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ワインに合う鍋 鍋に合うワイン

決定版! 鍋7種×ワイン10品種のマリアージュ検証

石田さん、ワインとお鍋はどうでしたか?

述べ3時間を費やし、7種類の鍋に10種類のワインで70通りの組み合わせを試した石田ソムリエ。鍋とワインのペアリングについて、総論をいただくとしましょう。

そもそも鍋というのは完成度の高い料理なので、お酒の入る余地が限られています。お酒で補わなければならない部分がないんですね。

すると、「日本酒はどうなの?」と皆さん思われるでしょう。しかし、鍋に日本酒も、多分にイメージ的な組み合わせ。寒い冬に鍋と熱燗で温まりたいという願望であって、そこに味覚上のマリアージュは成立しません。つまり葱まぐろ鍋のまぐろの風味を引き立てたり、白子入り鱈鍋の白子のクリーミーさを楽しませる要素が日本酒にはないんです。あえて挙げるなら、鍋のスープに使われる塩や醤油が、日本酒との接点に過ぎません。

日本の鍋とフランスの鍋料理との大きな違いはそこにあります。ブイヤベースにしても、ガルビュールにしても、マルミットにしても、フランスの鍋料理にはお酒、つまりワインとの引っかかりがどこかにあります。例えばバスク地方で食されるトロという魚介鍋には、エスブレットが使われているので、ピメント系の香りがするバスクのカベルネ・フランとばっちり合います。

したがって、日本の鍋とワインを一緒に楽しむときには、具材が何であろうと、スープのベースが何であろうと、フックになるようなプラスアルファを添えてあげることが大事になります。つまり、味噌、柚子胡椒、山椒、生姜、唐辛子などの薬味ですね。

今回の組み合わせでもっとも成功した鍋は葱まぐろ鍋でしたが、それはスープに含まれている生姜が大きなポイントでした。生姜の風味とカベルネ・ソーヴィニヨンのメントール系の香りが調和して、まぐろの味わいを引き立ててくれたわけです。

一方、香りの強いワインは鍋に合わせづらく、なるべくニュートラルなブドウ品種がおすすめです。今回、リースリングやマスカット・ベーリーAが苦戦したのは、それぞれのワインがもつピーチやイチゴのフレーバーでした。もしどうしてもこうしたワインで鍋を囲まなくてはならないとしたら、リースリングはミネラル感の強い、ドライな味わいのタイプを選び、みぞれ鍋やカニ好きと。マスカット・ベーリーAには、甘辛い風味にした甲斐牛のすき焼き風鍋がよいでしょう。

今回つくづく感じたのは、日本の鍋は雰囲気を楽しむ料理だなということ。ひとつの鍋を大勢で囲み、わいわいとやるのが楽しい。ワインとのマリアージュが成立すれば、場が盛り上がりますよ。

取材協力店のご紹介

今回、取材にご協力いただいたのは東京・渋谷の「ゆるり屋」渋谷道玄坂店。常時50種類ほどの鍋を楽しめる鍋専門店で、ゆったりとしたカウンター、雰囲気のある掘りごたつ、個室の準備もあり、さまざまなシーンで四季を通じて鍋を楽しめる。

ゆるり屋 渋谷道玄坂店
月〜金
11:30〜14:30(L.O.14:00)
土・祝
17:00〜23:00(L.O.22:00)ディナーのみ営業
東京都渋谷区円山町5-18 道玄坂スクエアビル2F
tel.03-6415-1596
https://www.kiwa-group.co.jp/restaurant/223/

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