エスキス×小布施ワイナリー日本酒 マリアージュの会③

和美塾主催「wabi labo」レポート

エスキス×小布施ワイナリー日本酒の会、今回エスキスのシェフソムリエ若林さんがペアリングを決める際には以下のようなテーマを持って決めて下さったそうです。

日本酒ペアリング
小布施ワイナリー日本酒の最大の特徴は『酸』
それも酵母によって柑橘系の酸味、乳酸系の酸味とかなり特徴がはっきりしている。
その酸の特徴と料理の中にある酸味の特徴とを合わせる。

ワインペアリング
リオネルシェフの料理の特徴は前回(その1)で述べた様に3つあり、その1つが香りの福重奏である。
一皿に様々な香りの要素が絡みあり、その香りの特徴とワインの香りの特徴を合わせる。

このように全てのお皿のペアリングに共通したテーマがあると、日本酒・ワイン各マリアージュの特徴や違いがはっきりし、マリアージュ比較がより楽しめます。

口取りはシャンパーニュで乾杯

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前菜:ホワイトアスパラ リコッタチーズ カリフラワーのピクルス
1品目の日本酒: Numero Six2015 6号酵母使用。米の味わい、柔らかさとふくよかさが感じられる日本酒
1品目のワイン: HOCHRAIN2012 グリューナフェルトリーナ(ペーターマルベルク)

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日本酒には米の香りがはっきりあるものの、余韻が長くなく、口中軽やかでチーズの酸味、ピクルスの酸味に良く合う。アスパラのベジーな香り、軽い苦味はグリューナがぴったり。 ただし日本酒は温度を低く出し米麹の香りが強くなりすぎないようにした方がGood!

グリンピースのニョッキ ゼップ茸
2品目の日本酒: Neuf 2014   9号酵母を使用したもの。2015年は小布施ワイナリーでは造られていないが、9号は現在主流として他の酒造メーカーではよく使われている培養酵母
2品目のワイン: Triptyque プイィ・フュメ(ドメーヌ・カイユブルダン)

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とても綺麗な造りで横に広がらずスムースに喉を通る日本酒で軽やかな柑橘よりの酸味が、泡状のソースの柑橘の酸味と共通している。ワインとのマリアージュはこの料理の柑橘、グリーン、茸の複数の香りに添う感じが楽しい。

海老のロースト
3品目の日本酒: TROIS2015  3号酵母を使用。ヨーグルトのような乳酸菌の香味がある
3品目のワイン:  Chianti Classico2011(La port di vertine)

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身の部分はヨーグルトに漬け込んでから焼いたもの。頭は素揚げエピス風味。
日本酒は身の部分に合わせて、キャンティは頭の部分に合わせたペアリング。海老の身のヨーグルトの風味が思ったよりも繊細で、日本酒の持つ乳酸菌の酸味が勝ってしまった。これはワインとのペアリングの方が良かった。

4品目日本酒: CINQ2015  5号酵母使用。ハーブ、の香りパスティスやシェリーの香りの要素がある
4品目ワイン: Puligny Montrachet 2009(エティエンヌ・ソゼ)

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これは日本酒とのマリアージュが好み。今回は日本酒による酸のマリアージュではなく、ハーブの香りがするこの料理には日本酒に感じるハーブのリキュールの様な香りと合う。

5品目の日本酒: Le Sake70  2015 古典生酛(培養酵母無添加)通常の半分の収量で栽培収穫した美山錦を70%精米で造った酒
5品目のワイン: La Dominique’97

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精米歩合70%の日本酒。つまり米の30%しか削っていない。そこから想像する味はどっしりと重く米臭いかと思いきや、予想より遥かに軽やかに飲ませ、後から余韻が太めに長く残る日本酒。
この料理は牛肉をもろみに漬け込み、しっかりした旨味がある為、第1印象では日本酒に良く合う。メルロ主体のLa Dominiqueは印象的なマリアージュではないが、柔らかい肉質、もろみのまろやかな旨味と香りに同質の丸味を感じた。

最後に感想
フレンチと日本酒のマリアージュについて

今回これらの料理とのマリアージュを味わい、各ペアリングの比較をして思ったのは、日本酒とのマリアージュも日本酒の特徴の違いが今回のように個性的であれば、ワインに遜色ないマリアージュと多様性のあるペアリングが出来るということでした。

ただし日本酒は温度による味や香りの変化がワインのそれより大きく、ひと皿を食べながらも、時々のタイミングで日本酒とのマリアージュの方が美味しく感じたり、その逆に感じたりと印象が変化するのが面白く思えます。
全ての日本酒が低い温度が良い訳ではないですが、グラス変化が早い為、最初はしっかり冷やした状態で、グラスの中で温度が上がりにくい様に少量ずつグラスに注ぐサービスだと食べ手の好みの温度で合わせることが出来て嬉しいのではないでしょうか。

また、コース料理を通しで日本酒と合わせるとやはり口中が重く、飲み疲れを感じる。その為コース後半になると葡萄由来の米より軽い酸がある為かワインとのマリアージュを好む様になる。これを解決する方法があったら面白そうと、新たな面白い課題ができました。
次のwabi laboに生かしたいと思います。

ご参加して下さった皆様、ありがとうございました!

念願のエスキス×小布施ワイナリー日本酒の会はリオネルシェフ、シェフソムリエの若林さんのおかげで素晴らしい会になりました。

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この記事を書いた人

森實有紀子(和美塾)
和食・日本酒・着物・茶道、そして日本ワイン。 食文化を含めた『和文化』の素晴らしさを世界に伝える『和美塾』の代表です。

定期的に行う『wabi labo 』は、和食とワインのマリアージュを検証したり、日本酒の新しいあり方について試してみたりと、和文化を体験し、試し、意見を交換し合う活動をしています。その様子をこちらでお伝えしていきます。

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