湾産のあなご煮 山わさび&本わさび 添え」



お相手はなんと、本ワサビさんだった!

二人が寄り添っている。なんとも幸せな光景である。ワサビとワサビというのが、彼らしい。

山ワサビは洋食にも、和食にも、お好み焼きにも、たこ焼きにも、しゃぶしゃぶにも、すき焼きにも、蕎麦にも、うどんにも、お鍋にも お酒と割ってもバッチリ合う。餃子に合うのは、WINE-WHAT!? 2019年9月号で実証済みだ。ほかにも実はカレーにだって合う。インド人が驚く、異国間辛味マリアージュだ。

お店もお客様も食べて飲んでHAPPY TIME!ヘルシーだというのも書き添えておきたい。

そして、もっと山ワサビくんの結婚式に立ち会いたい僕は、今日も彼のお相手を探して旅を続けている。オランダ・アムステルダムでは、「WASABI」という名前の緑色のワサビフレーバーチーズを発見した。



笑顔がチャーミングな赤縁メガネの店員さんに聞いたら「日本を意識したチーズです」とのこと。日本には山ワサビくんもいるんですよ。

山ワサビくんと本ワサビさんの間に子供ができたら、瞳がブルーだったりして! 青い山葵ってあるのかな〜!? 山ワサビくんとの旅は、まだまだ終わりそうもない。


石川進之介が一品プレゼント!

以下の応募フォームの「編集部への一言」欄にご希望のプレゼントを記載してください。

今回のプレゼントは、“石川進之介が行きつける山わさびが美味しく頂けるお店”での「山わさびを使ったお料理」です。当選者の方には編集部よりメールにて連絡いたしますので、WINE-WHAT!?9月号ご持参の上、2019年9月20日~10月31日までの期間中に下記店舗にご予約ください。いずれも、ペア3組6名様!



“会津地鶏や京鴨が堪能できる焼き鳥屋”
やき鳥 歩ム 東京自由が丘[本店]
東京都目黒区自由が丘1-3-14伊勢元ビル2F
03-5726-8727
賞品例
会津地鶏肝の低温調理山わさび和え +モルドバのスパークリングワイン「クリコバ」375ml



“フレンチを、食堂感覚で。”
ワインビストロボンクラ 東京大手町
東京都千代田区大手町1-9-2
03-6225-2730
賞品例
山わさび香るグラス ド ヴァニーユ +デザートワイン

締切は9月5日です。

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この記事を書いた人

石川進之介
石川進之介
元“ 旅するシェフ” として日本全国・世界37ヶ国で出張料理人として活動した。メディア・著書多数。
現在は、日本で働く外国人の労働環境整備にむけシェフ時代の世界ネットワークを駆使し、ASEAN 諸国の国と地域 に通い力を注いでいる。その傍ら FOOD ディレクター兼プロデューサーとして、各地域の優れた食材を国
内外に届ける活動も行っている。
Instagram #てんとう虫のしんちゃん
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