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寿司 とワインのマリアージュ徹底検証ー冬の陣ー(ドの巻)

続・ニッポンのエンタメ伝統料理はキリストの血を受け入れられるか?

検証2 スミイカ

ネタ解説
春から初夏にかけて産卵期を迎え、秋以降に甘味が増す。一般的によく知られたケンサキイカやヤリイカがさっぱりした味わいであるのに対し、スミイカはしっかりした噛み心地に、咀嚼するごとにねっとり感と甘味を強く感じるのが特徴だ。以下のマリアージュ検証でも、スミイカに限定した議論が展開する。

ヤリではなくスミイカ

ねっとり感が結果を左右

 引き続きこちらもチーム・淡泊よりエントリーのスミイカです。ケンサキとかヤリとか、イカって通年親しんでいるネタだけれど、ここは今が旬のスミイカで検証しましょう。我こそはのマリアージュ提案、どなたかいらっしゃいますか?

太田 先ほどとアイテムが連続してしまいますが、「カバ ブリュット・ナチュール レゼルバ」がもっとも印象的でしたね。

 なるほど、わかる気がするなぁ。これは期待できそうだ。早速実践してみましょう。

一同 旨い!

松木 噛み進めるごとにイカがねっとりと甘味を増して……。さらに後半にはシャリ(=米のでんぷん質)由来の甘味が重なってくる。強くはないけれど、それぞれ二層の甘味にワインが対応できるかどうかが重要なんですね。

 確かにネタだけじゃなくて、シャリって終盤で結構効いてきますよね。

太田 そうなんです。店によって個性が出ますが、このシャリはシャキッとした食感が特徴的で、ほのかな甘味から米酢のキュッとした収斂性につながっていく。咀嚼しながらの時間軸で変化する味わいの瞬間すべてをカバが器用にとらえ、拾っているんです。すっきりした発泡の刺激と味わいの底にあるほのかな苦みが甘味を地味に、まぁちょっと地味ではあるんだけれど、ワインが裏方に徹してしっかり下支えしてくれていますよね。

 これ、ヤリイカだったら結果は絶対に違ってきますよね? 肉厚で甘みの強いスミイカだからうまく行くんだと思います。ブドウと同じく、品種が結構大事かも。

鈴木 なるほど、確かに華々しい展開ではないけれど、これなら合わせる意義がある。イカの甘味とワインのかすかな苦みとの優しいコントラストも心地よいですね。

松木 噛めば噛むほどの甘味を重視するなら「ピトス・ビアンコ」の甘やかな果実味もいいです。生のイカってこんなに甘いんだなと改めて実感。火入れするとまた違った個性が出るけれど。

テラヴェール

コス
ピトス・ビアンコ2014

●生産国/地域:イタリア/シチリア
●品種:グレカニコ100%
●価格:3,950円

【富田葉子 推薦コメント】 
白ながら、果皮を漬け込んで造るため、ややオレンジワインのようなインパクトのある味わい。シロップ漬けのショウガやハーブなど、香りの要素を多く含んでいるので、それらが素材の持つ風味を多角的にフォローして広げてくれるのでは、と予想しています。
検証担当:松木リエ

 「キスヴィン甲州 レゼルヴ」もワインにややオイリーなニュアンスがあるからうまくまとまります。これが松木さんの言う、遅摘み&シュールリーのなせる技ということでしょうか。

松木 そうですね。加えて、甲州の個性を損なわない、バランスの良い樽使いも関係していると思います。そこがオイリーさにつながるのかも。

 さて、寿司って基本の構成がネタとシャリって、至ってシンプル。最初はネタの個性が表に出るけれど、途中から酢飯の酸味や米の甘味が加わってくる。ワインと合わせることで、単調ではない展開が見つけられるのがおもしろいね。例えば、噛んで強くわさびを感じたポイントだけなら青みのある白ワインもいいんだけど、それは刹那的マリアージュに終わってしまう。

太田 時間経過とともに口中で混然とする進行形&継続する旨さ。構成がシンプルだからこそ「これがマリアージュか!」っていう感動がダイレクトに体感できると思います。

鈴木 そうでないと、これだけのメンバーを集めて特集を組んだ意味がない(笑)。簡単ではないけど、手ごたえありですね!

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