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ラムをおいしく焼くコツ

北海道のラム肉専門店「東洋肉店」代表取締役・東澤壮晃さんに聞く

ジンギスカンweb主宰の北海道・名寄市の羊肉専門「東洋肉店」代表取締役、東澤壮晃さんにラム料理とワインについて教えてもらいました。

別のページにあるように、多種多様なカベルネ・ソーヴィニヨンに合う料理ということで、北海道でラム(仔羊)肉専門店を経営する東澤壮晃さんにラム肉とワインの知識をいかした最高の4品を紹介してもらいました。でも、そもそもなぜラムとカベルネ・ソーヴィニヨンは合うのでしょう? そして、ラム肉をおいしく焼くコツはあるのでしょうか? 以下、Q & Aでお伝えします。

羊脂の甘い香り

ーー早速ですが、カベルネ・ソーヴィニヨンの赤ワインとラムはどうして合うのでしょうか?

「まず、脂と香りですね。カベルネ・ソーヴィニヨンといってもいろいろなワインがあるわけですが、例えば早摘みで若く、ミンティーなカベルネ・ソーヴィニニヨンには、青草を食んで育った(グラスフェッド)ラムから醸し出される、羊らしい草由来の甘い香りが馴染みます。熟成し、まろやかで複雑な味わいになった高貴なカベルネ・ソーヴィニヨンならば、羊脛肉から滲み出る赤い筋肉と筋の旨味、そして羊脂の濃厚で甘い香りが溶け出した複雑な茶褐色のソースが一致するはずです。いずれも、羊の香りを不自然にマスキング(消臭)せず、調理法やワインに合わせて脂の量を調整することがポイントです」

ーーラムの基礎知識として、代表的な部位とその特徴を教えてください。

「羊肉には多くの部位・規格があり、各部位のカット方法により、個性や調理法が異なるだけではなく、産地・気候・水・月齢・餌の違いなどで様々な顔を持っています。その意味ではなかなか複雑な食肉ですが、ようは四つ脚の家畜なので、豚や牛と同様の部位が存在します。最も羊らしい部位は、骨付きの背ロース(ラック)。ラムチョップとして知られるこの部位は、適度に付いた背脂が羊らしい香りを醸し出す、他の肉では味わうことのできない、羊肉を象徴する部位のひとつ。筋肉繊維に脂肪が少ない羊肉の特徴を表す赤身肉の塊である脚肉(もも肉、トップサイド、シルバーサイド、ナックル、ランプなど)は、他の食肉に比べ非常に細かい筋肉繊維であっさりした味わいなので、カルパッチョからシチューまで幅広く利用できます。価格帯としては豚よりも上、国産和牛よりも下くらいの位置付けである羊肉の中で、最も安価に利用できるのが肩肉です。日本ではそれほど多く利用されない部位ですが、後脚もおいしいですよ」

ーー部位が多いということはレシピも多そうですね。

「世界中のありとあらゆる料理に材料として登場してますね。それは宗教の壁を越え、世界中で誰もが食することを許された食肉である証拠で、そりゃもう、たくさんのレシピが存在しますよ。人生終えるまでに食べきれないくらいで、特にシルクロード周辺のスパイスを多用する料理には、羊らしい香りと脂の甘みが最高に相性が良いと思います。

ーーラムを調理するにあたって注意する点とは?

「特に赤身を焼く際には火入れに注意を。筋肉繊維中に脂肪が少なく、水分が多めの肉質なので、グリルする際に過分に加熱をしてしまうと、水分が抜け筋肉が収縮し、固めの仕上がりになってしまいます。極端に大きな塊肉じゃなければ、表面を強火で焼き付けたら、あとはお肉の余熱で優しく火通しする(レシピに掲載されているようにアルミホイルで包んで)くらいがお手軽な方法です。

脂肪が入り組んでいる肩ロース〜肩肉などは、羊自体が脂肪融点の高い肉なので、ある程度しっかりと火入れをした方が脂肪による口の中でのもたつき感(体温で溶けたいため)がなくなります。中心温度計があるならば、たんぱく質の凝固温度(58℃から始まり、60℃前後で凝固)と、分水作用(68℃から水分が抜け始めること)を基準に、肉の中心温度と加熱の時間を調整してやるとよいでしょう。この温度帯はラム肉を真空調理する場合の参考にもなります」

ーー北海道といえばジンギスカンですが、ジンギスカンとカベルネ・ソーヴィニヨンの相性はどうでしょうか?

「北海道に住んでいるのでよく聞かれるのですよ、ジンギスカンに合うのはどのワイン? って(笑)。ジンギスカンにも様々なタイプがあるので一概にはいえませんが、オーセンティックなジンギスカンのタレは、りんごやオレンジ系のフルーティーさが際立ち、ラム肉との相性はよいのですが、一度加熱している場合が多いので酸が少なく、さらに伝統的に味噌や生姜などを入れ、羊の香りを利用するよりもマスキングしてしまうものが多いため(ジンギスカン料理の生い立ちにも関係します)、私は自然とビールに手が伸びます。ただ、ワインとの相性はそんなに悪くないと思いますし、カベルネ・ソーヴィニヨンでもメルローブレンドでもシラーでも、北海道ワインでもナチュールでも、好きなものをグビグビと飲むのが楽しい(笑)。焼いて食って流し込み、次を焼く、くらいのノリで楽しめるワイン、極端にどちらかに寄らないドリンカビリティを優先したワインが飲みたいと個人的には思います」

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ひがしざわ・もりあき
東洋肉店 代表取締役
東洋肉店は北海道名寄市にある1928年創業の老舗食肉専門店で、
同社が運営する「ジンギスカン Web」はネット通販の数々の賞を受賞している。
日本における羊肉小売販売のリーディングカンパニーがこちらの東洋肉店なのだ。
自身はMLA(豪州家畜食肉事業団)から、豪州産羊肉を知り尽くしたスペシャリストとして
「ラムバサダー」に認定されているほか、
オーストラリアワインの「A+ 認定トレード・スペシャリスト2012-2016」でもある。
東洋肉店の取り扱う製品には、世界にも前例のないオリジナルも多い。
写真/柳 忠之
ジンギスカン web http://www.29notoyo.co.jp/

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