鰻とワインの相性は?

≪土用の丑の日≫和食にもワインを

鰻に合うワインは何だろう?
ワインエキスパートの紀子さんがワインと鰻のマリアージュ、大実験。さて、その結果は?

出身地が静岡というわけで、鰻は小さい頃から慣れ親しんできた。近所の家では鰻の養殖をしている家庭があり、半透明になっている大きな養殖用ケースから見えるのだ。隙間なく大量のニョロニョロ、ウニョウニョが。小学生であった私は、ミミズだろうが鰻だろうが、気味悪さは一緒だった。今思うと知らなかったのだ、こんなに美味しいものが「あのニョロニョロ」だなんて。

そんな鰻も、今は高価なハレの日のご馳走となっている。スーパーマーケットで綺麗に並べられた鰻の価格は、やはり「ハレの日」の食べ物だ。しかし、幼少時代からの味に親しんでいるせいか、やはり鰻は鰻専門店のあのお店の味が良いらしい。美味しさとは、「懐かしさ」「慣れ」が一番の感覚となるのだ。こればかりは、贅沢だと言われようが仕方がない。「ハレの日」なのだから。

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せっかくの「ハレの日」のご馳走として食べる鰻は、やはりワインと合わせたい。そんな思いが強くなり、ここ数年でワインとの相性を比較している。鰻は、慣れ親しんだ静岡の中部にある専門店の白焼きの鰻を持ち帰り、家でタレを数回付けてグリルで焼いて最後に山椒をかけている。そんな実験結果を少し、ご紹介したい。

シラー

まず最初は、シラーと合わせた。産地はイタリア。フランスのローヌのものより、香りは大人しい。私の中で一番の注目はかば焼きに欠かせない「山椒」だった。スパイシーなワインが合うと踏んだ。タンニンも兼ね備えたシラーは濃厚なタレとも相性が良かった。そして山椒もやはり香りがリンクして良い。

カベルネ・ソーヴィニヨン

次はアメリカのカベルネ・ソーヴィニヨンだ。若いヴィンテージだったが、そのフレッシュさもある程度の酸が口をさっぱりさせてくれる。山椒との相性が抜群だ!と思ったワインがカベルネ・ソーヴィニヨンだった。香りの中にある清涼感がまさにぴったり。

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マスカット・ベーリーA

ここ3年の中で行っている実験だが、ある時何かの書籍で田崎信也さんのお話が載っていた。「鰻にはマスカット・ベーリーAもいいでしょう」と書いてあるではないか。試さずにはいられない。興奮しながら実食。うーむ。選んだワインの相性もあるのだろう、いや私の味覚の嗜好だが、前回のカベルネ・ソーヴィニヨンが忘れられない。鰻の脂にワインの軽やかさが分かれてしまう。付け合せていた金平ごぼうがよく進んだ。

ネッビオーロ

次に開けたのはネッビオーロだった。前回の印象を踏まえて、酸とタンニンを求めた。さぁどうだ。タンニンと豊富な酸が甘辛いタレを流してくれると思いきや、そのまま絡まらずにそこに留まる。ん~、欲しいのは山椒に合う清涼感と、鰻の脂身に溶け込むタンニンと適度な酸なのよ!と1人で突っ込んでしまった。主人が呆れている。

≪現在の結果≫

実験はまだまだ続くだろうが、この3年間ほどで王者に輝いているのは若いカベルネ・ソーヴィニヨンだ。これがまた熟成と合わせたらまた違うのだろう。そして、「美味しさ」とは嗜好の問題で皆違うから面白い。和食にワインを合わせることが今少しブームだ。ブームはブームで終わらせてはならない。ワインラヴァーを増やすことがワインエキスパートの役割ではないか?とメラメラとした熱意をもっている。

今年の土用の丑の日は7月30日(土)。皆さまも実験を楽しんでみてはいかがだろう。

この記事を書いた人

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紀子
1985年生まれ。
J.S.Aワインエキスパート。
小さなワインのお教室をしている傍ら、ワイン好きによるこだわりの創作おつまみレシピを料理サイト・ブログで掲載。
女性の皆さまへワインライフが豊かになるコツを発信中。
blog: http://ameblo.jp/norikostyle2

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