赤唐辛子のピメント香に赤ピーマン香のする赤を
<牛すじ牛ばら煮込み鍋>
牛すじ牛ばら煮込み鍋
具材:牛ばら、牛すじ、アキレス腱、牛蒡、玉葱、白滝、焼き豆腐、えのき、長葱、にんにくスライス、赤唐辛子、チラ
スープ(塩出汁):水、みりん、薄口醤油、塩ダレ、鶏がらスープ、シャンタン、濃縮かつお出汁
赤唐辛子のピメント系の香りにはカベルネ・ソーヴィニヨンかと思ったら、サンジョヴェーゼのほうがよく合います。濃縮感のあるフルーツに甘草や赤ピーマン、ドライトマトなどグルマンな香りがこのサンジョヴェーゼには感じられますが、とくに赤ピーマンの香りがこの鍋との接点になっています。思いのほか、唐辛子の辛さはワインに影響を与えませんね。カベルネ・ソーヴィニヨンはちょっと重いし、香りが整いすぎています。より風味豊かでグルマンな感じのボルドーだと、結果が違ってきたかもしれません。白ではソーヴィニヨン・ブランです。フレッシュ感溢れるソーヴィニヨン・ブランではなく、樽をかけてボディのしっかりしたボルドーの白だからこそですが……。ピメント系の香りや青葱との相性がポイントになります。ボディに厚みのあるワインだから、牛すじや牛ばらにも負けません。まさに鍋における薬味のような役割を、この白ワインがしてくれます。
出汁の旨味と同調する瓶内二次発酵の泡もの
<北の漁師鍋>
北の漁師鍋
具材:鮭、鱈、水蛸、タラバ蟹、帆立貝、牡丹海老、鮭カマ、白菜、白葱、大根、豆腐、ジャガイモ
スープ(醤油):出汁、醤油
これにルイユさえあればブイヤベースですから、カバやロゼがぴったり合いますね。カバはシャンパーニュと同じように瓶内二次発酵で造られたスペインのスパークリングワインで、酵母との接触による旨味成分が含まれています。それが出汁のたっぷり出た寄せ鍋に合うんです。同じくシュール・リー(澱との接触)をしたシャルドネとも相性が良い。とくに樽香が控えめでミネラル豊富、酸味のしっかりしたシャブリは理想的です。出汁の旨味とピュアな酸味が同調します。「アルデッシュ・シャルドネ」もシンプルにステンレスタンクで発酵熟成させたワインなので、なんの問題もなく合います。フレーバーはできるだけニュートラルなほうがいいですね。スパークリングワインでもイタリアのプロセッコだと、旨味成分が不足しますし、フローラルでフルーティな香りが邪魔をします。ロゼはこの「トリエンヌ」のように、タンニン分の少ない、すっきりしたタイプがおすすめです。
ラック・コーポレーション
I.G.P.メディテラネ
トリエンヌ・ロゼ 2015
生産国/地域:フランス/プロヴァンス
品種:サンソー、グルナッシュ、シラー、メルロー
希望小売価格:2,000円(税別)
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