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イタリアチーズの王様 パルミジャーノ・レッジャーノがおいしいワケ

ホンモノを知れば ワインがもっと旨くなる!

希少な赤牛、ヴァッケ・ロッセの牧場へ

パルミジャーノ・レッジャーノの原料乳は、9割以上が乳量の多いフリゾーナ(ホルスタイン)種のミルクですが、始まりは修道士たちが東欧から連れてきた赤牛のミルクでした。戦後激減したこの赤牛を大切に育みながら、チーズを作る牧場を訪ねました。

レッジョ・エミリアの街から車で25分。そこに赤牛(ヴァッケ・ロッセ)に特化した牧場兼チーズ工房「グラナ・ドーロ」はありました。

グラナ・ドーロ(Grana d’Oro)
Via Neida 10

42025 Cavriago, Reggio Emilia

https://www.granadoro.it/

正式には「レッジャーナ種」という名を持つ赤牛たちが、1000年前から耕作を一切していない自然の牧草地の草をむしゃむしゃ……ここでは搾乳可能な牛が100頭強、仔牛なども含めると全部で280頭ほどが飼育されています。

夫とともに「グラナ・ドーロ」を営むルチアーナさん。「1980 年頃、うちにいた赤牛は35 頭。それでも当時はかなり多く飼っている農家だったのよ。自分たちが育てたレッジャーナ種のミルクでパルミジャーノ・レッジャーノをつくって、販売するようになったのはここ10年。数は多くないけれど、日本にも輸出できるようになるなんて驚きだわ。」

レッジャーナ種の乳量はホルスタイン種より少なく、1日2回搾乳で1頭あたり20リットルに満たないほど。ただしミルクに含まれるタンパク質や乳脂肪分などが多く、風味豊かで付加価値も高いパルミジャーノ・レッジャーノが出来あがります。

赤牛のパルミジャーノ・レッジャーノの外皮の天面には、「Vacche Rosse」の文字が放射状に刻まれている。ピースに切り分けても残るようにというわけだ。中央には、工房の刻印が許されている。「グラナ・ドーロ」は、国際的なチーズコンクールでもこれまでに多数受賞の実績があり、2019年のWorld Cheese Awards でも金賞を受賞。

第二次世界大戦後、乳量の多い種への転換が進み、1980年初めには約450頭にまで激減したこの赤牛も、現在は3,000頭ほどにまで回復。生産者が主体となって設立した赤牛協会と大学研究機関がタッグを組み、無理のない状態での生育に努めています。

日本でも赤牛のパルミジャーノが食べられる!

イタリアでも希少な赤牛のパルミジャーノ・レッジャーノですが、日本でも味わうことができます。

特に「グラナ・ドーロ」のチーズに惚れ込み、定番メニューにも使用している店が、東京・神楽坂に。エミリア=ロマーニャの郷土料理をテーマに、同郷のワインペアリングも提案する「イル・ボッリート」の料理をご紹介しましょう。

イル・ボッリート(IL BOLLITO)
www.il-bollito.com

東京都新宿区若宮町5

03-3235-3225

[火~金]17:00~26:00

[土・日]15:00~24:00

月曜定休(※2020年4月12日現在、同店は新型コロナウイルス感染拡大防止対策により、臨時休業または営業の縮小を行っています。)

“赤牛”vs“ホルスタイン”
パルミジャーノチーズ食べ比べ

まろやかなホルスタインと濃醇な赤牛。どちらも甲乙つけがたいほどおいしい! 仲間同士で食べ比べすれば、それぞれ味の好みが分かるかも!? ほかではなかなかできない体験を堪能しよう。

各50g(2名様分) 1,400円

”赤牛パルミジャーノ”の白いプリン

「デザートではなく、実は前菜!」という、この店の看板料理。上にのっているのは、saba(ブドウ果汁を加熱濃縮した調味料)をゼラチンで固めて刻んだもの。黒胡椒のアクセントも心地よく、仕上げにたっぷり削られたパルミジャーノがなんとも贅沢! 店のフラッグシップでもあるマルヴァジア種の醸しワイン「BIANCA REGINA」を合わせて。

1,100円

パルミジャーノのリゾット
フォアグラ添え

赤牛のパルミジャーノと玉ねぎのシンプルリゾットは、白ワインで風味をつけ、肉のブロードで炊き上げている。途中から、フォアグラや赤ワイン&フォンドヴォーのソースを少しずつ混ぜて食べることで、味の変化も楽しめる。ペアリングは、BIOのランブルスコ「Folicello Il Rosso」を。現地の伝統的なスタイル、お椀型の器での提供も粋だ。

1,450円

この記事を書いた人

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佐野嘉彦
留学先のスペインで、ワインと食に開眼! 食の専門誌の編集やワインスクールでの講師などを経て、現在はチーズ、ワイン、日本酒、ビール、コーヒー、パンなどをテーマとした企画や執筆、セミナーなどを展開中。

www.sembrar.jp
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