イタリア、エミリア=ロマーニャ州。
「赤い微発泡のご当地ワイン、ランブルスコがついつい進んじゃう!」
そんな食が盛りだくさんの地です。
パルマハムにバルサミコ、そしてなんと言っても、パルミジャーノ・レッジャーノ!
このイタリアチーズの王様“がおいしいワケとは?
その答えを求めて、現地を訪ねました。

協力 パルミジャーノ・レッジャーノ・チーズ協会


パルメザンチーズとはちがいます

パルミジャーノ・レッジャーノの歴史は、900年以上も前に遡ります。中世の時代、ベネディクト派やシトー派の修道士が湿地を開拓し、酪農を営むなかで発展してきた伝統的なチーズです。ワインと同じように、原産地名称保護(DOP)のもと、パルマ、レッジョ・エミリア、モデナの3県全域およびボローニャとマントヴァの一部地域のみ、作ることができます。



世界でも人気のパルミジャーノ・レッジャーノですが、「安価な粉チーズの”パルメザン“もそうなの?」と思った方いませんか?ーー ここ、重要!

各地で作られ、よく筒状の容器に入っているあのパルメザン※は、実はパルミジャーノ・レッジャーノを真似て作られた”イミテーション・チーズ”なのです。

※パルメザン(Parmesan)はパルミジャーノの英語やフランス語の表記名でもあり、少なくともEU圏内では模倣・類似チーズにこの名称を使うことは禁止されています。

ホンモノのパルミジャーノ・レッジャーノは、食感も風味も格別。この”イタリアチーズの王様”の価値は、なんと銀行にも認められていて、チーズを担保に生産者への融資が行われているのだとか。

パルミジャーノ・レッジャーノができるまで

パルミジャーノ・レッジャーノは、1玉40㎏ほどある大型チーズ。現場では「カザーロ」とよばれる熟練した職人の技が光ります。平均熟成期間は24カ月。時とともにうま味が増し、パイナップルのような香りもしてくる。そんなパルミジャーノ・レッジャーノはこうして生まれます。

1.ミルクにも秘訣あり



原料乳は朝搾りの全乳のみならず、前日夕方に搾ったミルクを一晩置いて自然に浮き上がる脂肪分を除いた乳も加える。脂肪分が多すぎると、おいしい熟成チーズにならないのだ。

2.固まってきたら細かくカット



大きな銅釜で加熱。天然の凝乳酵素も加えながら固まってきたら、カザーロがタイミングを見極め、スピーノという専用道具でカットして、米粒くらいの大きさにする。

3.麻の布ですくって半分に

銅釜に沈んだものを麻布で包んですくい上げ、半分にカット。



“双子の赤ちゃんパルミジャーノ”の誕生だ。赤ちゃんとはいえ、この段階で1玉およそ50kg!

4.型枠に入れて



ファッシェーラ(型枠)に入れた時は、まだパンパン。徐々に水分が抜けて平らになっていく。

5.点文字ベルトを巻いて



PARMIGIANO – REGGIANOの点文字が刻まれた外皮は、ホンモノの証。まだやわらかいこの段階で点文字ベルトを巻きつけて、ステンレスの型枠に入れ替える。

6.味&熟成を左右する加塩



摂氏16度の塩水のプールに20日ほど浸漬。飽和塩水なので、重たくても浮いてくるほど。塩分が中までじんわり浸透していく。

7.熟成&厳しい審査が待っている

全体にブラシをかけながら、最低12カ月熟成。



専門の検査官が一つひとつ審査を行う。厳しい審査に合格したものだけに、最後の焼印が押されるのだ。

数字で見る パルミジャーノ・レッジャーノ

必要なミルクの量=1玉あたり520リットル(約25頭分の1日のミルク!)
年間生産量(2018年)=3,699,695玉(およそ15万t)
添加物や発酵飼料の使用=0(一切禁止)

この記事を書いた人

佐野嘉彦
佐野嘉彦
留学先のスペインで、ワインと食に開眼! 食の専門誌の編集やワインスクールでの講師などを経て、現在はチーズ、ワイン、日本酒、ビール、コーヒー、パンなどをテーマとした企画や執筆、セミナーなどを展開中。

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