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石川進之介のお腹がすく話 特別編

おこもりワインにはブナシメジをプラスせよ

日本の食卓の必需品。 シメジといえば、それは概ねブナシメジを指します。連載ご無沙汰中の石川進之介さんは、最近、カットブナシメジを宣伝中。自分で探して買ったという、ブナシメジのピンバッジをラペルにつけ、シメジ愛を語る石川シメジマン進之介。一体、彼の身になにがあったのか? その出会いの物語とシメジを使った意外なレシピを紹介します。

ブナシメジが未来を切り開く

新型コロナウイルスの影響が、ここまで飲食店を苦しめるとは思っていなかった……
ITを駆使した全国の横丁展開、という仕事に携わっていた僕は、各地域で予定されていたプロジェクトが相次いで延期・中止となったことで、エネルギーを持てあましていた。世間はSTAY HOME。僕もSTAY HOME。会食・外食の機会も激減した。

家でおいしく楽しく作って食べる時間が増えたことで、我が家の内食を充実させるアイテムは増えた。あたらしいワインセラーもそのひとつ。今日はどのワインを飲もうか、と悩む時間は楽しいけれど、将来に悩む時間は、スッキリしない。

そんなある日、出張シェフ時代から色々と応援して下さったとあるおじ様から、こんなメッセージがやってきた。

「冷凍のカットブナシメジの販路開拓をやってみない?」

えっ、シメジ!? シメジの販路開拓って……なんですか?

こちらがその「冷凍カットぶなしめじ」(家庭用)。業務用もあります。種菌はもともとは信州の山奥で発見されたもの。詳細は、株式会社ミスズライフのこちらのページにて。https://www.misuzu-life.co.jp/product/freezed-cut-bunashimeji/

僕が出会ったそのシメジは、なんとも立派なブナシメジだった。そして、そのシメジが、僕のモヤモヤを吹き飛ばした。僕はこう考えるようになった。

「このブナシメジで世界に再度出ていけるんじゃないか? 商品開発にまた携われる可能性だってある。何より、ぼくの強みを活かすことができる。食は人の未来を創る。このブナシメジで僕も未来になにかできるかもしれない。」

ブナシメジをセールスするというシンプルさが、僕を呼び起こしたのかもしれない。

しかもこのブナシメジは、数多あるブナシメジとは味も風味も見た目も違った。

“太く”“長く”“まっすぐ”“しっかり”している。重さだって3g以上が平均で、カサは濃い茶色。味わい深く、旨味が強い。こんなブナシメジはほかにない。

このブナシメジのふるさとは北信濃。山奥に自生していたそれは、まるでかぐや姫かのように、輝いていたとか……これを株式会社ミスズライフが研究、育成したものが、僕がいま、応援しているブナシメジだ。1パックが完成するまでは、約3か月の時間が要る。我が子を育てるように、ブナシメジは大切に育てられているのだ。

ブナシメジのキーマカレー

今回、合わせたワインは、ボルドーのロゼ。酸とミネラルを基調とした辛口ながら、若干スイートな印象も。夏の西日から秋の夕焼けのような輝きなロゼは、ぶなしめじキーマカレーの旨味をより一層、引き立ててくれた……

そんな可愛いブナシメジ。ワインが出逢う旅のプランはないだろうか?

いやしかし、キノコはそもそもワインに合う。ブナシメジも普通に調理すればワインに合う。ここは料理人らしく。ひと手間、ふた手間かけることで、さらに我がブナシメジの魅力を引き出し、ワインとのペアリングを成立させられないだろうか。奥様が信州人で常時シメジは冷凍庫に備えているWINE WHATの鈴木さんと、あーだこーだとブナシメジについて語りながら、出てきたアイデアが「ブナシメジのキーマカレー」。

チャレンジでした……カレーというワインとのペアリングに一波乱起こす要素をあえて加えることで、おこもりワイン飯を完成させました。辛すぎないカレーとワインがマッチすることは経験上知っていた。ここに、肉くらい主張があるこのブナシメジを加え、肉は外す。キーマカレーでありながら、ひき肉に見立てたブナシメジのソースをつくるのが、このレシピの肝である。そしてブナシメジは

A.フードプロセッサーで細かく砕いたブナシメジ
B.包丁で粗みじん切りにすることで食感を出すブナシメジ
C.存在を残すぞ、という気持ちで キッチンばさみで粗くカットした仕上げ用ブナシメジ

この3段階の食感の異なるブナシメジを用意する。

Bはこの程度粗みじんに

AとBは混ぜ合わせてOK

材料と作り方は以下のとおりです。

材料(4人前)
・カットぶなしめじ500g
・玉ねぎ 中2コ(300g程度)
・トマトピューレ(カットタイプ)100g

・ミックスドライフルーツ無糖
(パイナップル・パパイヤ・クランベリー・マンゴー)計100g

*レーズンでも可
・オリーブオイル 大さじ3

・バター(無塩) 20g

・水 500ml

・天然塩 適量

・お醤油 大さじ2

キーマカレー粉
*市販を活用しても良い
カレー粉市販 大さじ2

<香りスパイス>
コリアンダーパウダー 大さじ1

クミンパウダー 小さじ1

パプリカパウダー 小さじ1

<炒め用スパイス>
ローリエ 1枚
クローブ 4~5粒
鷹の爪  1本

作り方

1.前述の3段階のブナシメジ(A、B、C)を用意する。

2.たまねぎを粗みじん切りにする。

3.鍋にバターと炒め用スパイスを入れて香りが出てきたら玉ねぎとオリーブオイルを入れじっくり炒め、きつね色に変わってきたら1のうち、AとBを炒める。

4.3.へドライフルーツとトマトピューレを入れ、水分を少し抜くように炒める。

5.火を止めて水、カレー粉、香りスパイス、ブナシメジのC、お醤油を入れて軽く煮込む。最後に塩で味を調える。

以上で、「ブナシメジのキーマカレー」は完成する。

ブナシメジは「株式会社ミスズライフ」のカットぶなしめじをご使用のこと。
これまで、我が家でもごはんのおともに、ワインのおつまみにと、このブナシメジは使ってきたけれど、今回、その潜在能力を知り、驚きを隠せないでいる。世間では脇役扱いのブナシメジが、主役の座も獲得する。
石川進之介の自信作。読者諸氏もトライしていただきたい。

あ、米忘れてた。

今回添えたライスは黄色。ターメリックライスを作った。スパイスのカルダモンも一緒に入れるとなお良い。そして、サフランライスもおすすめ。

この記事を書いた人

石川進之介
石川進之介
株式会社ミスズライフ ビジネスディベロップメントマネージャー
元・旅するシェフ。世界37ヶ国で出張シェフとして活躍した。
商品開発・農畜産漁業関連のコンサルティング、メディア露出、レシピ本含めた書籍多数。
現在は、冷凍のカットぶなしめじの国内外での販路開拓とPR活動に尽力中。

夢:このカットぶなしめじで世界を結ぶこと。
趣味:自宅でおいしいご飯とワインを飲むこと。

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